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免税の是非

免税制度がニュースになっていたので、思うところを書きました。


免税制度の目的とは?

個人的に訪日外国人に税負担をしてもらうことは基本的に賛成ですが、ニュースを見たとき、消費税の免税制度については維持する必要があると考えていました。というのも、消費税は日本国内での消費に課せられるもので、外国人観光客が母国で消費(使用)する物品に消費税を課すのは、税本来の趣旨に照らして不適当だと思っていたからです。
しかし、免税制度について調べる中で、どうもそうでもないことがわかりました。
免税制度について、宮川(2010)ではこのように指摘されていました。

観光客誘致を目的とした便宜の供与及び事業者の販売戦略のツールといった側面を持った制度ともいえるものと考えられる。

宮川(2010)

このように、免税制度が観光客誘致のための制度になっているのなら、税収が足りないと政府が主張している限りは免税制度を維持する必要はないというのが、現在の私の考えです。

厄介な「基本計画」

なぜ政府は免税制度を存続させたがるのでしょうか。この問題に関する質疑の中で、加藤財務大臣が「観光立国推進基本計画」に触れていました。私はこれが曲者なんじゃないかと思っています。
基本計画の中には、「外国人旅行者向け消費税免税店の拡大等によるショッピングツーリズムの推進」というものがあり、外国人観光客の誘致策の一つとして、免税が挙げられています。
行政政策にはあまり詳しくないですが、政府はこのような基本計画から外れることはしたがらないものだと思っています。そうだとすると、この基本計画がある限りは、免税制度を廃止することはないでしょう。
免税制度廃止のために国民一人一人にできることは限られていますが、できることとすれば、基本計画改定のときにパブリックコメントで意見を送ることなどでしょうか。

飲食代は課税対象

質疑をした大西議員に敢えて苦言を呈するとすれば、終盤で、外国人観光客が食べるランチの消費税も免税対象のような発言がありました。
(質疑全体を聞くとそう言ってないと捉えることもできるかもしれないけど、微妙)
国内で消費する物品やサービスに関してはそもそも免税対象じゃないので、外国人観光客であってもレストランでの飲食には消費税がかかります。外国人観光客が一円も消費税を払ってないとするのはミスリードです。
故意なのか、緊張してのミスなのかわかりませんが、せっかくいい質疑をしていたのにやや残念でした。


免税に関する答弁は2:14:23ごろから

参考資料

宮川博行.消費税の免税制度に関する一考察 -輸出物品販売場制度の在り方を中心として-.税大論叢.2010
観光庁.“観光立国推進基本計画 令和5年3月31日閣議決定”.2023,(参照 2025-2-6).



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