エッセイ169.それは日本ではちょっと、と思うとき
昔、仕事で「脂肪燃焼スープレシピの翻訳」をしました。本当に昔で、その言葉は新しかったと思います。頼んできた人は、それを自分の美容クリニックで使いたいとか、そういうことでした。
今検索したら、レシピもたくさんありますし、相談コーナーでも「痩せません」と相談している方も何人もいらっしゃいます。
脂肪燃焼スープ、定着していたんですね。
そのとき、名前を見て、さぞ唐辛子とか、珍しい新発見の材料があって、ただのスープを飲んでいるのとは違うのだろうと思いながら訳していたのですが、玉ねぎ・人参・トマト缶・ピーマン・セロリぐらいだったかな? そういう決まった野菜で作り、味はお好みだったと思います。それを毎日飲んでいくのだ、ということでした。肩透かしか。
スープそのものは、何の変哲もない、平凡なものに思えました。
「脂肪燃焼スープダイエット」のやりかたですが、1週間の間、このスープを一日三食、「好きなだけ」摂ります。
もう、おなか、どぶどぶです。
そしてこのスープと共に、今日はこれ、今日はこれとこれ・・というふうに、いろいろ考えられたものを、一緒に食べていいのです。
バナナ3本とか。
一度に食べられないけど私。
人参とトマトと玉ねぎは、「糖質制限」では糖質が多いNG野菜として知られているので、食べていいのかな〜と、今は思うのですが、スープそのものを作るのは苦でないので、自分もやってみようかと一瞬思いました。
そうしなかったのは、毎日変わる「一緒に食べていい食品」が面倒だったからです。
また、アルコール・甘いもの・炭水化物は食べてはいけませんので、
(もしかすると、スープはあれとして、
このルール守れれば普通に痩せていくのでは?)
と思ったのを覚えています。
で、私が渡された英文の中に、
◯日目まで完璧にできたら、ここで、
あなた自身への reward、ごほうびとして、
baked potate
を食べてもよい。
と書いてありました。
ご褒美が。
ベイクド・ポテト。
これは、日常的に、ベイクド・ポテトの「好きな物位置」「普通に食べたいもの位置」が高く、ダイエットしていたりすると、
(あ〜、食べたいなベイクド・ポテト!)
となる国、ならではのことではないのかしら。
なんなら食べたことがない、どうやって作るの? と言う人が多そうな日本で、
がんばりましたね!
そら!
ご褒美に食べてもいいですから!
ベイクド・ポテトを!
と言われてもピンとこないなぁ・・・
そう思いつつ、そのまま訳しました。
私がダイエットをある程度まで頑張って、褒美として許されたいのは、
卵納豆かけごはんとか、おにぎりとか、カツ丼ですからね。
ベイクド・ポテトと言われても、レシピから探し始めなくては食べられないので、全然嬉しくないかもしれない、と思ったのでした。
よく、美容や健康の「まとめ記事」を読んでいて、「あ、これ、外国の記事だわ」と思うものもよくあります。文化的に異質、日本ではよしとされていないとか、日本では手に入らないとか、ぞろぞろ出てきます。
私、一時期グリーン・スムージーに凝り、マジックブレットでしたっけ、娘にせがまれたのをいいことに、「しょうがないなぁもう」とか言いながら誕生日に買ってやったのですが、案の定、毎日楽しみながら作り続け、続いたのは私だけ。じりじりして、娘に、
「ねえ、グリーン・スムージー作るけど、飲む?」
と誘っても、お得意の、
「だいじょぶでーす」
が出て、我が家に定着しませんでした。
せっかく買ったのだからと、一人でせっせと飲んでいたある日。
「日本では、昔から青菜を始め、野菜の種類や調理法が豊かで、日常的にたくさん摂取できている人が多い。アメリカでは、サラダ信仰がまだまだある。日本ではグリーン・スムージーを毎日摂らなければならない理由がない」
と書いてある記事を読みました。
あ、そういえば私、毎日野菜はたくさん食べていると思う・・・。
瞬殺で、グリーン・スムージーライフが挫折しました。
あと、こういうのもありました。
「仕事をなしとげる技術」という、一瞬夫婦で愛読した書には、
タスクマネジメントや、忘備録の工夫がいろいろあって、ほんのちょこっとは役に立ちました。
ですが、だめだよ〜、アメリカ直輸入はなじまないよ〜、
と思ったものが二つ。
一つは、オフィス家具の「ファイルキャビネット」。
大きいですよ。
階段下の扉一枚幅の小さな収納の、その半分を占めています。
奥にしまってあるクリスマスツリーやスーツケースを取りに行くときは、ファイルキャビネットの横のスペースに詰まっている物を掻き出してから、カニ歩きで暗い奥まで行かないといけません。
そのキャビネット野中にぶら下がっているファイルには、1ヶ月の日付がつけ、失くしてはならないものが、それを使う日のファイルに入っていて、絶対に失くさないという優れもの。
・・・のはずなのですが、夫は普段から何も捨てないので、一つ一つの「大事さ」「なくなって困る度合い」が一緒。それで、そのファイルがぱんぱん!に膨らんでいて、そこから何かを探すのが本当に大変。
私はその「圧倒的な物量」に負け、自分の大事なものは別にしまうようになっているので、あまり意味がなかったです。
捨ててほしいものの筆頭が、このファイルキャビネットです。
あと、国情が違いすぎると思ったアイデアが一つありました。
「自宅に自分のオフィスや趣味のスペースがないとお嘆きですか。
大丈夫です!
まず、ホームセンターに行って、ドアを1枚買ってきましょう。
そしてあなたのガレージの一隅に、
机の高さぐらいになる三段ぐらいの引き出しを2つ、
ドアの幅だけ開けて置き、そこにドアを置いてごらんなさい。
一瞬にしてあなたの、広々としたワークスペースの出来上がりです。
これでもう、もう一部屋設けたり、
わざわざ机を購入するコストもかかりません」
・・・・・・・🤔
というようなことが(この通りではないと思いますが)書いてあり、
やはり、日本ではない、アメリカの国の人が考えたアイデアを、
そのまま日本に持ち込むのはどう考えたって無理!
と思ったのでした。
まだありますが、いい加減にしますね。
読んでいただいてありがとうございました。
あ、そういえば、何にでもすぐとびつくので、色々読みましたが、
7つのなんとかとか、なんとか父さんとかんとか父さん、みたいな本、
また、片付け本も心理学の本も、日本人のメンタリティが独特なのか、
単に国民性と生活の事情のせいなのか、両方でしょう、
合わない・・・
と、読んで肩を落とすことが多いです。
皆様はいかがですか?
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