エッセイ228. おうちでロスト・イン・トランスレーション(13)期待って
期待する
評価する
簡単な言葉ですし、よく使います。
それなのに、英語と日本語の間にずれがありまして、間違いやすいです。
そう言う言葉はいくらでもあります。
外国語学習では、最初に
expect=期待する
とか、
evaluate=評価する
と 対応的に、イコール関係で覚えてしまいがちです。
また、実際に英語なら英語のグラウンドで使いまくって、違和感を覚えて修正する、というようなことはほとんどないため、覚えた以上は命懸け。
そのまままっしぐらという人は多いです。
覚えることが多いし、受験もあるし、これは仕方ないですよね。
私が「期待」についてのずれに最初に気づいたのは、
生徒が変な文を作ったときでした。
「じゃあね、期待、を使った文を作ってください」
ーーはい。え〜と、明日雨だと期待します。
うむ?
ベンジャミンくん、これはあれか、
君がたの村が日照りで、雨乞いをやっていた、みたいなシチュエーション?
ーーいえいえ? そんなことはありません。
単に、私は明日、 雨がふるかなぁと推測している、と言うことです。
でも未来のことなので、expectationを持っていると・・
それが、期待している、という言葉を使うことになるわけ?
ーーはい。・・・だめですか?
だめではない、だめではないが、なんだか変。
説明は来週にするのでごめんね、ということになりました。
そういうことがいくらでもあり、「期待」については、
せっかく家に住み込みのネイティブがいますので、訊いてみました。
夫:期待・・期待ですね。
わたくしは上司に、『君に期待してるからね』と言われると、
えっ、なになに?
と、いちいち びびっていました。怖かったです。
これを聞いて、英語と日本語で、同じ意味とされているが、
気をつけなければいけない言葉なのだなぁ、とわかってきました。
実は、英語のexpectには、いいことも悪いことも、
この先 起きることを推測しているにすぎない、ということがあります。
だから、明日天気が悪いであろうとexpectする
彼はおそらく来ないであろうとexpectする。
一方日本語の「期待」には、「良いこと」を待っている、
起こってほしいと願っている、というプラスの意味が大きいです。
なので、
日本人上司:ジム、頑張ってるね。君には大いに期待しているよ。
ジム:え。は? 期待とは、 何をわたくしに?
となります。
英語の堪能な山田部長だって、日本語のニュアンスごと、直訳で、
Jim, I expect you very much!
などのような言い方をします。
目的格が落ちていますので、
ジムとしては、何を期待されているのだろうと恐ろしくなるわけです。
私たちが、「あなたに期待しています」という場合は、
あなたがこの先も、素晴らしくあることを私は知っている。
そう望み、確信し、楽しみにしている。
という、褒め言葉であるわけです。
こっちとしては相手を褒め、勇気づけているつもりです。
なので、これを英語で言われても日本語で言われても、
聞いている英語ネイティブが混乱し、
えっ? ドユコト? 😱
と感じていることは、私たちには生憎わかりません。
「期待の新人!」
と、日本人上司や同僚に褒められても、ジムは戸惑うばかり。
New employee of an expectation!
と言われても、なにを私がするであろうと推測されているのであるか?
と・・。
お手軽ですみませんが、「期待」は英語でなに? と調べるとこうなっています。
もう最初から一言、「いい期待だけYO!」と、辞書には必ずそう書いてあげてほしい、ちょっと乱暴だけど。
ちなみに、英語のexpectは?と思って同じ辞書を引くと、こんなことになってしまっています。
同じ言葉なのに、違いすぎますね。
コア、のところにようやく小さく、肝なことが書いてありますが、
もっと大々的に教えてください!
まだ書きますが・・例えば私が日本語で夫に、こう言ったとします。
私:明日の会社のBBQ、予算たっぷりなんでしょ?
うふふ、期待しちゃうわ!
すると夫は多分、
夫:妻よ、君は一体、何を期待していますか?
と思うでしょうし、言ったりもするでしょう。
言われた私、
私:えっ、期待しているって・・そのままの意味よ、期待してるのよ。
夫:だから?
私:だ、だから、分厚い牛肉が出るかな、
ホタテとかもあるかもと思って楽しみだわ、と言う意味ですが。
夫:期待が?
私:はい。
夫:expectがそういう意味なの?
私:そうですよ!?
夫:そうなの? いつから?
私:いつからって、いつもだがね〜!!
あ〜あ。
夫よ、君はときどき、めんどくさい!
これと似ているのが、「評価」ですね。
長くなったので、続きにすることにしました。
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