ラーメン・フュージョンフェスティバル
ラーメン屋の近くを通りかかると、たいして食欲が無い時なんかでも、まるで、三ヶ月前に自宅から脱走したウサギのチチロウを、買い物帰りに偶然に見つけた時のように、反射的に追いかけるようにして暖簾をくぐって店内へと入ってしまう……。なぜそのようになってしまうのか、それはニオイであると考察する。
店内で仕込んでいる塩ラーメンに醤油ラーメン、味噌ラーメンに豚骨ラーメン、チャーハンなどの、様々なメニューのニオイが混じり合ったモノが、厨房から店外へと流れ漂う。そして、そのミックスされた匂いを外で嗅ぐと、もう、理性ではどうすることもできずに、店の中へと入ってメニューを注文することとなる。
こんな言葉を聞いたことがある。
そこで、こんなことを考えられないだろうか。この、色々なラーメンのニオイがミックスされたものと、同じニオイのラーメンを開発することができれば、まったく新しい味のラーメン、業界にイノベーションが起きるのではないのか。
その完成されたメニューの外観が、例え既存のラーメンの姿の原形を留めていたとしても、それはもはや、◯◯ラーメンと名乗ってはいけないように思える。あえて名前をつけなければならないのであれば……
「ラ・シャーン」
とでも言ったところであろうか。もしかしたら数年後、ラーメン業界に激震が走ることになるのかもしれない。