エッセイ333. サンダルウッド貯金
結婚したばかりの頃、狭い2LDKの お風呂を嬉々として沸かし、
夫おっと、先にお風呂に入っていいよ
と言ってみたところ、あまり嬉しそうではありませんでした。
いや、いいや。
今日お風呂に入ると調子悪くなりそう。
なんて、変なことを言うわけです。
ちょちょっと待って、「調子良くなる」の間違いではない?
と訊いてみたら
いや、確かに 調子が悪くなる、
I will get sick
と言います。
そんな馬鹿な〜
と言ったと思いますが、本当は温かいまたは熱いお湯に入ると、慣れていないせいか、なんかこう、精を持っていかれるというか、エネルギーが漏れ出てしまうようなのでした。
でも、娘らが生まれて、頭が座るようになると、
嬉しそうに赤ん坊と一緒に、どぼんと湯船に浸かるようになりました。
いつの頃からからわかりませんが、私の誘導が良かったか何かして、
夫はお風呂が大好きになりました。
私がごろごろしていると、
「お風呂はいかがですか?」
と言って、率先してお風呂掃除をするまでに成長したのです。
(夫にお風呂掃除をしてほしいばっりに、
眠くもないのにわざとごろごろするときもあります)
さて、我が家ではこれまで、お高いバスソルト「クナイプ」(fromドイツ)から、ドラッグストアで一つずつ買ってお試しをしたものなど、いろいろと較べてみました。聞き湯、お風呂テイスティングですね。
で、最後に落ち着いたのが、「花王のバブ」。
それも、いろいろな種類の組み合わせがある中で、夫が一番好きなのが「サンダルウッド」が入った、Peaceful Herbです。
なんだろう、「なごみのハーブ」、ですかね。
「平和のハーブ」では、ちょっと偉そうですもんね。
「炭酸力の」とあるだけに、湯船に投入すると、ピシピシ・プシプシ、と一生懸命炭酸力を発揮しながら溶けていきます。
なんだか可愛いです。
こんなに好きなサンダルウッド味、じゃなくて、サンダルウッドの香りのバブなのですが、我が家では滅多に使えません。
なぜかというと夫が、
「こんなに素晴らしいので、貴重であるから、
貯めておいて、お正月やクリスマスなどのスペシャルなオケージョンに使う」、
と言って、別にして取っておくからです。
サンダルウッドは私だって好きだし、お風呂の掃除をする頻度は、夫よりはいくらか上なので、そんなクリスマスまで待ちたくないのですが、仕方がない。
お風呂場の棚に、バブを一箱買うたびに少しずつ高くなっていく、サンダルウッド貯金(お金じゃないけど)を見ながら、二人で次にサンダルウッド湯に浸かれる日を楽しみにしているんですね。
もちろん、サンダルウッドだけのバスソルトがないかと思って、探してみたところ、「クナイプ」のラインナップに、サンダルウッドがありました。大容量なので結構使い出があると思い、一度買ってみました。ところが、まだ2回ぐらいしか使っていない時に、お風呂に入れようと思って、右手に、キャップに分量通りに入れたサンダルウッドの香りのバスソルト、左手に大きなその容器を持って投入に及ぼうとしたときに、左手がつるっと滑り、容器ごとドボンと、バスソルトが湯船に飛び込んでしまいました。
慌てて掴み上げましたが、もちろんクナイプの容器にはお湯が入ってしまっているし、湯船の方は いつもの爽やかな透明なお湯ではなくて、紫のインクの入ったインク瓶のようになってしまいました。
ショック・・・。
ビニールシートを広げて、容器から濡れたバスソルトを出してみましたが、バスソルトの使命は、素早くお湯に溶けることですから、なんとも悲惨なことになっていました。
いつもの20倍はバスソルトが入ってしまったお風呂に、誰かが入ったかどうかは、ショックのあまり覚えていません。
救った方のずくずくのバスソルトを、それでもなんとか乾かして、その後、変な感じになったそのサンダルウッドのバスソルトを使い切ってからは、クナイプを買うことはなく、花王のバブ一本です。
さて、昨年、3年ぶりにニュージーランドの義妹に会いました。彼女は、無添加のボディケア用品の会社に勤めた経験があり、なんにでもとても詳しいです。
ねえブリジッド、かくかくしかじかなんだけど、
サンダルウッドだけの固形のバスソルトってないし、
なんか世の中にあまり、サンダルウッドって見ないのよ。
するとブリジッドは教えてくれました。
tamadoca, 知ってる?
サンダルウッドって、宿木で、生産地も限られているし、栽培できなかったの。
だから世に出回るのは少ないし、人工的に合成したものも多いのよ。
それを聞いて花王には申し訳ないけど、思いました。
(ああ、バブはたぶん・・・だってあの値段ですもの・・)
ブリジッドは続けます。
ところが最近ね、そのサンダルウッドの栽培に成功した国があって、
今までよりは少しは量的にサンダルウッドは出回るはずよ。
いいことを教えてくれました。
楽しみにしています。
サンダルウッドは、こういうものだそうです。ウィキペディアより抜粋。
「熱帯性の常緑樹で、初めは独立して生育するが、生長するにつれ吸盤で寄主の根に寄生するようになる半寄生植物[2]。幼樹の頃はイネ科やアオイ科、成長するにつれて寄生性も高まり、タケ類やヤシ類などへと移り、宿主となる植物は140種以上数えられる。雌雄異株で周りに植物がないと生育しないことから栽培は大変困難で、年々入手が難しくなっており、インド政府によって伐採制限・輸出規制が掛けられている」
で、サンダルウッドでアマゾン検索をすると、これが出ます。
まあしょうがないのか。
ところでですね、私は初めてサンダルウッドのお風呂に入ったときからずっと、
(この香り、知ってるなぁ・・)
と思っていました。
・・・・・伽羅・・・・・じゃないかな?
と。
でも、そんなことはあり得ません。だって、伽羅ってものすごく貴重で、採れないか、もう採り尽くして、ストック分しかないとか、聞いたことがあるからです。蚊の脚一本の量で、いくら万円だ、みたいなことも読みました。本当なのかな。
ついでなので今回、ウィキペディアで調べてみました。
サンダルウッドは、白檀だそうです。
白檀なら、扇子に香り付けに使ったりもあるし、
伽羅ほど希少ではなさそう。
白檀=サンダルウッド でも頷けます。
うんうん、とうなづいている私の体からは、今日のバブ、ベルガモットジンジャーの香りが立ち上っているはずです。
湯冷めをしないうちにもう、寝ますね。
おやすみなさい。
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