エッセイ234.帰省(2) 一休み
帰省Day 1 は銀座でライブ。そして夜更かしでした。
Day2。
父が2週間のショートステイのために近所の特養に入った翌日になりますが、姉が白内障の手術を受けました。緑内障も進んでいますので、視力はそう上がらないということですが、しないよりはずっといいです。
日帰り手術で、午後には帰れました。帰宅後は、普通より複雑な目薬のさしかた(時間を空けるとか)。あまり見えませんので、手伝います。
夜には姉の友達が慰問に来てくれましたので、ありあわせで夕食を作って出し、自分は歩いて3分の焼きとん屋さんに、鋭意出撃しました。
さて、あるいてすぐの大好きなお店で、一人でカウンターに席を占めました。
美味しい焼きとんのお店です。子供の頃はお使いに出されて、ハツを五本、ねぎまを五本・・と頼んで、たまの週末などに楽しく食べていました。
近所すぎて、大人になって毎日その前を通っても、そこで飲むという発想がなかったのですが、母の死去以来、度々帰省するようになり、多少疲れます。
息抜きも必要ということにして、一人で、また、姉妹で飲みに来るようになりました。
この晩、カウンターでお隣に座ったのが、父が長く地元でやっていた珠算塾の生徒さんだったということがわかりました。
父の仕事は珠算塾経営で、昔は習い事といえば、習字・そろばん・ピアノでしたからね。幅広い年齢で、我が家のことを知っている人がまだいるのです。うちの墓石を作ってくれるN石材店さんも、姉弟一緒に通ってくれました。
話をするうちに、私が4年間だけ塾を手伝っていたのですが、この人がちょうどその時に通っていたのがわかりました。
「えっ、じゃあ、綺麗なお姉さん先生、いませんでしたか?」
ーーいましたいました、え、もしかしてお姉さんですか?
「そうです、それ私です。
悪いことして、文鎮の角で私にごっつんとされませんでしたか?」
ーー先生にはされましたけど、お姉さん先生にはされませんでした。
「そうですか。結構やってたけどなぁ」
ーー覚えてるのは、お姉さん先生は、読み上げ算が上手でした。
「そうでしたか?
あれはね、読んでいる方は だんだんハイになるんですよね。
噛まないように気をつけなくちゃいけないし、
子供が喜びますから、だんだんスピードを上げていくんです。
最後はテープの早回しみたいになりました」
ーーそうそう、そうでした。
あれに、意地でもついていくのがすごく楽しかったです。
「そうですね、必死で喰いついていくのね。
で、準2級まで取られたんですか? すごいですね」
ーーいえいえ・・。でも、5部っていうと、男子はほとんどいませんでしたね。
「男子、4級ぐらい取るとやめちゃいますからねえ」
地元民同士、昔話で盛り上がりました。
ワインまであり、食事物も炭火焼きの串焼きや焼き魚まで、とても美味しいこのお店、江戸常さん。
このイカ焼きも、お刺身にできる新鮮なものを高温、短時間で炙った物だそうです。
顎関節症の私でも食べられる柔らかさでした。
もうちょっと続きます。