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エッセイその9. おさるのジョージは予定調和


この前、変な夢を見ました。

人の夢の話を聞かされるほどつまらないものはと言いますが、
我慢して聞いてくださいませ。


私は、色や体感のある、楽しい夢・怖い夢を 子供の頃はよく見ました。
でもこの頃は、夢を見ることがすごく減ったので、
朝起きて、夢を見ていたのに気がつくと、なんだか嬉しい。

よく眠るにも、体力が要るそうです。

それが、年をとるとよく眠れなくなる理由だ、
と聞いて、ちょっとくやしかったです。

このごろは眠りが浅くて、夜中にポカンと目が覚めることも多いし、
せっかくいい夢を見ていても、トイレに起きることがしばしば。
朝まで寝られた時なんて、万歳てなものです。
3時に起きて眠れなくなったら、思い切って起きてしまいます。

そんな私が先日見た夢です。

北千住の町を、昼飲みのできる店を探して、
1人きょろきょろしながら歩いています。
出かけたい欲・昼飲みしたい欲 溜まってる?
それでも、飲み友達の1人もいなくて歩いているのが不憫な私。😂

そのうち、なんだかに普通に歩いているのがしんどくなりました。
夢の中で体感があるって、我ながらすごい。
で、思わず膝を入れ、弾むように進んでみると、
すごく体が軽くて、快適に歩けます。
リズムをつけて楽しく半走り? してみると、スピードも出る。
両手を前に垂らして進むと、視線はぐっと低くなります。

タタン! タタタン!
タタン! タタタン!

楽しく走り始めると、ときどき思わず両手が地面につきます。
軽くグーにした手をつきながら走ると、ますます走りやすいです。

これはいいわ、これからこうやって走ろうっと。

と思ったところで目が覚めました。


起きて一番に思ったこと。

ひゃだ!  ジョージになってたわ!


そう、あのジョージ、おさるのジョージです。
岩波では、「ひとまねこざる」で、
テレビのアニメでは「おさるのジョージ」、大人気です。


こんな夢をみた理由は多分、一人の友人と、
一緒におさるのジョージを読み始めたからでしょう。

この人は、日本語教師の同僚であります。

コロナの時代になってから、
いろいろ情報交換をしたり、オンライン教材の指南を受けているのですが、
ジョージがとても好きで、小学生のお子さんたちも、テレビで見ているといいます。

うちの長女の初お弁当箱セットも、彼女のお子さんたちのそれも ジョージでした。


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我が家では長い間、ジョージのシリーズが読み聞かせ本となっていて、
一冊ずつは文字もページ数も少ないので、とても読みやすかったです。
絵も、とても可愛いのです。

友人からの提案で、一緒に読みましょうということになり、どこかにしまっているはずの本を、夫に探してもらいました。

ありましたありました。

コンプリート・アドベンチャーだというのが見つかりました。
買ったときには美しかったつるつるの表紙の手触りを、ありありと思い出します。
それは娘らが破ってしまって、今ではこんな年期の入ったお姿に。


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分厚い本なので、ジョージシリーズの全話が入っているかと思ったら5話だけで、
よく覚えているお話も入っていません。
ずっとバラで買っていて、ある年、長女の誕生日プレゼントに、この大部の冊を取り寄せたのでした。

友人の方は、8話入りの本数冊持っていました。
私も今から、全部読みたくなってきました。

大人になって気がついたのですが、
ジョージを捕まえたか、捕まったジョージを引き取ったかした、
この、「黄色いぼうしのおじさん」。

結構若いんですよね。
35歳ぐらい?

