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日本語教師日記130.さよなら教室ありがとう(5)そういえば描いていました。

教室の片付けについてお話しする、最終回にしようと思います。

一時期、同僚に教えられて、重い日本語教科書を、章ごとに引っ張って本体から剥がし、必要なものだけ持っていくということをしていました。
たいていの教科書が、大きいホチキスではなく、強力なゴム系の糊で背表紙のところで接着してありましたので、ゆっくり気をつけて剥がすと、くっついたままでいてくれるのでした。
それまでは、その日の生徒の数だけ、重い教科書を運んでいて、いつも肩が抜けそうでした。大きなアタッシェケースは、底に金属の丸いやつ(名前がわかりません、スタッド? 違う?)がついているものにして、電車では絶対床に下ろしていました。
同じエージェントで働く英語教師の人たちは、当時からキャリーケースに教材を入れて運んでいました。外国の方だと、通勤姿も「旅行中」に見えて、なんだかしっくりくるよねと思っていました。

今私が会社から会社へ移動する日本語教師に戻ったら、
手帳・辞書・イタメ(絵を貼り付けて生徒に見せる厚紙=今どき誰も使わないでしょう)・教科書・ノート・ペン・辞書・・は、全てiPadに入ってしまうので、すごく軽いバッグで歩き回れるのだろうなぁ、と想像しています。

それで、バラバラになった状態の昔の教科書はもう使わないと思ったし、売ることもできませんから、「いろいろありがとね〜」と心で呟きながら、どっさどっさと捨てていました。


と、その1冊から、A4コピー紙を二つに折って、ごちゃごちゃ鉛筆で絵を描いてホチキス留めをしたものが、ぱらりと落ちました。

んん?

と思って広げたら、まあ懐かしい。


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当時は極力英語では教えないようにしていましたので、学んだことが定着したかどうかをチェックするのに、絵を使っていたんですね。

とか言いながら、生徒に言ってほしいことの方向へ引っ張っていくため、やっぱり英語は使っています。
しかし、お互いにいちいち翻訳しながらだと、特に生徒の側では、
いつまでも母語の語順に引っ張られて、考えて迷っている時間が長くなってしまいます。
そこでこのように絵を見せて、

「はい、じゃ、【ての形】で繋いで行ってください」

などと言えば、英語でごちゃごちゃ言っている時間が、かなり省けます。
生徒にとっては、説明を聞いているよりも、間違えてもいいからどんどん発語していくのが何よりも大事だと思っていますので、こんな方法を取るようになったのでした。

戻るのが大変なのでもう一度同じ写真を持ってきますね。↓

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これで、「Aて、Bて、Cて・・ます/ました」と繋いでいく練習をします。

正解は、「今日は午前7時に起きて、歯を磨いて、おっと、朝ごはんの前に歯を磨いて顔を洗って、そのあとでエクササイズをして、8時半に自転車で学校に行って、学校で午前8時45分から午後2時40分まで勉強して(ここで、Sat. no school と入れたのは何をしてほしかったのか、今になるとわかりません😅)、・・と、延々と最後まで言ってもらうのです。不自然ですが、午前・午後、などもはしょらずに言ってもらうようにしてます。

生徒の前にこれを広げて、言います。

「現実には、て形で繋ぐのはアクション3つぐらいにしましょう。
あまりにずっとこれを言っていると、子供っぽいとか、
頭悪そうに見えてしまいますから。
でも、今は練習なので最後まで、一文で言ってください。
途中矢印の向きが逆になってたりします。
大変ですが、「〜の前に」とか、自分で工夫して形をつけてくださいね。
それと、これは時間の流れに沿って、やったことを言っていくだけです。
「AとかBとか」とか、「Aし、Bし・・」にあるようなニュアンスはないので、
そう思ってくださいね。じゃ、ノーヒントね、はいはじめ!」

このように言って、たっぷり練習してもらっていました。


下は・・・よく見ると自分でも目が回ります。一枚に盛りすぎですね。
①地図を送りたいので、ファックスで・・スキャンしてPCで・・プリンターでプリントして郵送で・・とか、言わせたかったのかもしれません。
② レジでの会話を引き出そうとか、③日本に旅行するなら何が要るだろうとか、
④映画館で、欲しいものを頼むとか、⑤ 【場所】に〜〜が ありますか?の文型の定着を目指した練習ですね。

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↓絵が雑で下手ですね。今の方がもうちょっと上手かも。
この文型を見せながら、「かぶき」「ゆかた」「すもう」・・を説明してもらいました。

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私の説明は、結構粗いです。
歌舞伎というのは、日本の昔のミュージカルのことです。今もあります。
相撲というのは、日本の昔のレスリングのことです。今もあります。
浴衣というのは、暑い季節のコットンの着物のことです。

下の左。
ロールプレイで「友達を誘ってみましょう」というのは、いつでもよくやります。

下の右。【原因・理由】プラス【で】の練習。

これが一冊になっているということは、もしかするとかなり上手な人の、弱点をなくそうとして作ったものかもしれません。

これだけが残っていたので、取っておくつもりでページの間にはさんだかもしれませんね。

昔の教科書は、「カセットテープ」「カセットデッキ」「ラジオ」などが頻出します。
今では、CDが出てきても「ちょっと古いな」と思いますよね。
インターネットもパソコンもスマホもなかった昔。

効率的では全然ないけれど、手作業の多かった時代も懐かしいです。


こんな会話が載っている教科書もありました。

A:すみません。聴こえません。
B:あっ、もう十円玉がありません。
・・・・・
・・・
A:もしもし?  もしもし?

十円玉がなくなってしまい、赤電話が切れてしまったシーンでした。



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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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