ロードバイク 盗難対策を比較! オルターロック エアタグ スカウト 比較
室内保管&そこらに停めない、が基本のロードバイク(やマウンテンバイク)ですが、よりアクティブな盗難防止のアラームと万が一の位置情報を取得できる対策の製品が出揃ってきました。
ということでこれらを自腹購入、運用比較を行なっています。
最初に結論
Alterlock Gen2か、Anker + 中華ライトアラームが良いと思います。
Alterlock Gen3も出ました。こちらも良いです!
候補
以下の候補を選んでいます。リンクになっています。。
切り口
月額サブスク絶対イヤ、と言う方もいらっしゃるかとおもいますし、隠す派と見せる派など、お好みはあるかと思います。その辺りは上の表をみていただくとしてまずは基本的な機能の部分の意味を説明していきます。
通信方式(または測位方式)
SigFox / LTE-M
SigFoxやLTE-Mなどを用いて、機器そのものが携帯電話のような広域ネットワークにアクセスします。現時点ではオルターロックGen2のみですが、高齢者や子供といった社会的な弱者や自動車につける機器は数年前からたくさん出ています。これらは機器からの位置情報のアップロードだけでなく、遠隔からの動作の変更やボイスメッセージの送付などダウンリンクも有効活用できます。(現時点でオルターロックにはダウンリンクを活用した機能はない)大抵の通信方式でGPSをアシストするような機能を持っています。十分な衛星の数が見渡せない場合や最後の測位から時間・距離が大きく離れてしまった場合に単体のGPSでは1時間ほど測位に時間を要しますが、SigFoxやLTE-Mはその時間を短縮できます。
デメリットとしては、バッテリーは週〜月単位での充電が必要なことです。通信頻度を上げればバッテリー消費が増えます。また、月額使用料がかかる場合がほとんどです。
Apple「探す」
Bluetoothなどの近距離通信を用いた、やや「パッシブ」な方式です。近くにいる他人、またはオーナーのApple機器にただ乗りして、位置情報を更新します。精度や頻度に疑問を持ちやすい仕組みですが、日本のiPhoneの普及率は凄まじく、都市部ではほとんど問題になりません。一晩iPhoneユーザーが通らない場所に放置される可能性はかなり低いかと。デメリットとしてはAppleのストーカー対策により、盗んだ人のiPhoneには「未知のエアタグが追跡しています」といったような警告画面が出て、その状態からはタグ側の音が出せたり、UWBで場所を10cm単位程度で探すことができます。現時点では月額使用料はかかりません。他人のiphoneを使用する、という点でのプライバシー問題は暗号化で解決しています。
WiFi
お手元のスマートフォンなどもそうですが、いろいろな会社がWifiのSSIDやMAC アドレスと位置情報が一覧となったデータを整備しており、このデータを使用して大まかな位置を特定する機能を持っている場合があります。これ単体で使用している製品は把握していませんが、Alterlockや見守りGPSなどは昔から使っています。
警報アラーム
振動や移動(加速度)が加わると大きな音量でアラームが鳴り注意を引いて、盗難そのものを防止する機能です。過度に敏感だと風はもちろん、通行人がそばを歩いただけで反応してしまうため、感度設定が適切は範囲で行えることが重要です。監視のセット、解除が必要でセットを忘れると当然警報はなりません。
測位性能・頻度
表示される位置情報が、どの程度の誤差を含むか、あるいは時間的な遅れを伴っているのかを考慮する必要があります。例えていうと100メートルもずれていたら捜索には困難を極めます。
頻度に関してはあまりに低いと現地に行ったらすでに移動していた、など、時間的な不都合を生じます。
仮に盗難に出くわして、場所がわかったとして、どうするのか?は難しい問題です。警察が同行してくれれば心強いと思いますが、同時に自転車より命のほうが大切、といった前提もあらかじめ心に留めておいてください。
各ソリューションに関しての感想
オルターロックGen2
現時点でバランスが取れていると思います。 わざわざアプリを開かなくても本体から監視のセットが可能です。 SigFoxは完全なカバレッジがあるわけではなさそうですが、都市部は大丈夫そうです。充電も自分の使い方だと3ヶ月ぐらい持つこともあります。携帯にバッテリー警告が出るので充電も忘れません。