でも、子供やおさるから見たらおじさんですので、
The man with the yellow hat,
マン、なんですけれども、邦訳では「おじさん」になっています。

で、いい家に住んでいるの。
ドアマンのいる高級マンション。
別荘も持っています。
働いている様子も、なんだかありません。

おじさんは、毎回ジョージが引き起こす事件で、
弁償とか修理、お詫びなどで、巨額のお金がかかっているはずですが、

やれやれ、ジョージ。

などと言って、頭の横っちょを掻いたりしているだけで、
別に破産とかしていません。

きっと、親からもらった財産がありあまっていて、
コロナ禍の今の時代であっても、不労所得がすごいのでしょう。

ジョージが毎回やらかしてくれないと、お話になりませんので、
各話の最初は必ず、おじさんたら、

「ジョージ、僕は用事をすませてくるので、
ここで大人しくしているんだよ。
面倒を起こしてくれるなよ」

てなことを言って、どこかへ行ってしまいます。

アニメを見ていたり、本を聞いている、読んでいる子供も、
読み聞かせている親も、

たくもう〜!
おじさん!
ジョージがなんかやるに決まってるじゃん!
なんで毎回、おじさん、どこかへ行っちゃうの?
おじさん、学習しないの?

と、心で叫んでしまいます。

もしかして、映画「メメント」の主人公のように、
事故で脳を損傷でもして、3歩歩くと全て忘れてしまうのでしょうか。

それとも普通に鳥頭なのか。

本当に、はらはらさせられます。

お金持ちだったからよかったようなものの、
庶民であったなら、たちまちおじさんは路頭に迷い、
ジョージは動物園に入れられてしまうでしょう。

私は、ジョージの作者の方は、

いろいろやってくれる男の子の親御さん

なんじゃないかなぁ〜、と思っています。
女の子より、瞬間最大風速が大きいじゃないですか、男の子って。

友人がリンクを送ってくれたので、初めてアニメも見てみました。
1回に2話分が入っているのですが、
トイレに立つのも我慢して、一気に見てしまいました。


さて、原作のあるもののアニメ化です。
ゲゲゲの喜太郎もサザエさんも、アニメになるといきなり可愛さが増しますが、
アニメのジョージも、ご多分にもれず、大変可愛いです。
可愛いけれど、そこまで原作とは離れていません。
絶妙な可愛いぶりです。

ジョージ・シリーズの絵の特徴の、フランスっぽい微妙な色調もそのままで、
すごく秀逸なアニメだと思いました。

本では知り得なかったこと、すなわち、
ジョージの移動は、夢の中の私のように、
二足歩行と、屈んで、手をつきながらの走りをしているのもわかります。

あと、昔のターザン映画のチータのように、
人間の言うことに、わずかに、うき、うききき・・
みたいな反応しています。

あ、チータと言いましたが、あの猫科のチーターではなく、
ターザンの愛猿のチンパンジーです。
あ、チンパンジーだからチータなんだ、今わかった、いいけど。

ジョージは自分も猿のくせに、ウサギを可愛がったり、
他の動物が大好きで、餌をあげたり、こき使ったりします。
ほんと、生意気でこしゃくなトラブルメーカーですが、憎めません。


SNSでジョージのことを書いてみましたら、

「孫と一緒に毎日アニメを見ています」

とコメをくれた友人がいました。

うーん、ジョージは永遠で、フォーエバーだったんですね。


また、もう1人の友人のコメはこれ。


「ジョージ、子供の頃は好きだったけど今は辛くて見てられない。私が飼い主?親?だったら捻り殺すレベル。黄色いおじさんのメンタルの強さが凄すぎる」

それもわかるな!
子供の頃は痛快だった、ジョージの壮大なやらかしも、
お母さんになってみると、自分の子供の行動と重なり、

うっきっき〜! 🙉🙉🙉

となってしまうに違いない。


この友人への私の返事。

「私は男子がいないので、気楽に見ているのかも。私の妄想ですが、この黄色い帽子のおじさんは、離婚して、月1の面会日にジョージに会ってるわけ。普段大変なのはお母さんの方で、おじさんは責任がないから、放任なわけ。どう?」

友人が送ってくれたジョージ本の目次を見ながら、
ぼんやりといろいろなエピソードを思い出しました。
少しずつ読んでみたい、ジョージ。

気持ちがざわつくニュースの多い毎日に、
久しぶりに楽しい、温かい気持ちになることができました。

ジョージありがとう、でも大概にしてよね?


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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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