フォトエッセイ本JIMMY PAGE: THE ANTHOLOGY発売とエスクワイア掲載インタビューのサマリー
JIMMY PAGE: THE ANTHOLOGYとは
出版社のGenesis Publicationsによると、ジェフ・ベックとブルースのレコードを聴いていた時代から60年代のセッション・プレイヤー時代、ヤードバーズ、レッド・ツェッペリン、ザ・ファーム、カヴァデール・ペイジ、ペイジ&プラントまでの彼の“音楽の旅”を振り返るほか、「“ドラゴン”テレキャスター、“ナンバー・ワン”ギブソン・レスポールなど、ロックンロールの歴史で長い間神話化されてきた楽器にまつわる逸話を語っている」ジミー・ペイジにとって前作”JIMMY PAGE BY JIMMY PAGE”から2作目のフォトエッセイとなる。彼自身のサインが入った豪華版は昨年12月に発売し完売しており、先頃10月23日にその廉価版が発売された。
私はお財布と相談して、廉価版を購入、今は郵送を待っているところです。ヨーロッパではほぼ発売日に時差なしで手に入れたファンが多く、ネットにはネタバレともいえる画像があちらこちらに散見されています。それらを見る限り、本の内容は期待できるんじゃないかなと思います。以前、ジミーの自伝の読書感想文の冒頭部分にも記載したのですが、とにかくジミーは幼い頃から私物を保管していたので、既に本書籍を読んだファンの中には「こんなものも捨てずに持っていたの!?」と驚いている人もいるようです。早く届かないかな。
エスクワイア掲載のインタビューのサマリー
JIMMY PAGE: THE ANTHOLOGY発売のプロモーションの一環で様々な媒体のインタビューに答えてる彼ですが、中でも個人的に興味深く読んだエスクワイア掲載のインタビュー内容を翻訳しました。昨年今年の秋には公開されると言われていたバンド50周年を記念して製作されていたドキュメンタリーについて、なぜ私物を保管収集するようになったのか、コロナウィルス蔓延に伴ってのロックダウン中の生活などについて語っています。
ジミー:フェイスコールとかの類はしないよ。画面を見るのではなくて、電話を耳にあてちゃう習慣を変えられないんだ。
Q: ロックダウン中はどのように過ごしていますか?
ジミー: 2月にはロックダウン生活をしていた。70歳以上がロックダウンの対象になるって噂で聞いていたから、どちらにせよとても気をつけてたし、距離をとるようにしていた。僕のメインの居住地はロンドンだけど、幸運なことにそことは対照的な田舎にも家があるからそこにずっと滞在している。(ロックダウン生活)初期段階では、いつも時間が足りなくて出来ないと文句を言って出来ていなかったことをやる機会に恵まれた。そして、自分の書斎の本を整理したり、読書もすることが出来た。自分は、本を買っても読まない悪い癖があるから、それらを読む良い機会になった。また、レコードコレクションも整理整頓をしたよ。
僕の一日のルーティンは、朝食の後、ギターを弾き始める。(ロックダウン前は)事務的な仕事が多すぎて、思うようにギターを弾くことができなかったんだ。その後、また最近になってメールが飛び交うようになったから、また事務的な仕事に戻ったけど、ギターを弾くことは止めてないよ。
Q: 何か目標に向かってギターを弾いているのですか?
ジミー: 基本的に、僕がギターを弾くとなると、とにかく新しいものを思いつくことが多いんだ。セッション・ミュージシャンだった時から、ずっとそうだった。過去のテーマ等で遊んでいると、今までにはないものが出てくる。それは、「世界を止めろ!」ってものでもないんだけど、でも、それは自発性な才能がまだ自分にあるということを意味する。そして、それが失われないよう祈ってるんだよ。そうなったら悲しいからね。
だから、レコードの中で自分がどういう風に弾いているのか正確にチェックした。なぜなら、長年にわたって、それらは変化していったはずだからね。そして、一つ分かったことは、僕はスケール(音階)を弾いてなかったってこと。ギター雑誌のインタビューを受けると、僕がスケールで練習してこなかったことに皆驚くんだ。考えるに、僕は(スケール通りに練習する)他に沢山プレイしたり練習したいことがあったんだと思う。これは、無学のミュージシャンだからこそ、自分なりのやり方を会得していたってことだ。
Q: 何故THE ANTHOLOGYに出てくるような、初期の頃のエフォメラ(長期間使われていない印刷物等)を保管し始めたんですか。これらのものが後に重要な物となるだろうという予感がありましたか。
ジミー: 面白いよね。誰かに「あなたって物をため込むタイプですか?」って聞かれたことがあるけど、そうではないんだ。でも、重要なことは、自分が関わっていたことが、ロックンロールが50年代にヒットした以来の本当の現象だって理解していたんだ。そして、それに自分の人生を捧げたんだ。自分がやりたいことは分かっていた。それで成功するなんて思ってなかったと言わざるをえないけど、でも、それが僕のやりたいことでそれの一部になりたいってことだけは分かっていたと思う。
