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エッセイ376.「もういいんだ」と悟った瞬間(上)

鎖骨骨折から今日で3週間ちょっと。3回もレントゲンを撮りました。
前回の受診で、クラビクルバンドも痛み止めも、もう自分の判断でやめて良いとの先生のお言葉がありました。
そこで、今日から、レッスンなどで背筋まっすぐ座れているときは、バンドを外すことにしました。
外したら急いで手洗いし、外に干せば数時間で乾きます。
ものすごい開放感です。


さて、折ってから1週間もしない週末。
まだまだ痛みが強く、能役者のようにそろそろ伝い歩きをしていた時期に、前から予約をとっていた高原リゾート、清里に行く日が来てしまいました。

どうする? キャンセルでなくて延期ということでは?

夫と相談しましたが、元々近距離で車であることと、
別に目的を定めずにのんびり行くつもりではいましたので、

「料理もしなくていいし、座ってるだけなのだから、
行った先でのんびり座っていたら?」

という夫の言葉になるほどと思いました。
私が機能停止して1週間で、我が家は極限まで荒れ果てていましたので、
綺麗な部屋でごろごろできるだけで、いいなぁと思いました。


結果は吉と出まして、行ってみたらとても楽しい二泊3日となりました。

宿の共用スペースでは、同宿の、特殊なテーピング治療の専門家の人から、鎖骨に効くテープを貼っていただいたり、母の実家の隣町の人や、自分が通っているぎっくり背中のクリニックの近くにお住まいの方に会ったりして、楽しくお話をしました。
(普通に街中を動き回っていても、そういうことはなかなかないですよね)

中でも、起業家にして日本語教師の方と知遇を得たのが嬉しかったです。

初めはそんなことを知らず、その方と話していたら、
「もしかして日本語教師をされているのではありませんか?」
と見抜かれました。

普通は外国の方とは英語で喋ってしまうところ、
あなたはすごくわかりやすい日本語で話してあげていたので、
日本語教師ではないかなと・・・

思われたそうです。
へえー、考えたこともありませんでした。
夫は昔私の生徒だったので、つい教師口調になるということもあります。


さて、時間がたっぷりありましたので、2日目には車で外に出てみました。
座席を正しく設定して、いい姿勢の見本のようなポジションで座ってのドライブです。

走っていて、見たのがこれです。
初めて見たように思えましたが、妙に既視感があり、懐かしい気がしました。


ツッコミ癖のある私は瞬間、

ティーポットは、ある
ミルクピッチャーは、ある
しかし、ミルクポットとはなんぞや?

と思ってしまいました。
(ほっといてよ!  : ミルクポット談)

それから、あちこちに ソフトクリームを売っている。
もうどこでも売っていて、売っていると言ったら売っている。

それから、いろいろな施設に、ガラス、オルゴール、木工などを、見たり、体験したりするところがある。
また、絵本美術館やら何やらも、いろいろあります。

それぞれが、それなりの料金を取りますので、なんか、
京都に行くと、どこに入ろうとしても拝観料をとられますが、
そんなのと似ているような気がしてきました。

夫が、とあるオルゴール・ミュージアムに入りたいと言います。
基本料金に300円だかを足すと、

「今まさに始まる、
不思議の国のアリスをテーマにしたパフォーマンスが見られます」

ということなのでした。

「いえ、見なくていいです」と言いますと、

「ではそのパフォーマンスは、展示場でやっているため、
それが終わるまでここでお待ちください」

とおっしゃいます。

それだと、300円を上乗せされた料金が、デフォルトな感じがします。
で、別に見なくてもいいと思ったからと言って、それが終わるのを待って、切符売り場の前に二人でぼーっと佇んでいるのも、少々間抜けな感じがしないこともなかったため、少々興を削がれ、私たちは見るのをやめて外に出ました。

とにかくどこへ行ってもお花。
どこへ行ってもソフトクリーム。
ミュージアム。

で、思い出したのですが、昔、清里は「アンノン族の聖地」だったのです!
お若いかたに説明をしますと、むかーし昔のその昔、アンアン、ノンノという、若い女性向けの雑誌がありまして、70年、80年代に、若い女性がガイドブックやファッション雑誌を手に、手頃な観光地に多数旅をすると言うことがあったのだそうです。
そういう女性を、「アンノン族」と呼んでいたのでした。

清里もそう言う女性たちの好きな観光地の一つでありました。
正直、ミルクポットを見た瞬間、失礼なことながら、

清里、まだあったんだぁ・・

と思います。
場所ですから、ブームが来ようと去ろうと、あるに決まっているので、この感慨は馬鹿の極みですね。

さて、1〜2日車で回っていますと、ラーメン屋が結構多いこと、かつては賑わっていたのだろうけれども、今はそうでもない、あるいは廃屋になっているお店が多いこと、しかし、大規模な施設は新しい建物を多く擁し、カフェやレストランもあり、なんというか・・・

いまだにキラキラ、しようと頑張っている

ということを強く感じたのでした。

そのときは、そろそろと歩かないと肩にビーンと痛みが走りますし、高原なのに結構暑いし、ずっとつけているクラビクルバンドがあちこちで皮膚を擦ってきますし、なんとなく気分が沈みがちになってきました。

あちこちにある、中途半端にファンシーで、安くはないレストランやカフェで、いつも食べているような洋食を食べたいとか、ご当地名物のほうとうを特に食べたい気持ちにはならず、大規模施設の中の緑陰が涼しいカフェで一回昼ごはんを食べただけで、ほぼ観光はしないで中日は終わりました。

泊まった宿は清潔で静かで、とても気に入ったのですが、2日目に早々に戻ってきた時には、

もういいかなこういうのは・・

という気持ちになっていたのでした。

続きます。

(写真は、中央道で立ち寄ったPAで売っていた富士山型のメロンパンです)


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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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