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エッセイその79. 思い出しても少し怖いお家
今日は、「見える方」ではない私が、それでも思い出すと少し怖くなるお話です。
たくさんある投稿から選んで読んでもらおうという色気を出して、
「幽霊屋敷」「怖い家」などで画像(無料のやつね)を探そうとしていたら、
どんどん怖くなってきてしまったため、あのときの私の心を表すかのような、
ムンクの名画をお借りして、トップ写真とさせていただきました。
10年以上も前の2月のある日。
不動産屋さんの小さい車に、一家四人でぎゅう詰めになり、その家に着いたのは、暖かく明るい午後でした。
3階建てで築浅、五LDKでありながら、その当時住んでいたUR賃貸の 3LDK64平方メートルの団地より、家賃が安いのでした。
すごく心を惹かれましたが、同時に、なにか事情があるのかな、はうっすら感じていました。
けれど、いろいろ見てみることがいいかと思い、この日、内見に出向いたのです。
明るい2月の陽光の中で、その家はとても綺麗に見えました。
もし部屋がいっぱいあったら、一人一部屋になる?
さぁ、まず見てみないとね。このお家には住まないかもしれないしね。
などという会話があったのじゃないかと思います。
家の前のカーポートに停まった車から降りて見回すと、お隣の家の勝手口が細く開き、中からお隣のおじさんが顔を出しました。
こんにちは! と夫が挨拶した途端、おじさんはすぐに戸を閉めました。
ん?
と夫と顔を見合わせましたが、田舎のことですし、外人をあまりみないからかな、とそのときは思いました。
三段ぐらいの石段を上がって、不動産屋さんが開けた門扉は、軋ることもなく、スムーズに開きました。
庭が気になりました。
地面が見えないほどに密生した雑草が、2階の軒に届きそうな高さです。けれど、まだ浅い春でして、よく見るとそれはほぼ、アキノセイタカアワダチソウでした。去年から無人なのかなと思われました。
玄関に入ると目の前が広い廊下。
左手に壁に作り付けの大きなクローゼットがありますが、扉が全部開いています。普通と変わっていると思ったのは、前に住んでいた方の物品が少しまだ残っていたのです。長いケースに入ったバレーボールがいくつか。スポーツチームのユニフォームのように見えるもの。部活で使いそうなバッグ。
靴の箱。ゴルフバッグ。
なんでだろう。😶
右手は、襖で区切られた明るい六畳間と、とても広いL DKです。
畳はこの部屋一室だけなので、おじいちゃんかおばあちゃんと同居されていたのかなと、自然思います。
ふとんのかかっていない電気ごたつが、畳斜めになって置いてあります。
仏壇は、空でした。
私たちだけではなく、子供たちもなんとなく黙しがちです。
喋ろうとすると、なぜかささやき声になってしまうのでした。
不動産屋さんが元気よく、
あっ、実はほんの少し前に引っ越されたんで、少しお荷物が残っています。
すぐ近くに住んでいらっしゃるので、お客様がお決めになれば、
入居までにはもう、すぐ全て綺麗にされるとおっしゃっています。
と言います。
マントルピースの上に、フォトフレームが3つ4つありました。
写真の入っていないもの、入っているもの、両方ありました。
キッチンのシンクの中に、使ったカップやお皿が少しありました。
2階はご夫婦のフロア、3階はお子さんたちのフロア。
どこでも開けてなんでも見てくださいと不動産屋さんに言われたので、
子供たちはあちこち開けて、出たり入ったりして見ていました。
でも、浮かれポンチたちにしては、お行儀が良いです。
子供部屋のベッドにあった赤いランドセルの新しさから、
これを使っていた女の子は、まだ小学校3年生ぐらいかなという気がしました。
うちの子供たちの行っていた小学校では、中学年からバックパックを持って行っていいことになっていたので、まだ綺麗なランドセルを使っていた女の子なら、2年生か3年生かなと思ったわけです。
ベッドもトイレもつい最近まで人が住んでいたような感じで、女の子はプーさんが好き、お兄ちゃんはサッカーと野球部兼部だったかなと思えるような物が残っていました。
急いで引っ越しといっても、学校の教科書や学習机がそのままって、そんなことあるのかしら。
とまあ、以上それだけの話なのですが、
もちろんというか、この物件をお借りすることにはなりませんでした。
夫婦で、あれはなんだったんだろう・・夜逃げ?
・・にしても、親族がその家を売るってできるの?
あんなに物が残ってるって、なんだろう。
話しても埒があきませんし、いつのまにか忘れていました。
それなのに、あの家を見に行った季節が巡ってくると、どうしても思い出してしまって、なんだか今も落ち着かない私なのでした。
怖がりの方いらっしゃいますか?
すごく怖かったらごめんなさい。
私も結構怖がりなので、考えすぎないようにしています。
実は本当に怖い家に短期間住んだことがあるのですが、
「出た」とか言う話ではありませんが、
サイコ的に、この家よりも怖かったです。
実際住みましたし。
それはまだちょっと怖いので、もっと後で書こうと思います。
最後までありがとうございました。
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