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ルールの重要性[ラウドネスノーマライゼーションについて]1週間無料公開

今回はルールについての投稿です。ルールは大事だなと実感した話。

この記事は77億分の1の意見でしかなく、読んだ人に考え方を強制したり啓蒙する意図はありません。自分と違う立場の方や、違う考えの方を否定するわけでは無い、ひとつの意見として読んで頂き「ああ、こう思う人もいるんだなぁ...自分は違うけど」というようなライトな気持ちで読んでいただけたら幸いです。

ただ誰も傷つかない、全ての方向に配慮した文章では自分が書く意味が無いと思うので尖った内容に嫌な思いをする人がいるかもしれません。そのような気持ちになりたくない方はここでページを閉じていただけたら助かります。

ここに書いていない内容の文章を読み取り、文章全体から一部だけど切り離し歪曲して取り上げたりすることは控えていただけたら......

なぜルールは大事だと思ったのか?そのきっかけは「ラウドネス規制」


「ラウドネス規制」について

YouTubeやSpotifyに導入されていた自動音量調整機能「ラウドネスノーマライゼーション」が2020年1月29日にニコニコ動画の機能に搭載されることになったので、日本の動画プラットフォームにもラウドネス規制のルールが適応されました。

ラウドネスノーマライゼーションとは、動画の音量を自動的に調整してくれる機能です。
大きい音の動画、小さい音の動画を均一にしてくれる機能。

BIGHEADの動画は音が小さいけど、〇〇Pの動画は音が大きい。
ということが無くなります。軽減されます。

ありがたい。

リスナーにとって素晴らしい機能で、各動画の音量がバラバラのため突然の大音量にビックリしたり、小さい動画が聞こえにくいから音量を上げるということが無くなりました。

めちゃめちゃ便利な機能!ってわけじゃなくTVなどでは音量を揃えて入稿するようになってたので、昔からあるルールで「音量は揃えてあったほうが良いよね」っていう雰囲気はあったんじゃ無いかと思います。実現していなかっただけで。

では2020年1月29日に導入される前まではどういう状況だったのか?!

フリーダムでした。

フリーダム。自由というか無法地帯

大きい音量で投稿した方が「派手で」「音がよく聞こえる」ので、いかに大きい音量で投稿できるか競いあってる状況でした。

いわゆる音圧戦争。ラウドネスウォーと呼ばれた状態。
ルールは無く、いかに大きな音を作れるか....

2020年の今、書いているけどメチャメチャ怖いです。
音圧戦争。

「ラウドネス・ウォー」

何が怖いって「ルール」が無いと戦争・競争が止まらないのです。止まらないというか止める人がいない。

ラウドネスノーマライゼーションが導入されるまで「何が問題だったの?」「何が悪いの?」って感じだったと思います。

ユーザーも音量バラバラだったのが当たり前だったし、投稿する動画製作者も「大きい音を目指して何が悪いの?」って。ゲームみたいな感覚。いかにハックできるか。いかに大きな音にできるか。

ルールが無いのでゲームになるのは仕方ないと思うのです。法律が無ければ何が問題かもわからないし。

ただ弊害がありました。

「ラウドネス規制が無いために発生する弊害」

弊害とは...大きな音でアップロードする為に音質を犠牲にしてしまった。
ちょっと大げさかもしれませんが、プラットフォームに合わせて音楽原盤を歪ませてきた。ということが弊害だと考えています。

どのように音質が犠牲にされてきたのか。

ニコニコ動画にアップする時に限らないことですが「大きな音にする」「音圧を稼ぐ」方法としてミックスダウン/マスタリングの際に「低音を削る」というハック方法があります。

低音を削る、ローカットすると音圧を高くミックスすることができるのです。
これが非常に危ない。

youtubeでUSやUKのアーティストの音源を聞いた後に、youtubeでもニコニコ動画でも日本の低音を削ったローカットされた音源を聞くと驚くスカスカに感じるケースがあると思います(個人的な感想です)悪口ではありません。

「低音の60hz以下をローカットする」

「低音の60hz以下をローカットする」という恐ろしいTIPSもあったりしたので日本には低音が無い音源が存在するのです。で、これの何が恐ろしいかというと一度ローカットした低音、削った60hz以下のローは復元できないのです。後で足しても復活しないのです。元に戻せない。これが危ないという部分です。


「ルールが変わった後の再生のされ方に変化が」


ラウドネス規制の無い2012-2019年までは「大きな音で迫力のあるように聞こえる低音の無い音源」がラウドネスノーマライゼーションが導入された2020年には「小さな音量で迫力がない低音の無いスカスカな音源」になってしまったのです。

逆に、2012-2019まで「音の小さい迫力の無い低音の含まれた音源」は2020年に「音量は普通に迫力のある低音ある音源」に聞こえるのです。大げさに言ってますが。

