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相手の主体性を引き出すのなら「私の話」は必要ない (1on1のひけつ#1)

主体的な部下を育てるために、
自立したメンバーを育てるために、
部下やメンバーの目の前にある課題について、一緒に考え、彼らの答えを引き出したい。

特に1on1ミーティングなどで関わっていると、そのような思いを抱いて、相手と関わりますね。

課題に対して自分で方法を考えられるように、
自分で仕事を進められるように、
主体的に取り組めるようになってほしい。

だから、一緒に考え、彼らが主体的に歩けるように支援している。

でも‥、
相手の考えが深まらない‥
気づきが浅い‥
私の考えに従っている‥

彼らは、指示待ち人間なのか?
それとも、私の指導が間違っているのか?

そんな経験、されたことありませんか。

でも、これ、コミュニケーションを、普段とは違うものに変えることで、解決するんです。

このコミュニケーションを知っているだけで、相手が変わります。


事例 ミーティングの現場で

学習支援事業の学生ボランティアさん達の定例会に参加させていただいている。
毎回テーマを決めたミーティングで、子どもたちに関わる際の課題を皆で対話します。

そして、ミーティングの最後は、2人組になり、振り返りとNext Actionを話します。
次回から行動できるように。

コーチング・プチ・ワークも兼ねています。
相手に想いをできるだけたくさん語ってもらえるようになるためのテクニック・ワークです。

例えば、
『「笑顔」と「もう少し教えて」だけで、話を引き出しれみましょう』、
『「それで」「だから」「でも」(接続詞)だけで、話を引き出してみましょう』
といようなワークです。

1人、4〜5分間、語ってもらうのですが、
どうしても「会話」になってしまいうのです。
相手の話しを聴くのではなく、一緒に話してしまうのです。

コーチ役は、相手の想いを汲み取ろうと、うなずきながら話を聴きます。
汲み取ろうと思えば思うほど、相手の想いに答えてしまいます。
自分の想い、考えを伝えてしまいます。
一緒に「会話」をしてしまいます。

えっ?何が悪いの?


コミュニケーションを変える

 ・ 会話時の思考をチェンジする
 ・ 話題の机上には、相手の話題だけ
 ・ 相手の関心に関心をもつ、相手の背景に関心をもつ


会話時の思考をチェンジする

学習支援ボランティアとして、子どもたちに関わっている学生さんなので、コミュニケーション力は高い方ばかりです。
子どもの話を聴ける学生さんたちなので、実に素敵な関わり方をしてくれます。

でも、「これまで多くの方が経験されてきたコミュニケーション」としてはです。

実は、何を目的にしているかで、聴き方の善し悪しが変わります。

目的を、もう一度確認します。

ここでは、ミーティングで得た ”相手” の気づきと、”相手” のNext Actionを引き出すことが目的です。

そうしたとき、私たちは「相手に如何に話してもらうか」を第一にしたいわけです。
話している中で、自分の想いに気づいてもらいたいわけです。

酷い言い方をすると、ここでは『私の話』は必要ありません。

だからといって、こちらが何も言わずに聞いていたら、相手は話しにくくなってしまうため、気づきが深まりません。
相手が気持ちよく、たくさん話してもらうために、話の腰を折らないように、あいづちを打ち、言葉を挟みます。

でも、『私の話』は必要ないわけです。

大事なことは、
相手に、自分の想いに気づいてもらい、
自分がやりたいと思うNext Actionを導き出してもらうことです。

「話題の机上」には、相手の想いだけ

ここで、会話になってしまうと、私の考えや想いも「話題の机上」に載ってしまいますよね。
その分、相手自身が自分の心を探索する量や時間が減ってしまいます。
その結果、気づきが浅くなってしまい、Next Actionへのモチベーションも浅くなってしまいます。

では、どうなったらいいのか?

聴き手である私は、「相手の想い」に頭をめぐらせます。
私の頭の中は、「相手の想い」でいっぱいです。
話題の机上には、「相手の想い」だけが載っています。

相手の関心に関心をもつ、相手の背景に関心をもつ

相手は‥
「どんなことに気づいたんだろう?」
「その気づきは、どんな想いから生まれたんだろう?」
「その気づきは、これまでのどんな経験から来ているんだろう?」
「そのActionをしたら、どんなことが起こるんだろう?」
「そうしたら、相手にはどんないいことがあるんだろう?」
ということを『知りたいな』と思って私は話を聴いている、という感じです。

相手の気づきについて、
相手のNext Actionについて、
相手と一緒に、探索している、という感じです。

相手の頭の中には「相手の想い」がつまっていて、
私の頭の中にも「相手の想い」がつまっている、という感じです。

もしかしたら、新鮮な感じを受けられるかもしれません。
いつもとは違うコミュニケーションかもしれません。

でも、このコミュニケーションが、相手の主体性を引き出すことにとても役に立ちます。

「私の話」のない会話

「話し手(クライアント役学生)」、『聴き手(コーチ役学生)』として、先ほどの学生ボランティアのワークを再現してみます。

「外国籍の子にどう接していいか分からなかったけど、これは僕が勝手に、外国籍の子は接しにくいと考えてたことに気がついたよ。」
『え、どういうこと?』
「日本人の子と、外国籍の子、自分の中で知らない間に分けていたことに気がついたって感じかな。」
『それで?』
「うん、だから、日本人の子と同じように接することを意識しようと思う。」
『具体的には?』
「そうだなぁ‥、タイミングを見つけて、積極的に雑談をするよ」
『いいね!それで、雑談するとどうなりそうなの?』
「雑談だと気楽に話せるでしょ、お互いに。だから相手も僕のことを受け入れやすいし、僕も相手のことを特別に思わずに関われるかなって思うんだ」
『日本人と外国人じゃなくて、一人と一人の関係をつくろうっていう感じかな』
「そうだね。そしたら、後は言葉の問題だけでしょ。そしたら、グーグル翻訳使えばいいだけだからね」

「話しの机上」にあるのは、相手の話題だけ。

相手の頭の中には「相手の想い」、私の頭の中にも「相手の想い」

「会話のテクニック」というよりも、その場での「在り方」と捉えてください。

テクニックは、確かに色々とあります。
でも、まずは「在り方」ですね。

「在り方」さえ切り替えられたら、
相手の気づきや想い、Actionを引き出すことができるようになります。
話題の机上には「相手の想い」が載っているわけですから。

学生ボランティアさん達と一緒にワークをしていて、教えていただきました‥
「在り方」のチェンジが、「相手の主体性を引き出すポイント」だということを。

でも、普段とは違う「在り方」です。
ですから、この「在り方」、そしてこの「在り方」から生み出されるコミュニケーションを知っているだけで、関わる相手が変わっていきます。

コミュニケーションを変える
 ・ 会話時の思考をチェンジする
 ・ 話題の机上には、相手の話題だけ
 ・ 相手の関心に関心をもつ、相手の背景に関心をもつ

よかったら、参考にしてみてください。
あなたの関わる相手が、主体的に動き始めますよ。

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