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曲(まがり)の海 ~対馬への旅の記録2
光枝さんとは、アジア美術館の「水のアジア」の展示を通して知り合った。
釜山と博多の間で刻まれた家族の歴史に共通のものがあったのが、きっかけだった。
そして時間を共有する中で、光枝さんが海女学校を卒業されており、ご自身も海に潜ることや、いろんな偶然が重なり海女文化のある対馬へ行きついていたことを話してもらった。
光枝さんが通い続けた曲地区のことも聞いていた。
曲地区は、裸海女の文化が残る集落だという。
私はというと、それまでほとんど知らなかった対馬に、長女が高校進学することになった2016年~2019年、年に数回は対馬を訪れていた。
福岡空港から対馬空港へ飛んだあと、対馬の中心部となる厳原へのアクセスは、バスで約40分。
2019年以来の対馬でのバス乗車だ。
当時の古かったバスは、新車に変わっていた。
けれど、今も料金支払いのタッチIDの機械が見当たらず、紙の整理券を手に取りバスに乗り込んだ。
対馬空港から厳原へのこのルートを、何度通っただろうか。
そのルートからは、美しい木々や自然、素朴な町並みは見えるものの、海の景色はなかなか現れないが、1か所、しばらくの間海を臨めるポイントがあった。
はじめてこのルートをバスで通った時、美しい海の景色に私の心は踊った。
そしてその後も、対馬を空路で訪れる際には、この美しい海の景色を楽しみにしていた。
久々に通るこのルートで、楽しみにしていた海の景色が目の前に広がった時、グーグルマップで自分の位置を確認すると、そこは曲地区だった。
光枝さんから聞いていた曲地区と、私の中の楽しみにしていた対馬の海の風景が、繋がった瞬間だった。
海に惹かれるのはなぜだろう。
私達人類の祖先は、海中から陸を目指し、進化して今の姿になった。
その過程で、いろんな物や情報を携えた。
身につけてしまったものを取り払い、原始の自分に戻りたいと、心のどこかで思っているのかもしれない。
そして、生まれたままの姿で母の胎内にいる感覚を、どこかに記憶しているのかもしれない。
私はこれから、裸で海に潜る海女文化の展示を、見に行く。
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