エッセイ562. Meは何しに韓国へ(2)あまり英語表示もない件
ここ数年、日本では駅などで韓国語表示が増えて、
韓国から遊びに来てくれる人が増えたんだなと思っていました。
今日は、その逆も真である、とは言えなかったお話です。
先月、ママ友たちと生まれて初めて韓国に行きました。
私:韓国で言葉がわからなくて、地下鉄路線図も
「ハングル、たまーに漢字、英語」って感じで、
老眼もすごいので、本当に難儀しました。
友達:え、どこでも日本語が通じるでしょ?
私:と、思っていたのですが、それは市場の中で、
しかも、たいてい年配の人で、それでも結構、単語の応酬になりました。
例:
ツヤ肌の、私ぐらいの年配の店員さん、クリームを勧めながら:
私これだけ。3回つける。押す。これだけ。
私:高い。
店員さん:高いない。一つ買う、二つある。
(韓国では、1+1、1+5、とか、つまり、『1つ買うと、いくつ余計についている』というのがコスメなどで多いです。甚だしいものになると、「1+10 」などもあり、この辺また書きますが、なにかとちょろい日本人代表の私が、思わず喜んで前野メリーとなって買ってしまう地雷が、あちこちにしかけてあります)
(「もともと、10個でこの値段なのでは? テレビショッピングみたいに? 」
などと、野暮なことを言ってはいけません。大人なんだから)
私:うーむ。じゃ、二・・・つ?
店員さん:3回つける。押す。
私:朝3回?
店員さん:朝3回。夜3回ね。押して。
私:押して?
・・・じゃあ・・二個ください(二個入りパックを1個のつもりの勘違い)
レジで店員さんが放り込んでくれたのが、二個入りパックが二個。
カゴに入っていたのに気づき、ちょっと慌てました。
しかし、このお店は市場内だったので、こちらのプリペイドカードの wowpassもクレジットカードも使えず、旅行最終日だったために、私も現金でウォンを持っていなかった。
それを理由に断ろうと姑息なことを思い、
「ごめんなさい。wowpass だめね? クレジットカード? だめ?
ウォンないです。ごめんなさい。要りません。ノーニードね?」
と言いました。
すると、ざざっとあと二人のおばさんがやってきて、各々エプロンのポケットから電卓を出し、大きな声でお互いに何やら話し合いながら叩き、日本円を出してくれました。
「円いい。円OK」
こうなると、このクリームが何に効くのか、朝晩3回つけて肌に押し込むと良いらしいというしかわからなないまま、あとに引けず)
・・・・・・買いました。
(合計4個)
帰国してつけてみると、バラの香り。
英語の説明を読むと、メラニンをどうにかしてくれて、雪白な肌にしてくれるらしいです。
すごく油っぽいので、とても3回はつけられません。
ネットで見ると、このシリーズは実存しますが、このクリームは見つかりませんでした。
豊潤すぎるため、顔につけてから、思わず肘にもつけて保湿してしまう習慣になりました。
英語表示もありますが、店頭で
高いない。
3回。
押すね。
とニコニコ勧められながら、箱の表面の印字を読んで理解することは、とてもできませんでした。
第一、ハングルなのか英語なのかも、顕微鏡で見ないとわからないレベル。
初めての韓国旅行、軽く小当たりに当たった、ということに尽きましたので、いつかまた行くことができれば、落ち着いて対処しようと思います。
もう一つ、これも最終日です。
時間はないがトイレも行きたし、軽く食べておかないと大変だ、という瞬間があって、2階にあったレトロな喫茶店(コーヒーと書いてあった)に行きました。
レースのカバーが革のソファにかかっていて、レトロ好きな一行のうちのメンバーも喜びましたが、メニューが読めない。
レトロ好き子さんがスマホで翻訳してくれましたが、
乾いたイカの炒めたもの
乾いた木の実
乾いた海の草
などと出て、おそらく、スルメイカ炒め、ナッツ、韓国海苔・・
のような品揃え。
ここはもしやスナック・・・。
店員さんに「ごめんなさい、ランチありますか? 」などと聞いても、
「ああ、とんかつある」
いや、今から四人揃ってとんかつは・・。
「英語いいですか?」
と訊くと、奥から娘さん?を連れてきてくれました。
同じことを日本語と英語で言うと、娘さんも、
「とんかつ」
と英語で。
「ごめんなさい、大丈夫です」
と謝りながら退出しました。
この時の私は、わずか4時間後ぐらいに、仁川空港を一人で走ることになるとは夢にも知らず、このあとスタバでのんびりコーヒーを飲んだのでした。
空港でも、何行も続くハングルの下に1行「立ち入り禁止」とだけあるドアの連続に、目的地の手荷物検査場に行けなかった私です。
旅行が決まった時は、「韓国語の勉強のやり方」というような本を買ったのですが、漫画の中の細かい字が辛く、結局「ありがとう」と「おいしいです」と「おいしかったです」「ともだち」にあたる韓国語だけしか習得できていません。
日本語教師として、外国で言葉のわからない辛さ、フラストレーション、焦りを感じまくったことは、貴重な体験でした。
幼子を二人連れて数回、香港や韓国で空港直近のホテルに、乗り換え便を待つために泊まったり、一人で外国の空港で数時間座っていたりしたことがあるため、ひょっとして自分は、それなりに経験値が高くなったように勘違いしていましたが、英語が通じないと手も足も出ないことも学び、1ミリぐらいは余計に謙虚になりました。
何よりの収穫は、日々私と同じ経験をしている日本在住の初心者の生徒たちに対し、共感と共鳴を大いに持ち、さらに優しくなれたことでしょうか。
次のチャンスがあったら、ちゃんと韓国語を勉強します。