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読書日誌1(人工知能は人間を超えるか~ディープランニングの先にあるもの)

はじめに

読書日誌と題して始める連載の第一弾。記念すべきこの回に私はこの本を選ばせていただきました。自分自身、文系であるということもあり人工知能に関する知識は日々のニュースや就活を通して各企業の事業に取り入れられている事例を見たり聞いたりした程度であった。そんな中やはりこれからの時代の必須の教養として最低限の知識は身につけなくてはいけないと思い今回はこの本を取り上げてまとめてみることにしました!ぜひご覧ください!!

人工知能とは?

・専門家と世間の認識のズレ

人工知能の定義は様々であり専門家の間でも考え方に違いがある。人工知能の最終的な目標は人間の脳を完璧にコンピュータで作り上げることであり、それは人間の脳がなんらかの計算で動いているという前提に立つと不可能なわけがないのである。しかしその人工知能がどの時点でできたとするのかは専門家によっても分かれているという話である。

ただ筆者がここで問題にしているのは専門家の中でも人工知能の定義にズレがあり世間がそれらのどの立場に立つかというような話ではない。本当に問題なのはそもそも人工知能ではないもの(単なる制御プログラム)を人工知能として認識したり、人工知能のレベル(どの技術が最新のもので、どの技術が基礎的なものなのか)を正しく認識できていないということが問題だと述べている。

実際、巷には人工知能搭載!だったりAIによる識別!!といった商品が溢れているが一体それがどれほどの技術を使っているのかが理解されていない。そのためその商品の市場価値が正しく評価されていないということが問題なのである。我々は正しく人工知能のレベルを評価して今後どのような発展をすべきかを歴史を見て学ぶべきである。

第1次AIブーム

・推論と探索の時代

第1次AIブームは推論と探索の時代であった。コンピュータの力によってありとあらゆる状況を推論・探索してその中で最もいいものをコンピュータが見つけ出す。そのための最も効率的で正確な方法が研究されていた時代だった。全ての可能性を順番に探索することは人間よりコンピュータの方がもちろん早いし、正確であるためこの時代のコンピュータは将棋やチェス、オセロなどでプロの競技者を打ち破ることができた。

しかしこの時代のAIには2つの弱点があった。

1つ目は特徴量(どんな値に注目して結果を評価するべきか)を人間が与えなくてはいけない点

2つ目は高度に専門的な内容は解決できても現実的な問題には対処できない点

1つ目に関してはもう少しわかりやすくいうと与えられたデータやその先の行動を探索した際にどんな点に注目して結果を返せばいいかという評価軸=特徴量は人間が作らなくてはいけないということである。つまり人間がすでにこの方がいいよね!とわかっている問題にしか対処できない。

2つ目はもっと深刻である。現実の問題というのは将棋やチェスとは違い、さまざまな事象が絡み合って生まれている。将棋やチェスなどは専門的なルールのもとですでにある程度どういったものが最適なものなのかがわかっている問題なのでAIにとっては対処しやすいが、現実の問題は何をどうしたら他の要素がどうなるのかと言った事象の因果関係や相関関係が分からないもしくは大量に組み合わさっているため1つずつ推論・探索するのに非常に時間がかかり、またできたとしても何に注目すれば良いか分からないという問題があった。


第2次AIブーム

・知識を取り入れることの難しさ

第1次ブームでは将棋やチェスなど一定のルールのもとでAIは活躍することはできるが、一般的な問題には対処できないという問題が発生した。
第2次ブームでは知識をコンピュータに取り入れることでより現実的な問題に対処しようという研究が活発に行われた。

このころになるとAIを使ってクイズ問題を解いたり(IBMのワトソン)することが可能となった。

手順としては、まず大量の専門データをコンピュータに知識としてインプットさせる。そして様々なルールを作り推論させることで問題に対処できるようにする。そんな研究が盛んに行われるようになった。しかし問題が発生した。それは大量の知識をどうやって表現するかということである。

知識同士の関係を示すのは非常に難しい。人間は簡単にAとBは似たような関係、BとCは反対の関係などを理解していくがコンピュータにこれを教えるとなると大変である。そこで取り入れられたのがビッグデータから知識の概念を自動で学習させるというやり方である。ウィキペディアのリンクがここからここに飛んでいるとかこの言葉はこの言葉と一緒に使われることが多いと言った様々な知識の関係性を自動で読み取らせたのである。そうすることで多少精度は落ちるがより簡単に大量に知識を入れることが出来るようになった。

