傾聴している中では、相手に想いを伝えることはできない?(1on1のひけつ#2)
1on1ミーティングでは、部下の自主性を促すために部下の話をいかに引き出すかが大切です。
部下の話を遮って自分の意見を長々と話したり、自分の考えを押し付けたりせずに、聞き役に徹っするように心がけましょう。
上司から部下への一方的なコミュニケーションではなく、対話を通して双方向のコミュニケーションに重点を置きましょう。
1on1ミーティングやコーチングの研修に参加すると、いつも指摘されるポイントですね。
だけど、
「上司として伝えなければならないことがある」
「気づくのを待っていても、時間がかかったり、気づけない部下もいる」
「ただ話を聴いているだけでは、こちらの想いは伝えられない」
そう感じたことって、ありませんか?
ちょっと困ってるんだけど‥
同僚のNさんから、相談があった。
Nさんは、プロジェクトをまとめるリーダー。
メンバーのKさんについて、ちょっと困っている‥とのこと。
Kさんは、ある企画(研修)で直接お客様を担当する。
時には、他のメンバーもいっしょにお客様を担当するが、前に立つのはKさん。
Kさんは、お客様とうまくいかないことが増えた。
Nさんや他のメンバーもアドバイスするが、Kさんは、自信をなくし始めている。
そのことを、Nさんも気に病んでいる。
(ここからは、Nさんと私の会話‥)
(Nさん)
(私)
そうなんですね。
もうちょっと、教えてもらってもいい?
でも?
なるほど、そうなんですね。
「Kさんに、ポイントや注意することをサポートメンバーにも伝えてもらって、共有した状態でお客様に対応してもらいたい」ということですか?
Kさんは、伝えてないんですか?
ポイントや注意することは、どうやって決めているんですか?
でも、関係する全員に伝わらないんですね。
そこまでは、やりたくないんですね。
Kさんに「誰に伝えますか?」って聞いてみたら?
一つ聞いてもいいですか?
Kさんは、そもそも伝えよう、伝える必要があると思っているのですか?
どういうこと?
なるほど、そうなんですね。
「どう思う?」
じゃ、聞いてみたらどうですか?
「私は伝える必要があると思うんだけど、Kさんはどう思う?」って。
うん。
分からないなら、聞いてみたらいいって思うんだけど、Nさんはどう思う?
だから、伝える相手についても、「誰と誰に伝えようと思う?」ってKさんに聞いてみたらいいんじゃなと思うんだけど、どう思う?
「強制するのが嫌だな」っていうこと。
でも、Nさんの立場だったら、「こうして欲しい」ってことがあるじゃないですか。
それは、伝える必要がありますよ。
だから、聞いてみればいいんですよ。「どう思う?」って。
「私はこう思うんだけど、Kさんはどう思う?」って。
今、私がNさんに聞いてるみたいに。
大丈夫ですよ、Nさんなら、うまくいきますよ。
Nさんの考えとKさんの想いが一緒になると、大きな力になります。
「力」って掛け合わさるんですよ。
だから、Nさんの考えを伝えていいんですよ。
① 「 自分の考え + ○○さんはどう思う? 」
一方的な強制では、相手はうまく動かないときもあります。
確かに、相手が納得して動かなくては、自分の意思で動かなくては、
主体的に動いてくれないものです。
だからといって、相手の想いだけを優先する必要はありません。
そこには、相手がいて、あなたがいて、
そして一緒にやっているのですから、
あなたの想い、あなたの考えも、ちゃんと伝えるべきです。
そのときには、
あなたの考えの後に、「○○さんは、どう思う?」と返してあげてください。
そうすると、相手は考え始めます。
新しい視点で、考え始めてくれます。
これは、アドバイスとは異なります。
あなたがAさんにアドバイスするとします。
このアドバイスは、伝えるあなたの想い、あなたの考えです。
あなたのこれまでの経験や価値観から出来上がってきた、やり方です。
ですから、あなたにとっては得策です。
しかし、それはAさんの経験でもなければ、Aさんが大切にしていることや価値観に触れるものではないかもしれません。
ですから、Aさんにとっては得策とは限りません。
場合によっては、Aさんの意にそぐわないものであったりもします。
ですから、
アドバイスをしたのに、アドバイスに従ってもらえなかった、上手く実践してもらえなかったという経験があると思います。
当然と言えば、当然ですね。
しかし、「 あなたの考え + Aさんはどう思う? 」と提案した場合は、
この言葉をきっかけに、Aさん自身が考え始めることになります。
そして、Aさん自身が考えるので、Aさんが納得できる、Aさんがやろうと思うやり方が答えとして出てくるはずです。
だからこそ、Actionになります。
1on1は、相手の行動を引き出してこそ、ですね。
実際に行動するのは相手ですが、
あなたの力を相手の力にかけ合わせることができます。
② 共創
お互いの考えや想いをかけ合わせることで、
新しい考えや想いが生まれます。
相手だけでは出せなかった、あなただけでは出せなかった、
新しい力(やり方)が生まれます。
私たち共創コーチングでは、これを「共創 Co-creation」と呼んでいます。
それでも相手が動いてくれなかったら?
そんな柔らかい言い方で、Kさんが素直に考えますか?
Kさんが、こちらの想いに反して、従わなかったらどうするんですか?
例えば、
Nさんが、「サポートのスタッフ、パート全員に、このポイントと注意点を伝える必要があると思うんだけど、Kさんはどう思う?」と思いを伝えましたが、
しかし、「私は、そうは思いません。」と、Kさんに否定された、
とします。
ここをゴールに考えていると、
「やっぱりKさんには伝わらない‥」と終わりになってしまいます。
でも、実はこれ、チャンスなのです。
「そうは思わないんですね。Kさんとしてはどう思の?」
と尋ねてみるわけです。
Kさんが考えている段階で、
つまり、行動の前にある思考の段階で、
一緒に話ができる「入り口」になります。
で、「 自分の考え + どう思う?」を使ったりしながら、じっくり対話をしたらいいわけですよね。
Kさんが、よりよく行動できる方法を一緒に考えられたらいいわけですよね。
もし、じっくり対話しても、
「 自分の考え + どう思う?」を使って話しても、
Kさんが全く受け入れなかったら、
残念ながら手はないかもしれません‥。
Kさんが、もしそのような人であったのなら、
仮に、こちらの希望をどんなに強く命令したとしても、
こちらの希望には、まず応えていただけません。
ただ、そのような方は、ほとんどいません。
相手を「ダメだ‥」と決めつけず、
ぜひ、「チャンスの入り口」と捉えていただくことをお勧めします。
まとめ
1on1ミーティングであっても、自分の想いはちゃんと伝えて大丈夫です。
しかも、あなたが上司であれば、伝えるべき要望はきちんと伝える必要があります。
でも、そのときは
「 自分の考え + ○○さんはどう思う? 」と伝える。
そして、相手の考えと自分の考えを掛け合わせ、新しいやり方を許容する。
どんなやり方が生まれてくるのか。
二人の化学変化を楽しめたら、1on1ミーティングはもっと楽しくなりますよ。
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