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日本語教師日記149.母語が英語でない同士の日本語教師と生徒
私はときどき、日本語教師としての自分の、
自己紹介をしなければならないときがあります。
それは、文字によるものですので、相手の目指すところや、年齢や状況をよく考えた上で、自分がどんな教師なのか、わかってもらえるように、一生懸命書いています。
年齢や目的により、アプローチは違いますが、自己紹介文に必ず入れるのが、
・私は発音指導が得意です。
・初心者であっても、正しいインプットとアウトプットは必須なので、レッスンは日本語だけで進めますが、必要なときには英語にスイッチします。
・「木の下に犬がいます」というような文を暗記してもらい、繰り返してもらうことはしません。
・あなたの今の状況に必要で、現実的なロールプレイをたくさんやります。
・1回ごとに、何かしらその日から使える日本語を、丸暗記ではなく、
マスターしてもらいます。
というようなことです。
こういう教師もいいな、と思ってもらえると、お試しレッスンの申し込みがあり、そのあとで断られるということは、ほとんどありません。
会ってしまった人を断るのは断りにくいものなのかもしれませんね。
生徒さんたちの国籍は、アメリカのかたが一番多く、インド、香港、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、香港、フランスなどです。
みなさん、英語を日常的に使っています。
日本語学校のクラスでは、日本語しか使いませんので、自分が日本語しかできなくても問題ありません。逆に、英語を使わない人がいるクラスで、英語で説明することはしません。
もちろん私は、相手が英語で言ったことで、わからないことはしょっちゅうあります。そういうときは、遠慮なく立ち止まって、訊いてしまいます。
しかし、会話の流れというものがありますので、少々「あれ?」と思っても、いちいち止めて聞き直さないときがあります。流すわけです。
ネイティブが、そういうのに気づかないはずはありません。
で、生徒に
「ときどき、『先生今、わかってなかったな』って思うときがあるでしょ?」
と訊きますと、
「あ、たまにあります」
と言われます。
恥ずかしいですけれど、バイリンガルではないので、勘弁してもらうことにしています。
たまに困るのが、相手の英語もネイティブでない場合です。
それが今日の話題です。
この前はこんなことがありました。
一緒に新聞の、ファッションについてのコラムを読んでいて、
「スマートなシルエット・・」という一語がありました。
日本語になった英語の「スマート」は、「体の形がスリム方向に良いこと」「みごなしや振る舞いが洗練されていること」であり、原語の「賢い」という意味がありません。
そのことを説明したそのあとで、「シルエット」で、はた、と困りました。
「スマートなシルエット」
日本人としてはわかりますが、生徒はわからないと言います。
「シルエット」とは、私が子供の頃から慣れ親しんだ語感で言うと、「影絵」です。障子に映ったりするあれも、シルエットです。
そのことを言ってみましたが、やはり、
スマートな「影絵」
は、いまいちよくわからないと生徒が言いました。
そりゃそうだ、スマートな、洗練された、影絵とは・・わからないです。
「あなたの頭の辞書の中の《シルエット》はどんな感じですか?」
と訊きましたら、
「シルエットという言葉を知らないです」
との答え。
え、そうなの?
「僕はネイティブのイングリッシュ話者ではないので、
シルエットという英語は知りません」
そうかそうでしたか。
これは失礼しました。
「私もわからなくなってきたので、ちょっとウィキ先生に訊いてくるので、
あなたも英語のウィキ先生に訊いてきてください」
一時停止になりました。
調べたら、わかりました。
抜粋しますね。
シルエット(フランス語: silhouette)は、輪郭の中が塗りつぶされた単色の画像のこと。影絵と同義に見なされる場合もある。
元々は18世紀ヨーロッパに起った、黒い紙を切り取って人物の横顔を表現した切絵に対して用いられた言葉で、そこから明るい背景に対して事物が黒く塗りつぶされて見えるような光景や、物の形そのものを言い表す語として用いられるようになった。服飾では、着装時の服の輪郭や、服そのもののデザインを言い表す語として使われている。
これでようやくわかりました。
同時に、自分の生半可な理解にも気づきました。
こんなこともありますから、「翻訳法」はいつも、間違いの可能性のあることを意識しておかなければなりませんね。
英語がネイティブでなくても、私よりはるかに上手に英語を操る人もいますが、お互いに、「ネイティブではない」というときには、こんなあたりにも気をつける必要があります。
毎日、反省することが多いです。
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