生物系博士の就職活動メモ(製薬)


この記事は、フルタイムで研究しながら大手製薬から複数内定を取る、ということを目標に就活をしていた、生物系博士課程学生のメモです。
(フルタイム=週7、9時-18時ぐらい)

自己紹介

Xアカウント: くろ@mycroling
20代後半
地方私大院(not医歯薬学部、notビッグラボ)
学振DC1持ち
もともとアカデミア志望だったのでD2まで就活知識一切なし

25卒で大手製薬に就活し、
創薬研究職内定(複数)、受けたところほぼ全て最終面接まで通過(書類落ち1、面接落ち1 のみ)という結果でした。

受けたところ

第一三共、中外、エーザイ、アステラス、大塚製薬、塩野義、住友ファーマ、日本新薬
(各企業の個別の対策は別記事で書きます)

就活前に立てた戦略

(この部分は事前に知っていても再現性よく達成できるかは不確実=運要素が強めかな、とは思います)

  • 業績を積んでおく。
    選考の早期化が進んでいるので、こちらも早く結果を出せるように戦略を取る。例えば、学部からiGEMに出て金賞取るとか、研究室に早期配属させてもらって論文を書くとか。

  • 製薬企業にウケるテーマで研究しておく。
    基本的には、企業にウケるテーマ=アカデミックに面白い研究テーマ、なので、銅鉄実験な研究テーマじゃなくて、独創的で将来性のある研究テーマをもらえるように、ラボ・教授を厳選する。この要件は、ほぼDC1取得を目指すルートと変わらないので、学振採択常連の研究室を選ぶと間違いがないと思う。(ここのラボ選びを外すとだいぶ苦しくなる)

  • optionだけど、後述の自己PRのネタに困らなくなるので、以下のような経験を積んでおくと良い。
    ・短期でもいいので研究留学しておく。
    ・他のラボに技術を習いに行ったり、共同研究したりしておく
    ・TOEICとかは院試受けるときに完成させていい点数を取っておく


就活中に行った対策

自己分析

  • やらなくていい自己分析:「自分が何をやりたいのか探す自己分析」
    これは就活特有の馬鹿馬鹿しい作業なのでやんなくて良いと思う。それによって行きたい業種や会社が絞られることはない。
    既にやりたいことがある学生はアカデミアに残ってPI目指すか起業するので、就活してる時点で大してやりたいことなんてないやつが大半。人事もそんなことは分かっているので、大したことないエピソードを披露して無理がある論理を展開し「私これがやりたいんです!」ってアピールすると、「しらじらしい就活生」になってしまう。人事に見透かされると、就活ゲームの勝率に悪影響が出るので注意する。
    参考URL:https://youtu.be/yKn-gkM_H8c

  • 徹底的に行う自己分析:「自分の強みを言語化する自己分析」
    こっちの自己分析をしておくことはめちゃくちゃ重要。この自己分析は、要は「自分の強みを整理して言語化」し、面接やESで相手に「一番効果的な伝え方を準備する」という作業のこと。これが上手い人は、面接の質疑応答でドンピシャのタイミングで強いコマンドがポンポン連打できるので強い。ここで必要な能力は学振や科研費書くのとそんなに変わらないので、研究が強い人、学会発表で受賞するような人は得意なはず。

SPI, Webテスト対策

振り返ってみると、空き時間にスマホで語句の意味を暗記して済ませるだけでも良かったと思う。(人事によると、製薬業界のSPI等の足切りはそんなに高くないらしいので。)
語句の意味を聞き流す系だとこのチャンネルがおすすめ
不安なので青本を買ったが、正直全部やってる時間はないし、何周もやったところで、本番の問題と相性が悪ければ解法が浮かばなくて詰むので効率が悪かった。本の使用法としては、非言語の例題の解法を一通り読んでおき、こういう問題出るんだなと把握しておくくらいが良いと思う。

