お手本にしたい中国アプリ|タオバオが描く 「家族 × EC」 の世界とは?
ビントウ(@bing_tou)です。
今回は2018年にアリババから発表された機能「家族アカウント(親情帳号)」を通して、家族でオンラインショッピングをする世界について紹介します。
子供が親世代のお買い物をサポートするための機能と紹介ですが、もっと広い視点で見ると「家族」でタオバオを使うための機能です。
この機能が発表された背景として、タオバオに登録してるユーザーのうち50歳以上の人口は5,000万人を超えており、そのうちの75%が50~59歳の定年退職前後の年齢層ということで、この市場を更に取り込みたいという意図があります。
しかし・・
“女儿,我想买件毛衣,你帮我选一件吧。”——“妈,你想要哪种衣服,能具体说说嘛。”
“儿子,这个质量挺好的,怎么买?”——“爸,我在上班,下班再帮您选吧。”
↑セーターが欲しいんだけど選んでくれない? ーもっと具体的に教えて
これがいいんだけど、どうやって買うの? ー今仕事中だからあとで
こういった「使い方がよくわからない」といった層が存在しているのも事実であり、単純にタオバオを使ってもらうだけではハードルと限界があります。
まずはここを解決して買い物のスタートラインに立ってもらうことに目をつけたのが、家族みんなのタオバオアカウントを紐付けて買い物を便利にする「家族アカウント」という機能です。
ここでいう子供とは、定年退職世代の子供、80~90年代生まれを指します。
1. 家族アカウントの作り方
家族アカウントへの紐付けは完全招待制担っています。既存のタオバオアカウントのマイページから進み、電話番号もしくはQRコードで招待を行います。
建てつけ的にはあくまで「子供が親を招待する」ですが、招待する相手は「母、父、配偶者、兄弟、息子、娘、祖父母、その他」の中から選ぶことができます。
また、招待できるアカウントは三人までと、リアルな家庭・家族での使用が想定されています。
↑招待画面のイメージ
招待すると楽しい画面が出て来ます。これが「家族アカウント」のホーム画面です。
↑アバターも設定できるこだわり仕様。猫付き。
2. 家族アカウント3つの特徴
それでは早速家族アカウントの特徴を以下の3つに分けて紹介します。
1. 買い物代金を家族に支払ってもらえる
2. 家族専用のチャットルーム
3. ファミリー向け商品が特別価格で購入できる
1. 買い物代金を家族に支払ってもらえる
家族アカウントに紐付けされたアカウントでは、決済ボタンの横に「帮我付(=代わりに支払いしてもらう)」というボタンが出現し、それを押すだけで家族専用チャットルームを通して支払いリクエストをすることができます。リクエストをされた人はアリペイを通して立て替えます。
↑支払い依頼のメッセージが飛ぶ
子供世代である私からすれば支払いのハードルがピンとこないのですが、(アリペイの支払いってボタン一つだし・・)アリペイを持ってはいるが銀行口座と紐付けしていない、アリペイを使うことに抵抗があるという人もいるようです。
2. 家族専用のチャットルームが使える
先ほど出て来たチャットルーム。商品も商品ページでシェアボタンを押して家族チャットを選択するだけで簡単にシェアすることができます。
この商品買う?を家族会議で決定できるので、商品購入までの意思決定をプロセスを分散することができます。
↑チャットルームで商品をシェア
↑過去の履歴を確認可能
3. ファミリー向け商品が特別価格で購入できる
米や洗剤などのファミリー向けの食料や日用品が特別価格で購入できるようになります。
なお、家族チャットや商品シェアなどの機能を使えば使うほど家族アカウント専用のポイントが貯まり、ポイントは商品や割引券と交換することができます。
↑「全家一起买买买(家族みんなでお買い物)」
3. アリババ、親、子供の”三方良し”
親のサポートといった側面で話してきましたが、働き盛りで比較的忙しい子供世代にとっても、商品選びを親に手伝ってもらうことが可能となったり、アリババ(タオバオ)にとっても「家族」という貴重なセグメントにセールなどのアプローチができるという三方良しをうまく生み出しています。
4. 家族アカウントの未来
2019年の6月18日に行われたセールの購入割合は地方在住者が増えたと言う結果が出ましたが、これには家族アカウントの誕生によって都市部に住む子供+地方の親が買い物をするという構図が少なからず含まれているのではと私は考えます。
また、「恋人」関係での利用者数は2019年8月時点で600万人を超えており、七夕の日には普段の3倍も恋人でのアカウントが生まれたとか。
このように、意図しないところで機能が使われ成長していく可能性もあり、引き続き注目していきたいところです。
5. まとめと学び
年齢層に着目したサービスでは、その本人に対してアプローチをしがちですが、「家族アカウント」は本人の周りの人を巻き込んでサービスを成立させるという考え方が非常に参考になるなと思います。
本人が解決する前提でハードルを下げる(文字を大きくする、ステップを減らす、ボタンを大きくする)のではなく、誰かの手助けを前提とし、その手助けに最適化したサービスを作るという発想。
タオバオは既に成熟したサービスであるという印象がありましたが、農村地域での利用を想定した「農村タオバオ」から、特定の年齢層の利用を想定した「家族アカウント」まで、地域と年代を問わないECサイトへと変化をしている途中なのだと思い知らされます。
利用者そのものでなく、利用者の居住地や家族まで想像を広げてサービス設計する姿勢を見習いたいです。圧倒的想像力。
それでは、ここまでご覧いただきありがとうございました!
参照元
http://www.woshipm.com/evaluating/995793.html
最後まで読んでいただきありがとうございます!!!!いい一日になりますように!