またマキシマイザーを過度に使用した音圧の高い、音が割れ・歪んだ音源もルールの無かったラウドネス・ウォーで生まれた音源になります。

「音楽原盤の不可逆性」

先ほどのも記述した通り削った低音を元に戻せないし、音源を差し替えることができないのです。また一度作った原盤を作りなおすことは現実的では無く、作った時のアーティストの気持ち/モード/空気感があるので何年か経った後に作り直しても当時の熱を再現することが難しかったりします。

自分も音楽の原盤制作というのはとっても難しいと感じています。やり直ししようと心のどこかでは思ってもデータをサルベージしたりモチベーションをあげたり...作り直すのに中々ハードルが高いので、実現し辛い。なので原盤製作時にしっかりと作っておく。10年20年経った後も聞けるような原盤に管理しておくということが大事だなと思いました。(自分はできていません)

「ルールの無いことの弊害」

そしてこの低音の削った音源、音圧を稼ぎまくった割れた音源の最も恐ろしいところは次世代に「連鎖」することです。例えば再生回数が100万回再生した音源に感動して、このような曲を作ろうと次世代のクリエイター・フォロワーが作曲するとします。健全で自然なことです。当然、リファレンスとしてお手本になる音源は100万回再生した音源です。

その目指すべき音源に低音が無かったとしたら。マキシマイザーを過度に使用した音が割れて歪んだ音源だとしたら。その音像を目指して複製されてしまいます。100万回再生で、多くのユーザーに聞かれているのだから「低音が無いかも?」「音が割れているかも?」とは疑う余地はありません。マジカッケー最高!としか思いようが無いと思います


「低音の無い連鎖」

毎日、低音の無い音源だけを聞いていたら「低音が無い」ことに気付きようがありません。そういった連鎖が何度も繰り返されて2020年を迎えています。youtubeに投稿されているUSやUKの音源には低音がスカスカで過度にマキシマイズされている音源は多く無いと思います※なぜならUSとUKにはルールとモラルがあり、MIX・マスタリングの専門家が最終工程に関わっていた作品が多かったから。日本の音楽ディレクター・プロデューサーの中には音楽が特に好きではなく、マスタリングとMIXに予算を割かない・割けない、MIXとマスタリングの工程を編曲家に担わせて納品するということもありました(個人的な偏見)

ただ、ニコニコ動画にもラウドネス規制が導入されたので、「低音無い音源の連鎖」は少し減るかなと予想しています。しかしながら、今までの音源は差し替えることはできないので日本の原盤がUS/UKの音質に近くづくのは時間がかかるとも思っています。


「ルールがあれば」
ルールが存在したならば、ゲームのような音源制作は続かなかったと考えます。現に今は音圧の低い、低音のある音源が増えてきています。ルールがあれば文句も言わず従うのです(悪意があってすみません)

ここまでは音源製作者のみの話になってますが、ルール無い問題の根深いところはリスナーにも「低音無い音源」「音圧の高い音が割れた音源」が日常・当たり前になり「マジカッケー!」という状態になってしまっている部分です。子供の頃に見たもの、聞いたものは親の姿のように影響が大きく価値観を変えることは容易ではありません。刷り込みと同じように正しいと思うので、後で変えることは難しい。思春期の自我を形成した要素は強固だと思っています。

リスナーも、製作者も「低音のある音源」を知らずに「低音の無い歪められた音源」だけを聞いて循環している......何か日本の..

危ないことを書きそうになったのでここら辺にして終わっておこうと思います。

ルールを作る、規制を作ると提言するとよく「表現の自由」がどうなる!!みたいな方が出現するのですが、表現の自由を守りすぎて市場がグチャグチャになって弊害がでてないでしょうか?音量のルールって表現を狭めますか?

ある程度のルールがあったほうが良いのでは無いか?私はそう思います。

もちろんルールを決めるのは個人の集団です。でも各個人がルールのない弊害に気がつかなかった場合はプラットフォームが決めちゃった方が良いと考えます。ルールの曖昧な自己責任って最近困りません?

ここまで読んで「日本は自由にやってきたから独自性のある面白いコンテンツが生まれたんだ!」そう思う方は2010年-2018年までの音楽動画コンテンツを聞いてみてください。バシャバシャ、スカスカ耳が壊れそうになる刺激的なコンテンツがあると思います。全てとは言いません。自分は違うとも言いません。そういう弊害があったのでは無いか?という提案です。

ルールは大事だなって思います。
「我々の自由がー!」「表現の自由が損なわれる!」って言ってた人もプラットフォームやトップがルールを決めたらいきなり守るんですよ。次の日から。文句も言わないし。ますますルールって良いなあと思います。

こういう風に考える人もいるんだという程度に読んでいただけたら幸いです。

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