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16.この世に不要とされていた人間は「あなたは生きていい」と言われた瞬間号泣する。

「あなたが必要です」
そう言ってもらえる人の人生は幸せだ。

子供の頃には両親が側にいて励ましてくれていたが、大人になると誰も褒めてくれない。社会へ出て褒められる時があっても、課題を解決した時のみの条件付き承認だったりして無条件の受容では無い。自らご褒美を与えるか、報酬を高めて自己肯定感を保つ方法しか知らなかった。

MISAKIは長年自分で「私はこの世に必要な人間です」「芽が出てないだけで才能があります。そんな自分はこの世に必要です」そう言い聞かせてきた。


自分で言わなきゃ、誰も言ってくれないから生きたく無くなってしまう。
仕事でミスをする度、自分の音楽をリリースして結果が出ない度
「自分は必要とされてないのかもしれない...」そう言いかけて

そんなことはない!世の中がわかってないだけだ」
落ち込む気持ちをかき消すように自己愛を被せていく。

偏った自意識を拗らせ、認知の歪みを増幅させたモンスター。
たまに鏡で見ると酷い目つきだ。


そんな自分が日本をいっとき離れ、アメリカ西海岸のビーチで惚けてる


サンノゼの海岸をレンタルサイクルで爆走し、隣接のバーでビールをオーダー。「パスポート見せて?え?嘘でしょ?17才の間違いじゃない?笑」観光客向けのお世辞も素直に受け入れるほど腑抜けている。

日本では自信を失ったMISAKIだったが、カルフォルニアの人には単なる観光客として受け入れられていた。日本で感じていた卑屈さは自分が生み出していた自意識だったのかもしれない。そんな風に思うほど楽しい時間を過ごして...

とうとう辿り着いた旅の最終地点
「SAP センター・アット・サンノゼ」

MONSTER DADAのコンサートを観に、このスタジアムに来たのだ!
今まで日本で観た音楽ライブの中でも特大。
超巨大アリーナクラスの外観に圧倒されていた。

「こんな大きな場所で自分の曲が演奏されるの?」

信じられない。

そして何より日本からインターネットを介しTicket Masterで買った入場券で中に入れるのか?不安でバクバクだった。カバンの中に食べ物が入っていて、違うゲートに案内された時は「このまま観れないまま日本に帰るのか」という不安に押し潰されそうになっていたが無事入場することができた。

今となってはネットでチケットを購入することも当たり前だし「普通に入れるっしょ!」と思うことも当時はナーバスになっていて全てが疑心暗鬼だった。スタジアムの中に入って初めて、リラックスして音楽に集中することができた。

というのもホームレスに絡まれたり、英語の拙いアジア人というコンプレックスがあったり、街を歩く現地人は自信に溢れているように見えたり、多様な人種が集まっていて、観光客というアドバンテージがあっても緊張していた。

しかし、コンサート会場に入ってしまえば99%音楽好きの人が集まって居る。多様な人種の味方であるMONSTER DADAのファンということもあってか自分と近いような雰囲気の人も多かった。肌の色もアジア系、ヒスパニック系、黒人、白人混ぜこぜだった。そしてボディチェックで銃の持ち込み心配ない。

「アメリカの人ってみんな自信があったり、自己主張が強い人が多いと思っていたけど...どうやら違うみたいだ。」

心から安心できる居場所。このライブコンサートは日本とは違って、アメリカの人にとっては貴重な存在なんだろうな。そう感じていた。

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