日本語教師日記196.ときには はっきり言うことも(3)子供へ
子供には直接話して,振り返りをします。
書いたものが親の目に触れない方がいいし、
自分でその場で決めて欲しいからです。
はい、時間です。やめてください。
どうでしたか。
見てみますね。
うーん・・・先週も言ったけど、復習はしていますか?
ーー前はしていました。
今は?
ーーしていないです。
そうみたいですね。
覚える言葉がたくさんあって、大変でしょう?
ーーはい。
でも新しい言葉は、1レッスンで1つから5つぐらいです。
レッスンの中でも繰り返し出して一緒に練習しているから、
そのとき集中していれば、覚えられないことではありませんね。
今のように授業時間で言葉を思い出そうとして時間をとるのは、
時間の無駄だと思いませんか?
レッスンのときは、それまでに習ったことは覚えている、
文法も理解して、話せるという状態で来てほしいです。
ーーはい。
学年が変わって、スポーツも勉強も他の習い事も増えましたよね。
それぞれに頑張っていると聞いています。
これからますます、やりたいこと出てくると思います。
ーーはい。
今から、このテストの結果を見た上でお話しします。
私は、君にはちょっとリフレッシュが必要ではないかなと感じます。
やることが多すぎて、疲れていたり,集中できないということかもしれません。
私は長期の生徒には、大人も子供も、1年に1回ぐらい、evaluation をします。
レッスンを振り返って、今の状況も考えて、これからどうしたいかを、
一緒に考えることにしています。
チョイスの中には,続ける、レッスン回数を増やす・減らす
長いお休みをとって元気になったら再開する、やめる
と、いろいろあります。
君はどうしたいでしょうかね。
私の考えを先に言いますと、ここ数ヶ月の君の様子を見ていて、
日本語のレッスンはやめるか、お休みしたらどうかなと思っています。
どうですか?
ーーうーん。
レッスンとレッスンの合間に、勉強する時間がないようですね?
ーー前はしていました。
今はしていないということでいいかな。
日本語のレッスン、ここ1年ぐらい、ちょっと単調になっていますよね。
やめたい気持ちはありませんか?
ーーやめたくないです。
そうですか。
今の状況は、一向に言葉が増えないために、
最初の半年ぐらいに覚えた言葉を、ぐるぐる使い回ししている状態です。
リサイクルですね。
ーーはい。
私は、新しい言葉を紹介して、それを使って練習して、
覚えてほしいことはQuizletを作って送っていますが、
教師にできるのはそこまでなんです。
君に覚えてもらわないことには、文章も広がらないし、
だから、レッスンがつまらなくなってしまっていますよね。
で、一つの提案ですが,今は一旦日本語をやめる。
そして、大学に入って日本にいよいよ来ることが決まったら、
そこで再開したらどうでしょう。
その方がはっきりしたニーズと動機があるから、勉強が捗ると思います。
ーーやめたくないです。
そうですか。
じゃ、やめないということで、新しい提案をしますね。
来週から、レッスン11ぐらいから総浚いします。
1年分ぐらいは後戻りをしますが、繰り返しやって、できるに決まっていることは出しません。
なので、出てきたことは全部覚えて、
忘れないように何度も復習しないと自分が大変になります。
ーーあの、先生、提案があるんですけど。
なんですか。
ーーレッスンをゲームみたいにやったら面白くなると思います。
それはしません。
ゲームは私は作れるし、ネットでもアプリは見つけられますが,
今の君には子供っぽくてつまらないです。
覚えた言葉でどんどん会話もしたいです。
言葉を覚えるためにゲームでなければできないのなら、
自分でネットで探してやってください。
レッスンを面白くするかどうかは、君次第だったりもします。
そういうことでいいですかね。
ーーはい、いいです。
じゃ、私も気分を新たに臨みますから、また来週から 頑張りましょう。
この、やや重たい話をしたレッスンの後に、すぐに復習の教材と,覚えて欲しい言葉と、せっかくゲームを提案してくれたので、クイズレットアプリでフラッシュカードを作って送りました。
マッチングゲームなども入っているからです。
(ちなみに宿題に時間を費やすについては、ある方の慧眼に触れ、大いに反省をしましたので、今後はどんどん減らしていく計画です)
1週間、相互に編集できますので,この教材のドキュメントをときどきチェックをしましたが、穴埋めもしていません。
これはダメなのかなと思いましたが,今日レッスンがありまして、テストをしてみたところ、80点ぐらい取れていました。
やればできるではありませんか。
とても嬉しかったです。
私がうまく引っ張っていけず、やめることになっても、
特に子供には、自分で決めてやめるとか、
先生に引導を渡されて辞めさせられるという経験も、あったほうがいいと思っています。
そのためにこれまでの年月、時間も愛情もたっぷりかけて、
水際まで引きずっていっても水を飲まないポニーちゃんを指導してきたわけです。