エッセイ204.2022年初頭のラプソディー(3)大間違いのiPad選び(下)
間違ってiPadの容量の、いまどきあまりないぐらい小さい64GBを買ってしまった私。
冷や汗をかく心地で、まず初期化しました。
それもいちいち、夫をそこに引き据えて、
本当にこれをしていいですか?とiPadが訊いてくるんだけど、してもいい?
ーー大丈夫ですよ。
と、ビクビクおどおど確認をとりながらです。
そして、きれいに指紋を拭き取り、万が一にも傷などがないかを確認し、捨てていなかった紙製の「ケーブルを巻くやつ」に苦労してケーブルを丸く巻いて、それ用の穴に納め、幸いにも貼り付けてあったビニールを剥がしていなかったアダプターをそれ用の穴に納め、まだ中身を引き出してもいなかった薄いマニュアルのケースを、それ用の切り込みにのせ、その上にiPadAirをのせ、箱を閉め、箱を納める立体的な薄いボール紙に、ちゃんと箱をはめこみ、それをまた外箱にはめこみ、脇目もふらずにいろいろはめ込み、ここまで息をしていなかったので、ほ〜っと息をついて、窒息死を免れました、というのは嘘で、鼻息荒く緊張しながらここまでをしました。
できれば、返品・交換、何とかならないかと思ったからです。
それからネット検索をしてみると、アップルストアでは、機械そのものの返品交換をしていますというところには辿り着けません。知恵袋をはじめとして、いろいろ調べましたが、一旦買ってしまったiPadは、どうにもこうにも、ならないようでした。
よし!
64GBのお前とこの先3年も4年もつきあっていくのなら、
(足で踏んだりしないことを前提としてですが)、
どうにかしようではありませんか。
すでに、写真だけで64GBを越えているのを確認していたので、まず、壊れている本体から写真を全て削除してみました。いくら詰め込みすぎの写真が古い順に常に消えていっているからとはいえ、いくら、結構年間払っているDropBoxに、異常なまでの数の写真がちゃんと保存されているとはいえ、写真を削除するのはすごくなんというか、神経の削られる、いや〜な作業です。
しかも、一括削除がどうしてもできません。指を当てたまま斜め上に滑らせ(言葉で説明できないのが辛い)、端まで行くと反対側に斜め上に滑らせ、長居時間をかけて写真を削除しました。
ところが、少し経つと写真がみんな戻ってきてしまいます。3回ぐらいこの、疲れる作業をしてから気づきました。「最近の項目」というのではなくて、なんだっけ、「ライブラリ」から削除しなくては意味がないらしくまた、本当に本当に削除しますよという意思を表す一手間も、しないといけないのでした。(だいぶ前にしたことなので、もうぼんやりしています)
それでやっと、恐ろしい数の写真を削除できまして、それから、昔、少ないギガに苦しんでいた頃にやっていたことをいろいろやってみました。
アプリのバックグラウンド更新を止めるとか。
iMessageに送った動画や写真も全て消すとか。
そのほかにも、ネット検索で「こうやると結構容量が増やせる」というのを調べて何時間もかかって実行し、ようやくなんと、今使っているのは57GBですよ、というところまで来たのでした。
そうか。
iPadAir第5世代64Gくんよ。
これからあなたと私が一緒にやっていくにあたって、こんなにギリギリまで消してもやっぱり、もう57GBまで使ってしまっていて、あとたったの7GBを、恐る恐る使って行くのですね。
そう思うと、「そんなの嫌〜ん」という気持ちが込み上げ、暗くなりました。
翌日です。
なんとかアップル様にお縋りしてみようと思いました。
コロナ禍で人手削減なのでしょうか、前にアップルのお問合せに訊いてみると、楽々と、電話をもらえたり、待たずにチャットさせてもらえていたのですが、あっちから入っても、こっちから近づいても、なかなか「チャットをさせてあげます」というところに行き着けません。
仕事の合間に、あっちからアプローチ、こっちからアプローチしていたら、ひょんなところから(すいません忘れました)、急に、生きている人間の人と話せることになりました。
相手の方はものすごく同情的で、
それは大変ご心配なことと思います。
このようなことになってしまい、本当に申し訳ありません。
と おっしゃいます。
恐縮のあまり、脂汗が出てきそうです。
そしてこの方は、
返品を受け付けるので、大丈夫です。
どうぞご安心ください。
と、おっしゃるのでした。
「あの・・・いろいろ調べたら、だめですと書いている人が多かったのですが」
と言ってみますと、お答えは、
量販店などで購入した場合は、やっぱり返品交換はできないそうです。
ただ、アップルストアからネットで買った場合のみ、事情によっては返品させてくれるのですって。
これは、アメリカでは返品天国であるので、それを、アップルストアだけは踏襲というか、同じようにしてくださるのだそうです。
ありがたさのあまり、受話器を握りながら平身低頭していたと思います。
帰ってきた夫に、興奮してここまでの経緯を話しますと、
あれ〜、君、昨日は要らないものを減らしに減らして、57GBまでにした、
これでやっていくのだ! って、えらい意気軒高じゃなかったっけ?
と言います。
「それはそう言いました。
でも、256GBのiPadPro11を、2年ちょっとで135GBまで使ったわたくしです。
到底、もう57GBまで使ってしまっている中身を、64GBしか持っていない新機種に流し込み、この先1年とか2年とか、使っていける気がしないのです。
それで、返品が受け入れられるのなら、返品して、
あらためて256GBのものを買おうと思うのです」
と言いますと、
自分で決めて自分のやりたいようにやりたまえ
と言われました。
翌日、送り方を間違えて「やっぱり返品させてあげません」と言われたら大変だと思い、気を遣って気を遣って、近所のヤマト運輸まで恭しくiPadを運んで、返品させていただきました。
そのあと、アップルストアからネットで同じiPadAir第5世代の256GBのものを注文しました。
到着するのは1週間以上あとであるということでした。
その間も、使いにくいデスクトップや、粉々のガラスをホールドしたiPadPro11と、ものすごく古いiPadAir2を使って、汗をかきながらレッスンを続けていました。
待ちかねていた到着を、さらに後ろ倒しにしなければならないことがこのあとあったのですが、その前にもう一つだけお話しさせてください。