エッセイ487.家庭内英会話(2)途中から聞いていない人たち
朝、ジャージャージャーと炒め物をしていて、換気扇も「強」の方をつけていると、遠くから夫に、英語で何か言われても聞き取りにくいです。
ある朝の夫婦。
寝室の襖は空いていて、夫が、
「イクツです」
と言っています。
「はい?」
「イクツです」
「何が幾つですか〜?」
「イクツじゃないです、イクツです」
「だ〜もう、だから何が幾つかって、聞いているんですう」
「イクツって言ってません、イークーツー、ですー」
ったくもう!
と思って、火を止めてドスドスと寝室の方へ行き、
「換気扇ついてるし、cookingしてるし、聴こえないわよ?
言いたいことあったら、自分から来てくださいよ〜もう。
で?
なに?」
「木に靴です」
と言います。
は?
木に靴?
木に、靴・・・
あっ、「筋肉痛」かい!
「そうです。昨日合気道に行ったので、キニクツがあります」
まだ、キニクツ、言うてはる。
・・・・夫!
すんごい発音悪いから。
これが私の生徒だったら、発音指導入ります。
こんなことが常にあります。
夫からすると、私の英語には、主語がないのでま・・・・・・・・・ったく、
何を言っているかわからないことが、多いそうです。
ある研究では、母語で会話をしていると、内容のたった2割しか聞いていなくても、なんとなく文脈や前後の会話から、だいたいのことが解るそうです。
それが本当なら、外国語同士でチャンポンに話している私たち夫婦は、2割どころか、最初から最後まで傾聴しないとわからないはず。
実際そうです。
日本語は一番最後に否定か肯定がきますから、夫はすごくイライラするそうです。
例えばある番のこと。
夫:明日結局行きますか?
妻:そうだねぇ、行きたくはあるけれど腰も痛いし、今月はお金使いすぎちゃったからなぁ、でも今日行かないと次に行くのは再来月かぁ・・・と思えば、今日行っとくものだとはわかるのだけれど、
私はどっちでもいいけど夫はどうしたい?
みたいなのは、日本語では普通ですが、英語ではないそうです。
だって英語は、最初に大事なことを言いますね。
「明日結局行くの?」
「いや、私は行かない。あなたはどうぞ。
なぜなら・・(この後に理由が続く)」
私にはこれが、いまだに上手にできません。
はっきりと自分の好悪や都合を最初に言おうとするのは、
自分のことだけを「言い立てているように」感じてしまうらしいのです。
古い日本的なコミュニュケーションというのは、私見ですが、
まず、理由などをじっくり述べて、
・・・・であるから、行きます・行きません。
と言いたい気分がないでしょうか。
私だけ?
昔々は、私が自分の話法で喋ると、それが日本語であっても英語であっても、
夫がまず早々に私を遮り、
「だから?」
と言います、それに私がイラッとなって、
「だから? って言わないで!」
と反応し、そこからひとしきり言い合いをしたものでした。
(今でもこれ、多いです。学習しない猿たち🙉)
夫:君の話は長いです。
言い訳はいいから結論を先に言ってくれたまえ。
妻:私の話の長いのは死んでも治りません。これは断言できます。
私の今言おうとしているのは、
言い訳をしなければいけないような内容ではありません。
私は親切にも、あなたが理解しやすいように、
じっくりとお話をしているのです。
黙って聞いていればそのうちに、
貴君の聞きたい結論が出てくるでしょう。
最後の最後に。
夫:そうですか。 では、どのぐらい待たなければなりませんか?
妻:さあてねぇ・・・・2時間ぐらい?
とまあ、こんな馬鹿馬鹿しい言い合いに時間を割いていました。
今はもうそんなスタミナがありませんので、どうなっているかというと、
途中からお互いの言うことを聞いていない・・
ということが、よくあります。
娘たちが一緒に暮らしていた頃は、両方から、
「おとんとおかん、死ぬほどくだらない喧嘩やめろ」
とよく言われました。
ご参考までに、こんな錯誤があるという例です。
10年ぐらい前のコミックです。
近くで聞いていてもこうですからね。
日本人と結婚していたらどうだったんだろうと、良く思います。