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日本語教師日記79. 気になる言葉


今日は日本語のレッスンや教え方ではなくて、
言葉が好きな自分が、つい気になってしまうと言葉について、
少し書かせていただきたいと思います。
細かいですので、閲覧注意です。


【熱々のうどんをほおばる】

朝日新聞の記事です。
新聞社の編集室には、手首から肘までの黒いアームカバーをつけた生き字引みたいな定年間近のおじさん社員がいて
(いまはぶらぶらさんと呼ばれてしまうかもしれない)
若手の書いた記事を、投げつけ投げ返し、

ばかやろー!

ーーえ、どこがだめですか?

じぶんで探せアホ!

のように鍛えて、ちゃんと文章が書けるようにしたらしい。
・・・いうイメージがあるのですけれど、この表現、

「うどんをほおばる」

は、ベテラン編集員の検閲に引っ掛からなかったのですね。

「ほおばる」のは、一つ・二つという序数詞で数えられる3Dもの。
口の中いっぱいになってしまう大きさのものを一度に口に入れたか、
または、一つは小さくても、口いっぱいに、いくつかをに詰め込んだり、
噛み切って噛み切っても、いっぱいになるまで食べ物を口に入れた場合。
これをすると、食べ始めから飲み込むまで、
食べ物が内側からほっぺたを押し、
「頬を、張る」、それが「頬張る」。
おにぎり・おまんじゅう・パンなのでしょうか。
記事では、「熱々のうどんを啜った」ではどうでしょう。
熱々のうどんを頬張ると、大抵火傷をしてしまいます。

麺類は、熱くても冷たくても「すする」。
外国人から嫌がられる「啜る(すする)」ですが、
茶道のお濃茶こいちゃは、最後にずずっ、と啜るそうです。
啜るは、日本の食べ方飲み方に関わる、正当な一つの方法なので、
使ってもいいと思います。
ただ、社食などで急いで食べていて、豪快に、
すんごい音を立てて「すする」のは、できれば「なし」で・・。😅

いい記事を見つけたので、無断転載をさせていただきますね。

質問:なぜお濃茶の最後に「ずずっ」と啜るのでしょうか。
無作法には当たらないのでしょうか。

お答え:
ずずっという音は、「吸い切り」という言葉があるそうです。この吸い切りをする理由は、

「①亭主(お点前する人)に飲み終わったことを知らせる合図の役割。
   この合図で亭主は次の所作に取りかかります。

②吸い切るほど美味しかったという表現。
 「吸い切り」の啜り音は不作法どころか正しい作法、
   これこそが日本の音の美学です。」

なるほど知りませんでした。



【ひたひたに味を染み込ませた】

元の意味を考えなければ、
「ひたひたに染み込んだ味」
って、ありそうで、うっかり言う人書く人がいてもおかしくないかもしれません。
「ひたひた」はおそらく、「浸す」からできた言葉かと思います。
「浸す」は目的があってそうすること(他動詞)、
「浸る」は、自然的に何かが起こった結果(自動詞)です。

「浸る」は、思い出や物思いや妄想など、ある精神状態の中に、
水の中にどっぷり浸るように、入り込むことですね。
いずれにして、液体が、何かの周りに、ある高さまで来ています。
インスタントポットなどでは、「材料が汁に浸って」いないと、
知るから出ているその部分には、味がつきません。
(それは他の鍋でも同じですが・・落とし蓋で解決できますね)。

そういうわけで、「材料が浸るように」「だし汁はひたひたに」というふうにレシピにありますね。
ここから先程の誤用、「ひたひたに味を染み込ませた・・」のような表現が出たと思います。

足湯は、膝から下をお湯に浸すもの。
大雨で、花壇がすっかり水に浸ってしまったりします。

(材料を汁に)ひたひたにした結果味が染み込むので、
「ひたひたに味を染み込ませた大根」は、
かすっているとは思いますが、引っかかった言葉の一つでした。

あと、「しみしみ」「もふもふ」「ほぼほぼ」などの、新造の「わんわん語」(同じ音を2回言う)は、私にとってはカマトトに感じられるジャンルで、ちょっと苦手です。


【半端ない】

テレビに出る人たちが言い出したのでしょうか。
えっ、と思ったのが12年ぐらい前。
始めた聞いた時は、
「あると思っていた安楽椅子の片方の肘掛けがなかった」
ぐらいの衝撃でした。
これを言いたくないために、「半端じゃない」「半端ではない」という言葉を、自分は言わなくなってしまいました。


【大人買い】

どこが引っかかるのかわからないのに苦手。
なのに自分も使っているという 不思議な言葉です。


【 スピード感のある】

何かの特性として、「〜〜感」がある、はわかります。
何かについて、「違和感がある」とか、「不公平感」を感じるなど。

だけどこの「スピード感のある何々(名詞)」は、
期待されるほどに、また以上に、急いで何かを行う所存である、
と政治家さんが言いたくて作った言葉。
なぜ「早急に進めたい」とか、動詞で言わないのかしら。
派生した「〜〜感のある」を、政治家の皆さんがじわじわ使い始めたので、
やめて欲しいなぁと思っています。


なんか小言幸兵衛さんみたいになって恥ずかしいので、
そろそろ切り上げますね。

読んでいただいてありがとうございました。


ああ見えて、ぼーっとしてないアルパカの様子です。👇


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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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