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15.サンノゼでホームレスにカツアゲされる

自分の作った曲がアメリカのコンサートで演奏される。
その瞬間に立ち会うために日本から飛行機でサンノゼに飛んだMISAKI。

アメリカに無事入国しLos Angelsを満喫するまでは良かったのだが

「MONSTER DADAのコンサートは体調不良によりSeattleとVancouverが公演中止。延期の振替予定。」

アーティストが突如体調不良になり前の週の公演がキャンセルされるというアナウンスをtwitterで知る。明日に控えたサンノゼ公演について追加の情報は無い。

「うわ、マジかよ....せっかく借金してアメリカに来たのに見れないとか」

情けない話ではあるが「アメリカで自分の楽曲が演奏されるかもしれない。」と聞いた時期は音楽制作での収入も少なく、航空券と滞在費やコンサートのチケットの費用を即座に捻出できない状況だった。

でもいつも側で応援してくれていたHIKARUが「行った方が良いよ!こんな機会二度と無いんだから、お金の心配はしないで!」と笑顔で送り出してくれた。そのお陰で今、アメリカにいる。

見れないかもしれないという不安が、心の奥に押し込めておいた恥ずかしい気持ちと申し訳無い感情を呼び起こした。


不運は続く。



ライブが開催されなくてもサンノゼにホテルを取っているのでUnion StationからAmtrackに乗り10時間に及ぶ列車の旅を進めた。

この列車で良いのかと不安になりながら席に着くなり、隣に大きな男性が腰を下ろした。日に焼けた筋肉質の体にタトゥー。サングラスで目は見えず手には紙袋を持っている。

いったい、何が入っているんだろう....


ビールだった。


「うわ、マジで怖えええ」と怯えていたMISAKI。
突然、隣の男性から声をかけられる。

男性「どこに行くんだ?」
MISAKI「ああああ、サンノゼ!....」

単語でしか返せずにいたMISAKIに男性は
男性「俺はバンクーバー。Amtrackはじめてか?」
MISAKI「YES....」
男性「俺も初めてだぜ」


的な良い感じの会話だった。


見た目でビビりすぎていたMISAKIだったが「そういえばアメリカに来てからエレベーターに相乗りした人とか、他人だったとしても必ず一言話すなあ」と思い出していた。後日ネットで検索してアメリカにはsmall talkという雑談をする習慣があることを知る。右も左もわからない心細い旅行者にはありがたい習慣だ。

降りる駅を間違えるとカナダに入国してしまうことを憂慮しながら、なんとかサンノゼに到着。着いた駅の景色が分からないほど日が落ちて薄暗い。ホテルまでのタクシーを探そうと駅の付近をうろちょろしていると185cmくらいの背の高いお爺さんが近づいてきた。

Smalk Talkかな?とか思ったけど何か様子が違う。
ちょっと焦っているというか、怒っている。
うまく聞き取れず、困っていると多分....

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