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「相手を動かす承認の力」行動・意識・存在の3つの承認から考える(1on1のひけつ#3)
先日のコーチ仲間との練習会。
「相手の話を承認ベースで聞きましょう」
というお題で練習。
一通り話してくれたクライアント役さんにコーチ役の僕は
「◆◆の内容では笑顔でしたね。○○さんの気持ちが伝わってきましたよ。」
と伝えました。
振り返りで
「あの言葉はフィードバックにあたるよね」
との指摘をもらいました。
確かにそうだなと。
では、承認とは何でしょうか?
承認の目的は何?
どのように承認したらいいのでしょうか?
1 承認の目的
2 「承認」は「認める」こと(5つの承認)
3 1on1で使える3つの承認
という3つの視点を通して、1on1においての「承認」について考えてみます。
承認の目的
「承認」という行為は、何を目的としてなされるのか…?
それは「信頼関係をつくること」です。
コトバンクで調べると
「他人の行為に対して肯定的意思を表示すること」とあります。
だから「思い」を「伝える」ことになります。
僕が認定を受けている共創コーチングでは、コーチングのおける承認の意味を次のように示しています。
『コーチングにおける承認の意味』
承認を行うことで、行動を起こすベースとなる4つをつくり出すことができます。
・ 意欲を引き出す
・ 行動を創り出す
・ 不安を安心に変える
・ 自尊心を上げる
「この人との関係において、安心で安全なんだ」
と分かると相手は自分で考えて、行動するようになります。
それは、
「相手は自分で考えて、行動しても許されるんだ!」
と考えるようになるからです。
結果、行動を起こしやすくなる。
主体的に動くようになるわけですね。
社内1on1でも
部下が主体的に行動し、生産性を上げてもらうことが目的でもありますよね。
ですから、この信頼関係は常につくり続けていく必要があります。
常に、ちょく、ちょく行う。
「ちょくちょく承認」
不安を安心に変え
自尊心を高める
そして、意欲を高め
行動を引き出す。
それは、信頼関係の上に成り立っています。
「承認」はベースとなる「信頼関係をつくる」ことを目的としています。
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「承認」は「認める」こと
YouTube講演家の鴨頭嘉人さんは
「”承認”を”褒める”ことだと思っているなら、あなたの言葉は部下に響いていません」
と言います。
どういうことか?
「承認」というと、「褒めること」というイメージをもつ方も多いのではないでしょうか。
僕もそうです。
先の練習会で、クライアント役さんは抱えていた不満を話してくれました。
「どこか褒めなくては」とひねり出した言葉をコーチ仲間から指摘された結果です。
「褒める」というのは、上位者から下位者に向けて行われることが多いですよね。
そしてまた、「承認」も上位者から下位者に向けて行われることの多い行為でもあります。
上司が部下に対して
「君の資料、とても分かりやすくてよかったよ。」
と取り組みを認める(承認する)ことはありますが、部下から同じようには言えませんよね。
ちょっと失礼で。
「承認」するために相手を「褒めよう」と狭く捉えてしまうと、承認することをためらってしまいます。
練習会での私のように。
先の例を
「部長の作られる資料は、とても分かりやすいのですが、どうやってつくっていらっしゃるんですか?」
と質問に変えると上位者も受け取りやすくなります。
「評価」を「関心」に変えるというテクニックですが、これは上位者に対しての立派な「承認」となります。
「承認」を英語にすると
Recognitionというよりも、Acknowledgement。
認める、事実を認める、受け取ったことを知らせる、気づいたことを知らせる、感謝する、承認する、という意味合いになります。
「認める」
「感謝する」
先ほどの「関心をもつ」
これらもみな「承認」と捉えることができるわけです。
「褒める」とは、いくつもある「承認」のうちの1つです。
ですから「承認」=「褒める」ではありません。
「承認」とは「認める」ことです。
相手を「承」受け取り「認」認めることです。
鴨頭さんは「承認」には「5つの承認」があると言います。
褒める以外の承認も示しています。
では、その「5つの承認」をみていきましょう。
5つの承認
鴨頭さんは
講演やYouTube動画の中で「5つの承認」があると語っています。
1 結果承認
2 プロセス承認
3 行動承認
4 意識承認
5 存在承認
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YouTube動画での鴨頭さんの言葉をまとめてみます。
1 結果承認
