デビュー・アルバム発売前のバンドを来日させるんじゃないよ、まったく
長い間、音楽業界〜レコード屋業界の端っこの端っこの端っこにいると日本人リスナーの特異性の素晴らしさに度々感動するのですが、それは島国及び英語が得意でない国民である故に生み出されるものでありまたインターネットが登場してからもその特異性を維持するのはこれまたインターネットが苦手というネガティブな理由からというのはとても面白く(英語が得意でないにイコールではあるけれど)ガラパゴスのメリットだとも思います。
つまりレコードを借りるか買うかもしくは偶然ラジオやTVで流れてこない限り雑誌フールズメイトで紹介された音楽を聴くことはできなかった1980年代の私と同様とまではいかないにしても依然その枯渇が生む日本人の想像力は健在です。
もちろんだいたいレコード屋の上の方に飾ってあるその音楽を想像で鳴らすことしか出来なかったスロッビング・グリッスルの『20 ジャズ・ファンク・グレーツ』を初めて大人になって聴いた時「ちゃ、ちゃんと一応音楽っ」とビビり腰抜かした私ほどではないと思いますが、未だ日本人は特に欧米のインディ・バンドなどに対して特異な選択と評価をします。
(『オレンジ・ジュース好きは必聴』とコメントされている新人バンドのレコードばかりを買っていた私が大人になりついに手に入れたオレンジ・ジュースの1stアルバムを聴いた時にも「オ、オレが買ってたオレンジ・ジュースに影響を受けたバンドの100倍良いっ」とこれまで聴いていたのは一体…と腰抜かしました)
どちらも昔の音楽なんでどちらも聴かなくていいですけど。
海外バンドの来日公演のタイミングは非常に大事です。
なぜならば来日すれば我々は現実を確認することになるからです。
そう、初来日公演に行く行為は我々にとって隣のクラスの話したこともない憧れの娘といきなり旅行に行くようなもの。
デートじゃなくて旅行です。
長い時間一緒にいるため憧れのあの娘は疲れたりもするでしょう。
そしていきなり座り込みこう言います。
「あんた一体どこまで行くんと?もうこっちゃー無理じゃけん。」
えっ博多弁?博多弁なんだ。いやあの意外というか、うん博多弁はボク嫌いじゃないよ。ただボクが勝手に博多弁をしゃべるとは思っていなかっただけで勝手に横浜山手町生まれの娘と思ってただけで…えーと、座っちゃうの?直に道端にお尻つけちゃってるよ。え?もう歩けない。あ、歩けんと?えーとでもねホテルはもう少しあるので、あとちょっとだけ歩けませんか?歩けない。うん、歩けないよね、お尻ついちゃってるし。えっとーじゃ、ボクがおんぶするよ!あ、おんぶは恥ずかしいからイヤだ…そうだよね、恥ずかしいよね。そりゃ恥ずかしい。ボクもこの後1キロのおんぶはだいぶ辛いかなあとだいぶ思ってたわけで。えーと、あのーうーんと、え?お腹すいた?うん、お腹はボクもすいたよね。じゃそこの店…までも歩けない。おんぶ、もいやだ。それはさっき言ったと、はいわかってます。えーとじゃ、あのーどうじようかな、えーとうーんと….…なんか想像と違うぅ!!!
肝心なところを絶賛アップデート中の2020'sイデオロギーに邪魔されては困るので話が途切れましたが、つまり日本のリスナーやファンはこっちの都合が良いようにめっちゃ想像力200%で彼らを好きになってくれているのです。
しかしそんなことは欧米のギター・バンドなどはわかっておりません。
特に新人な彼らはそんな日本の素晴らしいリスナーやファンの方々と違い想像力ゼロです。
完璧にゼロです。
というわけで彼らはめっちゃ簡単に日本でライブをやりたいとめっちゃ言います。
そして私は彼らにこう言います。
「えー、あなたは日本に来たい。あなたが日本に来たい。…..あのですね.….なに等身大で言ってんだっボッケーッ!日本人の想像力なめてんじゃねーぞ!てめえなんて日本人はてめえのこと200倍良く見えてんだからなっ!!等身大でボ〜と立ってるだけのおまえなんて今日本に来ても200分の1ガッカリだわ!もっとてめえ自身を磨きまくってから日本には….…..来いっ!!!」
実際マジでそうなのです。
私が正解です。
もちろん彼らに罪はありません。
あったとしたら法治国家同士大変です。
というわけで私はデビュー・アルバム発売前のバンドやアーティストが来日公演を行うのはとてもやめて欲しく、それはレコード屋としての訴えでもあるのですがつまり売れなくなるんですよね、発売前に来日しちゃうと。
ドキドキが来日公演で消化されちゃうのです。
もちろんライブ観てさらに好きになったという場合もあるとは思います。
でも人間、特に日本人は与えられると飽きちゃうんです。
そっちの恐れの方が大きいんです。
と、ここまでやたらと長くなりましたがHighScoolというバンドがいまして、これがコチラのnoteでも何度か紹介したように最高なのです。
でもデビュー・アルバム発売はまだのようです。
でも来日公演をするそうです。
ハァ?おい!誰が呼んでんじゃ、出てこいや!ボッケーッ!!!!!
という話を彼らを招聘してる子と昨晩したのですが、でももう来ちゃうんです。
ならばなんとかアルバム発売へ向けて良い感じに…できるかどうかは私が後から考えるとして、せめて観に行かれるリスナーやファンが良い感じにしないと。
で、何か音源売るの?えっ売らない?さらに今のままだと赤字になる??
あれ?待てよ。
コレと同じような話、ついこの前あった気がする。
私がなんかめちゃくちゃやった気がする。
そして関係ないのになぜかチケット買ってくれた人に何かあげた気がする。
な〜〜〜〜〜〜〜〜んでこんなのばっかやねん!
音源系の物販作ろうと話すと早速彼はその場に本人に電話してOKを取っていたようなのでなにか当日販売されるはずです。
来日まで時間がないのでCD-Rかカセットだと思いますが、今どきはCD-Rでも逆に相当良いのではないでしょうか。
ツアーとウチだけで売られたbar italiaのCD-Rも彼らの作品の中でもっとも入手できない作品となっているようだし、その昔Iceageの時に僕らが作ったカセットも未だに本当に存在するのか?と聞かれますし。
とても楽しみなバンドです。
赤字になるとすでに私の責任みたいな雰囲気になってるので、是非みなさん行って公演を楽しんでブツもゲットしてください。
結局なんで私が宣伝する結末になっているのか意味不明ですが、皆様何卒よろしくお願いいたします。
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サポート!とんでもない人だな!