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オフセットと面のねじれ
土木設計で多用するオフセット。
2次元設計ではあまり気にしていなかったけど、3次元に展開するときに頻繁に問題になるのがコレです。
よくよく考えると防げる話ですので、設計者の方は気にする習慣をつけるようにしましょう。
勾配がつく曲がりは、ねじれます
どういうことか、説明するために極端な例を示します。
ねじれた例
・辺AB(赤線:法尻)は長さ5mに対して比高差1mで勾配20%
・辺BC(赤線:法尻)は長さ5mに対して比高差2mで勾配40%
高さ4mで5分勾配(※)の壁を作るとすると、幅が2mだから天端ラインは青線のようになるはず・・・だけど。
(※)奥行0.5mに対して1m高さとなる角度:63.4°ぐらい
これ、ねじれています。高さと勾配を追いかけてみましょう。
・左面の肩(※)は長さ3mに対して比高差1mで勾配33%
・上面の肩(※)は長さ3mに対して比高差2mで勾配67%
(※)土木では面の上辺を肩(カタ)、下辺を尻(ジリ)とよく言います
勾配全然ちがうがん!(方言ですスイマセン)
はい。ねじれています。
勾配がつく屈曲部で不用意に2次元方向のオフセットをするとねじれるのです。上辺と下辺の延長が違う⇒平行で勾配が違う=ねじれる です。
このケースでは直角折れとなっていますが、角度が浅かろうが、勾配差が少なかろうが、ねじれるものはねじれます。
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※座標は測量座標系(上がX)のm単位、Z=Hです
寸法はややこしいですがmm単位です
ねじれを解消した例
上のケースで、ねじれを生じさせないようにした例を示します。
そう。勾配を上下一定にするとねじれません。
でも、こうすると角部の形状がいびつになりますね。(困った)
今度は、そこ(いびつになった角部)をどう処理するか、悩まなければいけません。
よくよく考えてみると、勾配のついた屈曲部で高さ一定というのは無理があるとは思いませんか?角部では1つの天端に対して下端が2つ出ますから。
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じゃあ、どうすればいいの?
上記のような面ねじれを回避する策としては、2次元作図にしても3次元作図にしても、とにかく面の方向と高さを意識して作図する!もうそれに尽きます。
上のケースでも曲がりの角度や勾配が小さければたいしたねじれになりませんので、「ねじれを許容する」という考え方があってもいいと思います。
また、他に出てくる問題として・・「横断図の面をつないだらえらいことになっている」「切り出し横断図の勾配が微妙にズレる」というのもありますが、それはまた別の機会に。
まあ、とにかく面の方向と高さを意識して作図する!これが大事です。
面に対してコンターラインを描画可能なCADソフトで、確認しながら作図するのがいいと思います。
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このケースでは赤か青の感じのすりつけが必要です
※このような取組に興味がある方、良い情報をお持ちの方がおられましたら、是非コメントください。