平成30年1

『生活者の平成30年史 データで読む価値観の変化』(著)博報堂生活総合研究所

ライフスタイルの観点から書かれている

令和が始まった5月1日、各種メディアでの報道が多く、まるでお正月を迎えているかのようだった。ここで令和の由来を今一度共有しておこう。

春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりが明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込め、決定した。
日経新聞(2019年4月2日号)より引用

自分なりの解釈を踏まえると、一人ひとりが自分の人生にビジョンを持ち、それに従って突き進むように告げられている気がする。

しかし、令和が始まって約1ヶ月ほど経ったが、日常生活に置いて意識することは殆どない。それよりも、働き方や次の産業の話で話題が持ち上がっている。

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令和が始まる3ヶ月ほど前に書店を歩いていた時、政治や歴史・経済と言った観点から、平成を振り返る本が棚にたくさん置かれていた。しかし、どこか自分ごと化しにくいように感じた。

一方、今回紹介したい本を偶々見つけた時、これは自分ごととして捉えやすい!と思ったし、実際に読んでみるとデータを駆使してくれて納得感も大きい。

生活者の平成30年史 データで読む価値観の変化


博報堂生活総合研究所から出ていて、他の平成を振り返る本よりも本のデザイン(装丁)が白と黒をメインにシンプルであるため、手に取りやすかったのを覚えている。

そこで今回、著書を自分なりの言葉も踏まえて、#常温社会 #トキ消費 #家族 これら3つの切り口から紹介していく。

常温社会:この先良くも悪くもならない

過熱した高度経済成長期+バブル期と、そこから失われた20年のような冷却期を経て、現在の日本は常温社会だと言われている。

実際、年々実質収入は減っていて消費意欲が下がっていても、個々人の生活レベルは中流だと意識している人が多い。

また、現状日本はGDPで世界第3位だが、1人あたりのGDPは30位くらい。数十年後には他のアジアに抜かれ、アジアトップ層の地位さえも失ってしまうかもしれない。しかし、常温社会に浸っている私たちはそんなことに気づかないだろう。

日本全体が常温社会でこの先良くも悪くもならないとなると、個人としてはリスクをとりやすいため、失敗してもその痛手は昔と比べると小さい。自分で行動して未来を切り拓き、幸せを創出することが最短の道だと言えるだろう。

消費はモノ→コト→トキへ。

平成30年間で消費の形も変化してきている。

<モノ消費>

1970年〜80年代は、所有することに価値があり、自分の空白(欲求)を物で埋めるモノ消費だった。労働の対価で得た収入は、家電・掃除機・洗濯機・自動車・マイホームなどに費やされ、ある種の社会ステータスにもなっている。

<コト消費>

2000年代に入ると、物で欲求を埋める人は減っていき、「体験」で埋めたくなる人が増えてくる。また、インターネットの登場によって消費する側から生産する側へ移る人が増え、二次創作を通じて消費者は疑似体験を味わうようになる。

<トキ消費>

疑似体験が増えるにつれて、自分自身が本当に体験したいと思うトキ消費へと転換していく。トキ消費の主な特徴は、非再現性・参加性・貢献性の3つが挙げられる。要は、たった1回のイベントで自分も参加して、実際に貢献していると分かるような消費になることで、満足度はとても高くなる。

プロスポーツで選手を応援したり、LIVEで一緒に盛り上がったりするようなエンタメ分野が益々伸びることは間違いない。

家族はプロジェクト型に。

かつての親子3世代モデルから核家族になり、現在はプロジェクト型家族にシフトしている。また、これが正解と分かるような家族のロールモデルも無い。

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ちょっと雑談を入れると、今自分が読んでいる本の1つである『そして、バトンは渡された』(著)瀬尾まいこ においても、主人公の優子ちゃん(17)は名字が4回変わっている。

しかし本人は、血の繋がっていない両親でも絆を育もうとしている。要は、自分の意識次第で「家族」を形成することができる。

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話を戻そう。

そもそも、昨今は家族の一因であるよりも、個人の集合化として家族を形成する風潮に変わっている。

その背景として、社会全体が共働きになったり、敢えて子供を産まないで夫婦だけで家族を作ったりするなど多様になってきたからだと考えられる。

しかし、違和感があったことを記しておくと、プロジェクト型家族になったことで、自分の父親を呼ぶ時、「お父さん」ではなく「(名前)くん、さん」と呼ぶ子供が増えている。父親ではなく、友達のような感覚で気持ち悪い。

となると、父親とは何か?について考えるきっかけにもなった。



その他にも様々な切り口で平成について語られているため、非常にオススメの一冊です。5〜10年後の未来と平成を比較する時に、需要が伸びそうですね。


以上です。

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