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かすかな、でも確かな音と光と ~秋の韓国への旅の記録4

光州ビエンナーレの展示作品を観るために訪れた秋の光州。

山内光枝さんの作品を鑑賞した後、もうひとつの日本パビリオン、内海昭子さんの作品会場に足を運んだ。

会場は「Cultuer Hotel LAAM」。
暗い会場に入った途端、かすかな、でも確かな金属音が耳に入った。
次第

に暗闇に目が慣れていき、宙に舞う金属たちが目に入り、それらがかすかに触れ合いながら奏でている音叉だということが分かった。

そしてそれぞれの金属は、緩やかな動きを見せながら、角度によってかすかに光を放つ。

光州ビエンナーレが開催される前、福岡でのシンポジウムに参加をし、内海さんが、「民衆の直訴」というかたちの訴えに着目していることを聞いていた。

光州を訪れることになった時、光州事件についての情報を集めた。
光州市民によって、民主化を訴えて行われたデモ。
デモというかたちで、民衆は直接の声を上げた。

情報を集める中では、国家レベルの政治については諸説の情報があり、どの情報が正しいかとか、政治的な話を論じることは私にはできないが、

暴力により人々が受けた心の痛みや、そこに残された悲しさを、繰り返したくない。
それだけは言い切れる。

そして実際に訪れた光州では、軍事政権に対して民主化を要求した土壌の、リベラルな空気を感じとった。

暗闇に舞う金属と、それらが放つかすかな光と音叉は、光州に根付く人々の自由を求める心を、そして悲しさを背負った集合意識への弔いを、私に想起させた。



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bijou blanc
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