弱点は測位性能で、20年前のeTrexだって都市部でそれなりに測位できるのにAGPSもどきが使えるはずの現代の端末としてはかなりお粗末です。 都市部では1時間の定期測位でも3回に1回ぐらいしか成功せず、移動中に測位できたことはほぼありません。WiFiを利用しての位置情報などの努力はしていますので、数時間に一回は(大まかな)位置を掴めます。このたりはGen3に期待ですが、Gen3は定期測位が最短6時間毎らしいので初動は遅れますね。
マニュアルに書いてある個別のIDを用いれば、簡単に登録や解除も可能で中古市場での流通も可能です。
Knog Scout
オーストラリアのKnogが作った自転車専用AirTag+振動アラームです。WANの通信手段やGPSをもたず、Appleの探すネットワークを利用するためバッテリーはかなり持ち、自分の使い方では充電は半年に一回程度です。
ただ残念なことに監視セットするためにアプリを開かねばならず、そのアプリも開いてから接続、監視スタートまでに十秒ほどは要します。安定性もイマイチで10回中3回程度は接続に失敗、あるいは起動中に固まっています。またAndroidでは動作しません。携帯の機種変ではリセットのために本体を一度自転車から外す必要がありました。また、誤動作させるとアラームを止めるためにやはり携帯アプリを開く必要があります。振動感度はかなり高く、一番甘くしても自転車のハンドルを動かした程度で警報音が鳴り響きます。そのため風や振動での誤動作も多いです。
AirTag / Eufy (Anker) Smart Tracker + 中華ライト
AirtagとEufyはまとめて記述します。
AirTagやその互換Trackerは位置情報を確認できますが、警報アラート機能がありません。そこで、警報アラートを持った中華ライトA5を組み合わせるわけです。iPhoneユーザーならお手軽な組み合わせ。
Eufyの互換製品はUWBに対応していないのですが、探すアプリから大まかな場所はわかります。盗んだ人がiPhoneユーザーであれば、UWBで場所を探せてしまう本家より設置箇所を特定されづらい固有のメリットがあります。また、悪用は厳禁ですが、静音化も非破壊的な加工で可能です。
AirTagでもEufyでも、都市部にいる限りはAlterlockよりずっと更新頻度も測位性能も高く感じます。多少通信距離を犠牲にしてもフレーム内に収めることをおすすめします。デメリットはAndroidユーザーは対応できず。
細身のクロモリバイクだと、中には入れられません。3Dプリンターでマウントを作って公開しています。
追記:その他中華系から格安のAirTag互換機も出ています。こちらはAliで千円未満でかえましたが、形状としてボトルケージマウントは少し難しい。防水も怪しいですし、フレーム内向きですかね。
まとめ
Alterlockの測位性能は残念ですが、使い勝手やセンサーのバランスでおすすめできます。 また、Eufy + 中華センサーはトータルコストが低くまた、2個のデバイスで分散対策されているため、盗難者が気づき、取り外すまでの時間を要するはずです。このような考え方で冒頭のおすすめを作りました。
最後に自転車関係製造業の皆様へ
自転車がなぜ盗まれるかというと、それは盗むと得するからですね。逆に、「盗んでも使えない」「売れない」という世界であれば盗まれないわけですね。
Apple社のiPhoneやiPadはロック解除は第三者には不可能に近く、探すネットワークで位置が特定できます。設定さえ正しければ盗んでもほとんどお金にならないでしょう。消費者は(少なくとも僕は)安心して高価なiPadを購入し、ラーメン屋に忘れて次の日に取りに行くわけです。
Di2やAXS、ガーミンなど電源とBLEに対応している機器であれば、このような盗難対策ができるのではないでしょうか。定期的にスマホとペアリングしないと動作を止めるとか、探すネットワークに対応させるとか、実現可能と思いますのでぜひ「盗んでも無駄」という文化を形成して欲しいと思います。そうすれば皆安心してDuraAceやREDを買える(かも)しれません。一部のeBikeモーターでBOSCHはすでに取り組んでいます。ぜひ犯罪を許容しないものづくりをお願いします。
もう20年ちかく自転車にのっていて、ネタは色々あると気づきました。できるだけ他では語られないコンテンツを書いてコミュニティに貢献していこうとおもっています。 いつかどこかで一緒にライドしましょう!
他の記事もよろしくお願いします。 https://note.com/bikes/