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エッセイ361.翻訳の沼(22)めくるめく機械翻訳の沼(上)

これは絶対機械翻訳でしょうと思える記事に出会いました。

律儀に逐語訳・直訳してくれていますが、ところどころ息切れをしたのか、語順が英語になっています。「英語の得意な日本人のアマチュアの人」が訳しても、
ここまでは面白くならないと思います。
機械なだけに、人間だったら悩むところを全く悩んでいないのが
大変よくわかりました。

ネットで広く発表しているものなので、大丈夫かなと思いますが、
著作権法に触れて、怒られてしまうかもしれません。
しかし、飛行機内の宣伝雑誌にいまだに多く見られるように(あれも書きたい)、いまどきこんな直訳でええの? と思わないでもないので、
(あと、ネット販売している中国製品の説明もすごい)
外国製品や記事を日本に紹介する方々に、ちょっと横から脇腹を突く(pokeっていうそうです)意味もあり、書かせていただきます。

私は前に、◯◯姉妹のエージェントの方から、訴えると連絡をされたこともあるので、今回もそういうことになったら、すぐにびびりながらこの記事を引っ込めるつもりです。

あと、あまりまるまる引用するとさすがに失礼なので、ところどころ指摘するにとどめます。
「    」内が記事になります。

今回採用させていただくのは、電気圧力鍋でドラムスティックをこんがり作る、
という優れたレシピです。
(実際、美味しくできました)

さて、圧力鍋は材料全体が煮汁に浸っていないと料理ができない、ということがあります。
なので、完成品が汁物である以外はほとんどの場合、料理が終わった時点で、内鍋の中になみなみと煮汁の海が残ります。肉じゃがなどですね。
もったいないし、流しに捨てたら有機排水を作ってしまいます。
私はケチでもあるので、この残った煮汁はもちろん、再利用します。
どんどんいろいろ継ぎ足す、学食の煮物の汁のように、玄妙な雑味が加わっていきます。食べるのは自分と夫だけなので、ま、いいってことで。

で、今回(前置き長いぞ)、そういうことになる電気圧力鍋使用のドラムスティックを、煮汁を出さないようにして、テリテリでパリパリに作ろうと思って、検索に及んだのでした。

検索ワードを
「インスタントポット ドラムスティック」
としますと、すぐに出てきました。

では、行きます。
このレシピをネット上に提供してくださった方、ごめんなさい。

・・・・

インスタントポットチキンドラムスティック

(前略)
「わずか 20 分で、家族全員でおいしい鶏のドラムスティック ディナーを作ることができます。 中のお肉はふっくら、皮はパリパリ!」

いい出だしです。
でもこれだと、家族全員で、料理にとりかかっているように感じます。原文ではおそらく、「家族みんなで食べられる」(量的に?)と言う感じなのかと想像しました。

「インスタントポットのチキンドラムスティック と同じくらいおいしいです 焼きバチ 半分の時間で!」

これがわからない。
だって、これは
「インスタントポットのチキンドラムスティック」
のレシピなのですが、それと同じぐらいおいしいって、ドユコト?
それと、句読点がない上に、
「焼きバチ 半分の時間で!」とは?
焼きバチとはなんでしょう。


「 圧力鍋のおかげで、肉はしっとりジューシーに、皮はパリパリに。」

あ、はい・・おかげで助かります。これは本当。

「言うまでもなく、このレシピは完全に 初心者に優しい (インスタントポットが初めての方でも). 簡単で美味しいという最強のコンビネーションに勝るものはありません!」

ここは、よくわかります。
Nothing beats this combination…みたいな原文かな。
どうしてもなんとなく、
「ゴソゴソして大仰になってしまう機械翻訳」
の特徴が出ている名文です。

「家族全員がこれらのジューシーなインスタント ポット チキン ドラムスティックを気に入るはずです!」

そうそう、機械翻訳ではきちんと、単数・複数を訳します。
考えたら日本語って、その辺を頓着しないため、「これらの」というような言い方をほとんどしませんね。

次に材料があり、それを飛ばしまして、続いて・・

「あなただけが必要です 4の成分 この簡単なインスタントポットのレシピのために! 」

いよいよ、語順が英語っぽくなっていきます。
ヨロヨロです。

おそらく、
「この簡単レシピに必要なのは、以上の4つの材料だけ! 」
と訳すべきところだったのでしょう。
典型的な「原文の透けて見える悪訳」です。


「じぶんの チキン, 家禽および バーベキュー 調味料は簡単に作れますが、好みのブランドを使用できます。」

この、「じぶんのチキン」も、ちょっとわからないですね。
「じぶんのじゃないチキン」を使ってもいいのか。
使ったら怒られちゃうのか。

それと「家禽」とは、
「卵・羽(羽根)・肉を人間の用いるために育てる鳥のこと」
だそうです。
このレシピではその「家禽」を使うようなのですが、それだとなんか、
なにかが飛びかかって、突っついてきそうな語感がありますね。

細かいようですが、
その「家禽」と、BBQの調味料は簡単に作れる?
多分何か、誤訳です。


「チキンドラムスティック - 1ポンドのばち状核突起 (鶏もも肉5~8本).」

ポンドか・・ポンドは私たち、わかりませんね。

1ポンドの「ばち状核突起」
と言われると、難しい病気の病巣のような響きがあって怖いです。

続いてチキン用のマリネ液の紹介がありまして、そこはドライに訳してあるのでほぼ大丈夫、そこで、それは飛ばしまして・・

「この簡単なレシピは 実質的に絶対確実. 計量スプーン、インスタント ポット、キッチン トングを用意してください。」

大丈夫、ちゃんとわかります。
実質的に絶対確実と請け合われ、励まされます。

「このレシピは、1 ポンドの鶏の脚用です。 約4人。 大きい脚が5本、小さい脚が8本入っているので、お一人様何本出すかはお好みで。」

何か生々しく感じるのはなぜか。

脚だからか・・・・

続きます。

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