しかしそこで取り入れた知識をコンピュータが理解しているわけではない。コンピュータはただの記号としてそれらの知識を繋ぎ合わせているにすぎないのだ。

さらにはそのような方法で知識を入れたとしても一般的な問題を解こうとするには関係性を示す途方もないビッグデータが必要なため、結局実用的なものにはならなかった。他にもどんな知識がその時必要かを考えるフレーム問題や記号としての言葉と言葉が持つ意味が結びつかないというシンボルグラウディング問題など様々な課題が残っていた。そのため、またしてもAIはブームとして過ぎ去ってしまうこととなった。


第3次AIブーム

・機械学習とは                           

第2次ブームによってAIは知識を吸収できるようになったが、基本的にはその知識以上のことはできなかった。しかし機械学習は人工知能のプログラミング自身が学習することで、データの「分け方」を自動で取得し道のデータまでも「分ける」ことが出来るようになった。そうすると今まではこれはこうやって分けなさいという指示を出してコンピュータを指示していた。しかし機械学習はその分け方を自分自身で学習し、これはこうやって分けるものと自動で理解できるようになった。これによって大きく変化したのは今までは未知のデータが出てくるたびにその分け方も一緒に指示しなくてはいけなかったが、機械学習が可能になると何かデータを与えればこれは個々に分けるのかと自動で判断してくれるようになった。しかし機械学習には大きな欠点が残されていた。それが特徴量の設計に関する問題であった。

・特徴量の何が大事?                         

私はこの本を読んで特徴量とは世界の見方である。と理解した。(間違っていたら指摘してください)機械学習ではこの世界の見方である特徴量を人間が考えコンピュータに教えていた。しかしこのやり方だと人間の世界の見方をコンピュータに押し付けていることになる。人間とコンピュータそれぞれ全く別の存在なのに同じ見方で世界を見ようとすれば様々な問題が発生する。それがフレーム問題やシンボルグラウディング問題であった。(いい特徴量を設計すればそれらの問題も改善はみられるが根本的な解決にはつながらなかった。

結局、人間が世界の見方をコンピュータに押し付けている限りは永久に人工知能の開発は不可能なのである。そしてその問題を解決することが人工知能分野の研究を大きく推し進めることになる。そしてその技術こそがディープランニングであった。



これからの未来

・ディープランニング                        

ディープランニングとは簡単に説明すればコンピュータが自分自身で特y超量を設計する(世界の見方を考える)技術である。これによってコンピュータがコンピュータ独自世界の見方を学びそれによってさまざまな事象を評価、判断、識別している。

ここで大事なのは人間がネコだと思うものと、コンピュータがネコだと思うものは一緒のものである。(そのような知識の入れ方をしているので)しかし何をもってネコであると判断しているかは人間とコンピュータでは全く違うのである。しかしそれでも良いのではないか?というのがこの本の著者の意見である。なぜなら人間とコンピュータ全く違う存在が同じように世界を見ることなどできないのだから。

ここで補足をしておく。なぜ人間とコンピュータがネコだと思うものが一緒になるかというとコンピュータがネコだと思うものに対して人間がこれはネコであるという知識を最後に付け加えるからである。コンピュータからすればいろいろな動物をとりあえず分別して置いたら、後で人間からこれはネコでこれはイヌだというように人間の世界での呼び方を説明してもらっているのである。

・これからの世界                            

これから先、ディープランニングの技術を持ったコンピュータは世界の様々なものをコンピュータ自身の世界の見方で見ていくことになる。今はまだ画像や広告、防犯カメラなどによる行動予測の範囲だがこれが広がっていけば様々な分野でコンピュータが独自の視点で世界を理解し、予測・評価・判断できるようになる。そうなった先には今では考えられない独自の産業や技術が生み出される。しかし今人工知能の最先端で行われているのはディープランニングが出来る前から存在する従来の研究成果とディープランニングの融合である。

それを理解しておけば今後どのような技術が発展するのかを予測することが出来るかもしれない。だからこそ我々は人工知能に対して正しく理解し、正しく対処していくべきなのである。

最後に

人工知能という言葉は聞いたことがあったがその本質は全く理解できていなかった。しかし今回この本を読んだことで何となくだが人工知能の歴史や未来を感じ取ることが出来た気がする。大事なのは今の段階で何が出来て何が出来ないのかを正しく理解し、今後何が出来るようになるのかを予測することで今自分が関わっている仕事にどのような影響が出るのかを考えることである。



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