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感想。ガウディとサグラダファミリア展

ガウディとサグラダファミリア展。ロゴがお洒落。
最終週に駆け込みで、有給をとって木曜の夕方に。面白かったので、感想を書いておく。


まず、すごい混んでた。(いきなりマイナスの感想から入る)
たくさんのパネルで導線が仕切られていて、渋滞が起きていた。美術の展覧会にしては読むところも多かったので、全然先に進まない。日曜午後の談合坂みたいに。
混雑は最終週だったからなのか。サグラダファミリアというのはこれほどの絶大な集客性があるんだなと、思い知った。

さて、展覧会の内容としては、非常に面白くて勉強になった。ここから本題である。

■ 彩り鮮やかガウディ建築

もともと私はガウディのこともサグラダファミリアのことも、全然知らなかった。ただ未完の壮大な建造物であり人気観光地、という程度の認識であった。

そんな私にとってまず印象的だったのが、ガウディ建築の色彩の豊かさである。
破砕タイルの手法はガウディ独自のスタイルだったそうだが、たくさんのタイルで装飾された煙突や外壁が、本当にカラフルで魅力的であった。
まるでディズニーシーのマーメイドラグーンである。(ちょうどカサ・バトリョは海底洞窟がモチーフになった説も紹介されていた。)
カサ・ビセンスでは、元々その土地に生えていたマリーゴールドをモチーフとしたタイルを壁に飾ったそうだ。
サグラダファミリアも、巨大な茶色建築かと思いきや、塔の上のシンボルは破砕タイルで装飾されていたり、ステンドグラスがはめられていたり、よく見ると色鮮やかで美しいのだと知った。

■ ガウディ的創造理論

ガウディにとってクリエイティブの源泉は自然・歴史・幾何学だったという。曰く、人は創造しない、既にある物事を発見しているだけ、なのだという。
この世の有象無象を観察し、アイデアの種が発見されるという考え方。
私は学生時代、自然現象の裏に潜む数学的な法則を解明する"現象数理学"を学んだ。味噌汁から渋滞、エッシャーのような錯視までもが研究対象となり、あらゆる事象を数学的に抽象化することで、時には全く異なる分野にも応用できるという学問だ。通ずるものがあると思った。

紐を垂らした放物線を逆さにすると上下に引き合う力が均衡した強い構造体になるという。これはパラボラアーチと呼ばれ、ガウディの特色となっている。
展示で紹介されていたのは逆さ吊り実験といってたくさんの紐でアーチを作り、これを写真に撮って逆さにし、その上から新しい建築のデザイン画を描いたという話だった。
このようにガウディは万物からアイデアを発見し、その創造活動に取り入れた。

余談だが同時代、地質学の発達で洞窟ブームが巻き起こり、ガウディも洞窟モチーフをよく使ったらしい。案外ミーハーなのか。


■ 人類屈指の大プロジェクト

サグラダファミリアを、何世代にも受け継がれている共創プロジェクトとして捉えたのは今回が初めてだった。
建築物として凄いのは言うまでもないが、プロジェクトとして凄いのだ。どうやったらこんな壮大で完成度高いアウトプットを作れるのか。(同じことをゼルダの伝説ブレスオブザワイルドにも思った)

サグラダファミリアについてガウディが遺した模型や資料の多くはスペイン内乱で失われたという。大ピンチである。しかし、模型の破片や遺されたデッサンから、後世の職人たちがガウディの意志を注いで建設は再開された。その1人に日本人の彫刻家・外尾悦郎さんも含む。
このようにサグラダファミリアは、長い時間軸の中で人々が助け合い共感によって創造された遺産だ。
今では地下のコンピュータ室で図面が引かれていたり、鉄筋コンクリートが導入されていたり、ガウディの頃は存在しなかった技術や素材も取り入れられている。

余談だが、展覧会の終盤に、サグラダファミリアの建設資金の推移を示す折れ線グラフが展示されていた。
これは非常にわかりやすく、(年代はうろ覚えだが)ここ数十年で急激にグラフが上昇して、コロナ禍ですとんと急降下、現在はまた上昇。という具合で、市民の寄付を募っていた時代に比べ、観光収入がいかに建設資金に直結しているかがよくわかる。

■さいごに
面白かったと感じたことをつらつらと書いた。たぶんまだ書ききれてないことがある。
そのくらい、物凄い情報量であったが、全部自然に記憶に残った。
サグラダファミリアもきっと物凄い情報量だけど、全部自然と肌に馴染むのだろうか。いつか必ず行ってみたいと思った。

数年前に、2番目に大きいマリアの塔にシンボルが取り付けられたそうだ。星の形をしている。(ポケモンのデンジュモクに似ている)
これはなんと夜になると光って、バルセロナの街を照らすのだ!
ちなみに、1番大きいイエスの塔ができたら、そのてっぺんに巨大な十字架が設置される。これも光るらしい。楽しみだ。

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