エッセイ402.乗っていれば幸せだった件
私は乗り物が結構好きで、地下鉄よりは外を走る電車、
同じ外なら路面電車がもっと好きですし、また、バスも大好きです。
この度、二日続けて、いやというほど電車にゆられることができました。
そのご報告です。
一日目。
用があり、横浜の先の、横須賀線「新杉田」駅にいました。
2階のコンコースに崎陽軒。
素通りできなくてシウマイ弁当を二個買って改札に入りました。
私のPASMOは携帯ケースに入るようになっていて、
ケースごとPASMOをぴっと言わせて改札を通り抜け、
お弁当二個を同行者に持っていてもらって、駅のトイレに入りました。
そのとき、個室の中の物の置けるスペースに
手に持っていた携帯を置きながら、
(こうやって、何回も携帯を忘れてきちゃったのよね)
(でも、そう思っているのだから大丈夫、今日は忘れやしない)
と思いました。
もちろん、忘れて出てきてしまい、それに気づかず、平日午後の涼しい普通電車に乗り、新聞を読んだりぼーっと外を見たりしていました。
川崎に着いた時、ふと不安になり、荷物を探ってみると、果たして携帯はどこにもなく、同時に(あ、やってしまった)と思いました。
川崎駅の有人改札に行き、新杉田駅に電話してもらうと、届けてくれた方がいました。
日本ていい国。
何やらの数字を書いたメモを駅員さんにいただき、しおしお新杉田へ戻ります。
実は前日も、吉祥寺のアップリンクという瀟洒なミニシアターのトイレにiPadを置き忘れました。
チケット発券の際に必要で取り出していたiPadを手に持ったままトイレに入り、
(こういうところに置いて、iPadを忘れるのよね)
と思いながら荷物置きにiPadを置き、そのまま出てきてしまったのです。
数分後に気づいて慌てて取りに行くと、置いた時そのままにiPadが寂しげに残されていました。
そのたった翌日なのに、同じように携帯を忘れてしまいました。
しっかりしてよ自分。
川崎駅から新杉田駅は、それなりに遠かった。
でも、涼しい、空いた普通電車に座ってぼーっとしていると、本当に日頃の疲れが取れる心地がしました。
負け惜しみなのか。
駅について、川崎駅でいただいてきたメモを駅員さんに渡します。
出してこられた正式書類に、携帯のポケットに入っていたものが全て書かれており、恥ずかしかったです。
「一枚だけ、お名前の違うカードがありますが」
「は。それは私の夫のATMカードです」
夫のそういうのを持っていると、完全割り勘生活であるのに、「夫はATMがわり」と豪語する奥様のみなさんと同じ感じがするので、残念でした。
それが一日目。
🎵帰り道は遠かった
来た時よりも遠かった🎵
という、昔のヒットソングを思い出しました。
二日目。
月一で通院しているクリニックが、都営荒川線の沿線ですので、帰りにはときどき途中下車をして遊んだりしています。
線路に沿って歩ける部分は限られているのですが、できるだけ電車の脇を歩いたりするようにしています。
これ以上線路脇を歩けないほど、沿線の家が線路にくっついているところでは歩ける道に戻りますが、すると小さな劇場や、有名なスーパー温泉や、サウナ付きの銭湯、おいしそうな揚げ物専門店などを見つけることができます。
今このクリニックに通っている期間しか、遠い北区へ来る機会はないのですが、私も東京、知らないなぁと思うのはこんなときです。
この日は、このクリニックの院長先生に勧められた「鴨と葱」で鴨葱ラーメンを食べました。
色は濃いけれどしょっぱくなくて、コクがあり、鴨の脂の溶け込んだ鴨だしが素晴らしいラーメンでした。
焼きねぎ、刻みネギと茗荷、薄い鴨肉も入っていて、
本当に美味しかったです。
JR巣鴨駅直近のこの店を出てから、はて困った。
今日は、サボりがちなジム(中高年女性用の体操教室の趣き)に寄る予定でしたが、普段あまり食べない炭水化物を食べたので、体もおなかもとても重い。
どうしよう、かといってまた喫茶店で時間を潰そうとすると、今度はコーヒーチャプチャプなお腹になってしまう。
わかりました、こうしましょう。
巣鴨からJR山手線に乗って、ちょっと乗り越しをし、また新宿まで戻れば時間が稼げます。降りるべき新宿を過ぎると、ちょっと罪の意識が来て、胸がチクチクしました。
うん、あと、6〜7駅も通り越したら戻ってこよう。
だってそんなに乗ったら申し訳ない。
と思っていたのですが、明るい平日昼間、がら空きで涼しい JR山手線はあまりにも快適でした。
(ええい、一回りしてしまうがよかろう)
と思って乗り続けました。
けれど、生来気の小さい私。
さすがに「切符を拝見します」と言って回ってくる車掌さんはいませんが、こんなに・・1周以上も乗ると1時間を超えますが、そんな乗り方をするのは無賃乗車に当たるのではないだろうか。
そっと知恵袋や教えてGooで検索してみましたが、法律違反な乗り方であるという説と、そうではないというのとあり、迷った挙句、一回りしてしまいました。
本当に明るい平日の・・以下略。
気持ちよかったです。
車窓から外を見ていると本当に楽しく、スマホを見るのはもったいないので、ただただ電車に揺られていました。
あとから山手線停車駅を見てみましたら、私の人生で、山手線線で降りたことのない駅は、田端と高輪ゲートウェイだけなのでした。それも、記憶にないだけで、アパート探しとかなんとかで、降りたこともあるかもしれません。
改札を通る時はちょっと緊張しました。
今は科学が発達しているので、私がどういうイケナイ乗り方をしたかなんて、鉄道本部(とは言わないのか)ではすでにお見通しで、ぴ、とやった途端に、ロボットっぽい声で
「違法乗車です。駅長室まで来てください」
と言われるのではないかと本気で思ったからです。
大丈夫、そういうこともありませんでした。
鴨葱ラーメンも無事消化できて、ジムでちょちょっと運動をして、満足して帰宅したのでした。