相手の出した結果について承認すること、いわゆる「褒める」ということです。
例えば、社内コンテストで1位だった人に
「コンテスト、トップだったね!」
と褒める。
結果を褒める。
2 プロセス承認
良い結果を出したときに、結果に至ったプロセスを承認すること。
「コンテスト、トップだったね。結果が出せたのってロープレがんばったからだね」
とプロセスを褒めるということですね。
そしてここからは、結果を出していないのに認めることになってきます。
3 行動承認
「いつも最初に会社に来るのは君だよね、えらいね。」
「毎日の掃除頑張ってるね」
結果とは関係なく、その行動に目を向けて承認するということ。
4 意識承認
(モップが置きっぱなし)
「モップ置いたの誰?」
『すみません、僕でした!』
「掃除しょうとしてたんだね!」
モップ出したということは、掃除しようと思ったはずだから、という意識について承認するということです。
5 存在承認
ただそこに居るだけで認める。
例えば、会社に出勤してきたら
「今日も来てくれてありがとう。君がいるとなんか元気になるよ」
その存在を認めるということです。
1と2は普段はあまり使えません。
結果を出していない時に結果を認めようがないからです。
いつも褒めることができる訳ではありません。
ところが3、4、5はいつでもできます。
褒めているわけではありません。
でも、これも「承認」なのですね。
そして、3、4、5の承認を意識したら、1on1の中、会話の中で承認の場面を増やすことができるのです。
1on1で使える3つの承認
1on1の中で、力を発揮するのが後半の3つの承認です。
3 行動承認
例えば、会話の中に、掃除の話題があれば
「倉庫を整理するために、掃除をしたのですね」と。
資料作りをした話題があれば
「会議に向けて資料を創ったのですね、ありがとう」と。
あなたのとった行動を認めていますよ、という気持ちです。
4 意識承認
例えば、話題の中で、不満や怒りが出てきます。
不満や怒りは、そこには、リクエストやこうしたいという思いがあるからこそ湧いてくる感情ですね。
相手から
『○○さんがいつも期限を遅れるから、私が残業しなきゃいけなくなる』
という話題がでたのならば
「期日までに仕事を仕上げたいと思っているんですね」と。
『○○さんは、社会人のマナーがなってないんですよね』
という不満がでたのならば
「みんなが気持ちよく過ごせる職場をつくりたいと思っているんですね」と。
あなたのその思いを認めていますよ、という気持ちです。
5 存在承認
あなたの存在をそのまま認めますよ、という気持ちを1on1の場面ではどう伝えますか?
僕は、話題に関わりなく
「あなたと面談ができて、うれしい」
「○○に関してあなたの考えを聞くことができて、うれしい」
と言葉で伝えます。
ちょっと言葉にはしずらいです?
違和感があります?
はずかしい?
この存在承認
きちんと相手の顔を見る
笑顔をつくる
語尾に♪(音符)をつける、などなど
ノンバーバルなメッセージが大切と言われます。
1on1でも、それらはもちろん大切です。
私はよく「大丈夫だよ、大丈夫」と心の中で言いながら話を聴くことが多いです。
そして、1on1だからこそきちんと言葉にする必要があるのです。
「私と面談してくれてありがとう」
「君の意見が聴けること、うれしいよ」と。
「承認」とは、相手を「承」受け取り「認」認めること。
そして、それを相手に伝えることです。
大丈夫です。
1on1はスキルです。
繰り返すことで、承認の言葉をうまく伝えられるようになります。
同時に、あなたと面談することで、相手の笑顔も増えていきますよ。
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まとめ
1
この3つの承認
「行動承認」
「意識承認」
「存在承認」
を意識することで、相手を「承認」する場面を増やすことができます。
注意は一つ。
心は相手に伝わりますので、本当にそう思って、言葉にすることです。
2
「承認」=「褒める」ではなく
「承認」=「認める」と捉えることで
1on1という限られた会話の中であっても、会話の相手を常に「承認」できるようになります。
3
あなたのその言葉で
「この人となら安心していられる」
「この人なら自分を認めてもらえる」
という信頼関係を相手が築いてくれるようになります。
その安心感が、相手の主体性を生み出し、相手の行動を生み出すのです。
即効性はありませんが、じわじわ効くのが「承認」のパワーです。
ふと振り返ったときに、そのパワーの強さに、あなたはきっと気づくはずです。
少し長い文章になりました。
最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。
あなたの1on1に取り組む勇気が少しでも増したのであれば嬉しいです。