英語:単語だけ覚えとく。

構造把握:これも、こういう問題が出るんだなって把握しておく程度でOK。

研究概要作成

個人的には、この研究概要の作成に最大限の労力を割く、という戦略が一番勝率が高いし、有意義だと思う。
フォーマットは基本的に学振のやつで良い。
A4 x2ページだとして、学振と同じで最初の0.5ページで全て決まると思って書く。
人事や経営陣にも読まれるので、「何のための研究か」を強調。
研究が実社会の人々の生活に役に立つことを目指したと分かるように導入を書く。
後半0.5ページでは、少し専門用語を混ぜながら着想に至った経緯などを書き、着眼点や独自性をアピールする。
2ページ目は、論文にできるレベルのゴリゴリの専門的内容で、ロジックにも穴がないようにガチガチにデータを載せる。ただし、専門的=分かりにくく書くということではない。figが分かりやすいようにグラフの軸を日本語にする注釈を加えるなどの視覚的な工夫を凝らす。専門的に深いところまで詰めていて、なおかつスッと読める書類を目指す。(教授とかに科研費のサンプルもらったら参考になると思います)

よく分からない知り合いや業界に詳しくないラボの人に見てもらうより、実績のある有料の添削サービスを積極的に活用。

tabeさんの添削めっちゃ良いよ↓(案件ではありません)


私の方でも書類の添削や模擬面接の依頼を受け付けてます。
全力でサポートしますので、よろしければどうぞ。


志望動機、ES作成

unistyle、ワンキャリ、就活会議で過去の内定者の例を参考にしつつ、上記の志望動機と自己分析を組み合わせて書く。ここはchatGPT等を使ってショートカットしたいポイント。

良い志望動機を書くためのポイントを1つ挙げるなら、「他社と比較したユニークな点を挙げ、そこに惹かれた理由を自分の経験と絡めて書く」ということになるだろう。
例えば、会社志望動機として、以下のようなロジックは弱い。

弱い例1)ユニークな点がない
1) 私の強みは研究です。
2) 御社の研究開発力の高さは魅力的です。
3) 研究に力を入れている御社でなら、私の強みが最大限活かせると考えました。
という三段論法。
これでは、研究開発能力の高い企業ならどこでも良いんだねってなるので全然ダメ。

会社志望動機なら他社と比較したユニークな点を挙げ、そこに惹かれた理由を書く。職種志望動機なら、他の職種ではでき得ないユニークな業務を挙げ、そこに惹かれた理由を書く。これがお作法(できるだけ実績・事実ベースで。それが厳しいなら社員のユニークな特徴。最悪の場合、企業理念に言及)。私はこれが書けなくて1社だけ落ちた (だって、説明会で何回聞いても他社でもやってるような戦略を答えられるばっかりだったもの)。IR読み込むほど志望度高くなかったし(まぁこれがそのままバレたんでしょうね。笑)

弱い例2)自分の経験と絡めて書けていない
御社の理念に共感しました!ってやつがこれに該当する。
企業側からすると、学生が理念に共感してるのは前提なのでどうでも良い。逆に「御社が学生の理念や目標に共感できるか」が大事なので、学生の理念や目標が分かるような原体験を書く必要がある。

業界研究

面接対策

色んなパターンの自分の強みをいつでも出力できるように手札の準備しておく
受け答えは、結論ファースト、MECEと粒度を意識
参考: https://youtu.be/vy0X04IUcAk

研究の説明をしてほぼ100%で聞かれたのは、「どこまでが教授のアイデアで、どこからが自分の発案か?」という質問。矛盾しないように答えを考えておくと良い。

アカデミックに強い業績があるほど、アカデミアより企業の理由は?と聞かれると思う
→論文書くよりも、実際のプロダクトを作って社会貢献したい、とか言っておけばOK. 
アカデミアの待遇が~とか不安定だから~とか言ってもプラスにならないので言わなくて良い。

コレ言っとけばいい逆質問
私の強みはxxxですが、御社で活かせますか?
御社で成長が早いなと感じる社員の特徴は何ですか?


最後に

ここまでで、役に立つ情報は、ほとんど全て書きました。役に立った方は、ハートを押して下さると次の記事のモチベーションになります。
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以下では、私が、「フルタイムで研究しながら大手製薬から複数内定を取る」と決意した当時の話と、就活の感想戦について書こうと思います。就活のモチベが死にかけている人には役立つかもしれません。

(身バレ防止+執筆料ということで有料にしちゃいました。就活のテクニック部分はすでに上で書いたので、気になる方だけどうぞ)

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