それで、スタジオ・ミュージシャンの頃に、日記をつけたり、自分が参加する予定があるセッション等を記録につけ始めたんだ。そういったものを少しずつ集めていった。それらは二つのスーツケースに一杯になった。引っ越しの時に無くしたくなかったから、それらを両親の元へ持って行った。そして、その後も、ゼップのプロデューサーとして、アセテートやテスト・プレス、スタジオ・ミュージシャンの頃に着ていた服や、音楽の本の裏表紙に書いていた絵などもアーカイブ的な意味で収集を続けていたんだ。
Q: セッション時代を振り返った時に、機材やセットアップに関しどのように思いますか。それが、天国への階段のレコーディングを定義つけたと思いますか。
ジミー: この本のために、各アルバムから1曲か2曲を選んで、使用した機材をできる限り紹介するのが面白いと思ったんだ。クラシックなものはハーモニーギターで、最初の4枚のアルバムは全てギターを使って書いた。"Stairway "はそのギターで演奏した。最初のオーバーダブはエレキの12弦で、1本はVox、もう1本はFenderだった。だから写真のセットアップは、それを書いたギターで、その左右には12弦があり、それが全ての質感を構成しているんだ。で、その時問題になったのは、どうやってライブ演奏するのか。そこで思いついたのがダブルネックで、そうすれば6弦と12弦のギターを同時に一本のギターで演奏できるんじゃないかってことだった。写真からは、文字通り”Stairway”で使用していた楽器と、ライブで演奏するために必要なギターが写っている。過去に読んだことのある人には内観してもらえるように、自分のやっていることに権威を持ちたいと思ったんだ。
Q: 先月はジョン・ボーナムが亡くなって40年の月でしたね。何か胸に去来するものはありますか。
ジミー: ジョン・ボーナムについては何時間でも話していられるよ。でも、1枚目のアルバムの1曲目の"Good Times Bad Times"だ。あの曲のドラムパターンは一夜にしてドラミングを変えたと言ってもいいと思っている。彼は、それまで存在していなかったドラムへのアティテュードをもたらしたし、誰も思いもつかなかったような沢山のテクニックを開発した。
彼と仕事をすることはただただ素晴らしいことだった。僕は、彼と働くことが大好きだった。"Dazed and Confused"で即興演奏なんか、どんどん長くなっていってね、動きのあるクラシックの作品のようになっていた。それは、全部ギターがリードしていたけれど、僕らはお互いに共鳴しあっていて、全てのことを試せたんだ。僕が頷けば、彼は何かがくるって分かって、それはESPのようだった。それは、ボンゾとだけではなくて、バンド全体がそうで、それが僕が一緒に働いていたキーキャラクターだった。彼が遠い過去から今に至るまで作っていただろう音楽。それは悲劇的な損失だよ。彼が生きていれば何を成し得ただろうか。一緒に彼とやれていたらよかったのにね。
Q:バンドの50周年記念のためにドキュメンタリー制作のプロジェクトがアナウンスされていましたが。
ジミー: 僕の担当分は全てやったよ。どんな秘密も漏らすことができないけど、コロナウィルスのせいで、完成が遅れているんだと思う。だから、いつ完成するか正確な日付は言えないけど、完成はすると思うよ。でも、コロナウィルスが全てを変えてしまった様には影響を受けた。前回の本を出版した時は、沢山の素晴らしいことが出来たんだ。クリス・コーネルとQ&Aをしたり、面白いイベントをしたり、面白いやり方でサイン会をしたりね。僕は、いつも他の人がやっていることとは違うことを考えるのが好きなんだ。
Q:私達全員は (コロナの影響を受けて) 違うやり方を考えなければなりませんね。
ジミー: そうだね。ギターの練習は続けた方がよさそうだ。もしかしたら、屋外で弾くことが出来るかもしれないしね。
Q:ヴァーチャルパフォーマンスやヴァーチャルイベントをやろうと考えたことはありますか。
ジミー: 若い頃に僕がグループにいて楽しかった理由の一つは、仲間意識やコンサートや観客の雰囲気だった。初期の頃は、そんなに多くはなかったと認めざるを得ないけど。でも、他のミュージシャンと演奏したり、音楽的な会話をすることが必要だったんだ。僕は、"よし、このレコードをロスで発売するから、ジミー・ペイジにファイルを送って、そこにギターを載せてもらおう"っていうタイプの人間じゃないんだ。それはしない。だから、自分がZoomや何かしらの画面で何かするなんて見えなかった。でも、半年後にはZoomで何かしたいと思うかもしれないから、何とも言えないね。
Q:もし物事が普段通りになったら、よりギターをプレイしたくなりますか。
ジミー: そこ(ツアーやライブ活動)に戻ることは考えてないよ。今は、多くの物事に取り組んでいるんだ。自分のウェブサイトやLed Zeppelinの再リリースのように、複数回に分けてプロジェクトに取り組んでいることが多いんだ。だから、何が何だかわからないままイエスかノーかサインするレベルではなく物事を進めているんだ。僕は正しいやり方で完成させる。それが今回の本を要約するのにいい方法だろう。あらゆる細かな点と共にね。だから、僕の次の作品が何になるのかわからないけれど、かなりの労力を注いでいることは間違いない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?