Aldous Hardingのニューアルバム「Warm Chris」
カナダは芸術家が住みやすい国、だって国から色々な補助があるし芸術家と名乗れば住まいは無料なの、とカナダ人に聞いたことがあるけど未だにそうなのかは知りません。ただインディペンデントのミュージシャンは自由に活動している雰囲気は他の欧米諸国のそれ以上に感じるしもちろん北欧にも似たようなものを感じる国もありますが、陸繋がりでシカゴへのニューヨークへも同じ距離で行ける大都市トロント、第一言語はフランス語のフランス系カナダ人が多く住むモントリオール、どちらの都市もニューヨークからは東京から札幌よりも近い距離に存在すると思えば我々日本人からすると想像できない環境で確かに何か良いもの生まれそう。彼らすればポツンと島国な我々日本人の方もミステリアスだと思うでしょうが。
こちらのJane Inc.のようなもろマドンナでありながらなこの位置に躊躇なく落とせるのはやはりカナダならではと私はタマりません。アメリカ人ならばここまでイケたらサクセスへ!と舵を切るだろうし、イギリス人ならそもそもこんな音は出さないかな?そして我々日本人は遠く離れた島国に存在するからこそ彼女のような存在をピックアップすることができるのだと思います。とか言いながらもはやそんな音楽媒体も消費者もほとんどいなそうですが。1990年代までは欧米の新人を能動的でないにせよ無意識に積極的に紹介する人間たちが多かったからこそ日本で最初に認められ後に大スターになったバンドやアーティストが沢山生まれたと思います。もちろんBIG IN JAPANと揶揄されるバンドも多くいましたが、しかしその中には後に日本人が正しかったと証明するバンドやアーティストも多くいました。今や日本だけで売れてない欧米のアーティストばかりなんて'90年代には想像出来ないことです。
カナダの話に戻りますが、しかし自由は自由で向上心を削がれる場合も多いです。知人のカナダ人もそれがカナダ人の弱点とニューヨークに旅立ったといった話は以前も書いたかもしれませんが、ただの不平不満を主張と解釈する日本人も同じな気がしますが、知人のカナダ人のようにわかっている人間は実は多く、我々年寄りはいらぬ心配をせずほっとくべきと思います。
ただ彼女のような存在に出会うためには欧米の音楽を聴いた方が良いと思います。彼女はニュージーランド出身ですけど。
すなわち狂った天才。前回紹介したAlex Cameronは変態を主張しているのにも関わらず世間には普通の男と見なされそうな悲哀がこれまた愛したいところである男ですが、こちらのAldous Hardingはその美しさの表面からヤバさが滲み出過ぎ人間の防衛本能として見て見ぬふりされる唯一のタイプ。Nicoが持っていたそれともたぶん違い(わたし世代じゃないので良くは知りませんが)この新しい時代の価値観から生まれた現代アート的変態がギラリと光まくる音楽。つまり凡人な我々は彼女に追いつけないジレンマをマゾ的に楽しむのです。
アルバムの音源をもらってもレコードとして発売されるまで聴かないレコード屋として大失格のタイプの人間なのですが、今週末に発売される彼女のアルバムだけは聴いてしまいました。今のところ個人的ベスト・アルバム候補の最右翼。
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サポート!とんでもない人だな!