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エッセイ508.郡上おどり(1)

昔は、民謡や郷土芸能のテレビ番組がゴールデンタイムにあり、同居の祖母がNHKのそんな番組を見ていました。
火鉢にみかんを乗せて皮を黒焦げにしながら、番組を祖母と一緒にぼーっと見ていたりしましたが、あるとき、「郡上おどり」というのが出てきました。

「春駒」という踊りを保存会の人が踊って見せてくれて、
子供だった私は、なぜかこれに ものすごく惹かれました。
なんか、
え〜、こんな面白いものがあるの?
という感じで、不思議に ざわざわしたのでした。

私はもともと、一家で一人だけ着物と浴衣が好きで、お正月とお盆には着せてもらっていて、お盆の提灯行列や盆踊りが大好きでした。

けれども当時の東京の江戸川区では、盆踊りに行くと、八木節と東京音頭をテープで流すぐらいで、あまり面白いものではなかったのです。
自分で出かけられるようになったら、佃島の盆踊りに何回か行って、通っていたこともありました。

それがある日新聞で、あの郡上おどりが、東京に出張してくるという記事がありました。

そのときはもう結婚して、子供は二人とも幼稚園。

「そりゃ〜!」😆

という勢いで、初めて、郡上おどり体験に行ってきました。

途中からは、現会場の秩父宮ラグビー場の駐車場になりましたが、初回からしばらくの間は、その近所の梅窓院というお寺の境内で開催されていました。
初めて行った時は人出の多さと、十種類もあるという盆踊りに圧倒されました。あんなに難しそうなのに、ずっと踊ってきたのか、上手な人が多くて驚きました。
一番初めは見るだけのつもりでしたが、血が騒ぐというか、これで踊らないのはあり得ないでしょうという気持ちになり、普段着でしたけれども、夫に幼児二人を任せて、途中から踊りました。

見様見真似ですが、一曲が長いので、繰り返しているうちになんとなく、
モノマネであっても踊ったような気持ちになれます。
(しかし、すごく下手だったに違いありません)


翌年は準備万端。
自分は確か、浅草橋の問屋さんかどこかで、数百円という安い浴衣。
子供たちと夫には、その頃出始めたユニクロの浴衣と、セットになって帯と下駄のついているものを買いました。
子供のには確か、共布で巾着も付いていたと思います。
そのとき、あまりにも安い浴衣は縫製が今ひとつで、ゴソゴソして着にくいとか、襟が特に厚ぼったくできていて、「暑い!」ということも知りました。
反物から仕立ててもらう贅沢は、ごく近年のことです。

中学生ぐらいからは、子供達はついてこなくなりました。
楽しかったこととして覚えているのは、長女が中1のとき、私があまりに行きたがるので、一度郡上までつきあってくれたことです。
当時次女は、年間300日以上の練習のある吹奏楽団にいて、夏休みなんかあってないようなもので、親子が2手に分かれたわけです。
車ではないので、新幹線の名駅でめちゃくちゃ迷いながら、電車を乗り継いで行ったのでした。
長良川鉄道から見る、川の中に立つ釣り人が印象深かったです。
そのとき二泊したのは、踊り会場に便利な旅館「磨墨」(するすみ)さん。

郡上は馬処 あの磨墨の
名馬出したも ササ気良(けら)の里

と謳われた名馬の名前ですね。

長女はほとんど踊らず、彼氏と携帯で喋っていましたな。
踊りながらたまに見かけると、勝手にかき氷を食べていた。
そうだ、「なんでもお食べ」と、わいろのお小遣いを渡していたのでした。
今でも旅館磨墨の前を通りかかると、まだまだ親子が密着して、それがいつまでも続くように錯覚していた、今よりは随分若くてアホな母親だった自分を思い出し、ちょっと切なくなります。

郡上おどりin青山に通っていたある時、確か次女が4年生ぐらいだったと思うのですが、ベストドレッサー賞というのをいただきました。
え、偉いのは(浴衣のコーディネイトもヘアもやった)・・私じゃん!
と思ったのですが、なんと商品には、郡上のお宿、「小野荘」ペア宿泊券と、副賞に「お昼寝に最適のロング座布団」を頂きました。

当時我が家はあまりお金がなかったです。
TDLに行ったのは赤ん坊のときと、子供らが小学校高学年になってから。
また、初めて新幹線に乗ったのは、吹奏楽の全国大会に行ったとき(行かないという選択がなかった)、そんな感じでした。
帰省貧乏だったのです。
もちろん、すっごく行きたいからと言って、聖地郡上市八幡まで、親子四人で新幹線に乗って行けるわけもない、と思っていました。

でも、宿泊ペアチケットがここにある・・。

どどどどうする、実家に子供を預けて夫婦で?
いやいや・・一人の親が一人の子を連れて?

いやいや・・

と激しく悩みましたが、

どうせ帰省貧乏で貯金0!!
行っちゃえ!!   (ヤケクソ)

と、そのときに初めて郡上に行ってきたのでした。

続きますね。


勝手に載せるので、みつかったらすごく怒られると思いますが、とりあえず変装をした感じにして、ペアチケットをもらった晩の写真を載せます。
大雨でびっしょびしょになりました。
私が子供たちより背が高かったというのと、私と夫の下駄が「もうすぐ草履」ぐらいにすり減っていたのが、よく見るとわかります。



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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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