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日本語教師日記167. 内気な人たち
毎日、陽気な人や物静かな人、悩みを抱えた人など、いろいろなタイプの人に会いますが、相手の調子がどうであっても、私の方は一定の元気さを保つ必要はあります。
雑談をして楽しくても、こちらはあくまで「受け」なのですが、つい身につまされる話題もあります。
内向的で苦労している話と、言葉が通じなくて辛い話です。
「アレックスさんは内気ということですが、
じゃ、パーティはあまり好きじゃないですか?」
「好きではないというより、もう、すごく苦手です」
「何人までなら大丈夫ですか?」
「10人までならなんとか。先生は?」
「4人までですかね」
「4人とは、少なくないですか?」
「ひとテーブルに収まる人数ぐらいなら大丈夫です」
「なるほど」
「もう気が張る場面が、辛くなってきました」(これは本当です)
「先生は、パーティが好きですか?」
「どちらかというと好きではありません。
全員が立っていて、話す相手を見つけるというパーティが、本当に苦手です」
「それは僕も同じです。
話せそうな人を探して、歩き回っている時が本当に苦痛ですね」
「わかります。
で、やっと話せたと思ったら、その人が、他の知り合いを見つけて、
『ちょっと失礼』って行ってしまうと、がっかりしますね」
「しますね。それと、せっかく話せる人が見つかっても、
その人が、自分よりよりもっと面白い人を探しているときがあります」
「ありますね。話しながらキョロキョロしたり、
自分の後ろの人をチラチラ見てたりね」
「僕はそんなとき、自分が無価値な人間のように感じます」
「同じくです」
「クレアさん、私は、私だめよねと思うときがあります」
「それはどんなときですか? 」
「本当は居心地が悪いのに、平気そうに なんとなく笑っているときです」
「あっ、すごくよくわかります。私もそういうことがあります。
すごく寂しいのに、全然平気ですっていう顔をして笑っているとき、
自分は馬鹿かと思います」
「夫の国にいる時は、どうしてもそういうことが多いですね」
「先生も? それを聞いてほっとしました」
私は今は、大きな集まりの中にいることはほとんどないのですが、考えてみたら日本語のレッスンで会う人は、言葉の壁のために苦労している人がほとんどなので、共感できることが多いです。
日本人の配偶者がいて日本に住んでいる外国の方。
「ハンスさん(仮名)、奥さんのご実家、どうですか?」
「みんな親切です。美味しいものをたくさん用意してくれます」
でも、義父母の言っていることがよくわからなくて・・
一人黙っているのも申し訳ないです」
「私も、夫の国に行くとそういうことは多いです。
みんなの中でたった一人の外人になって、ああ、みなさんこういう感じの生活なんだなぁと思います」
「たまに、やっと、これなら何を言っているかわかる、と思って、
一生懸命言うことを考えて、話し始めると、もうその話題は終わってますっていうことがあります」
「ああそれはありますね」
「すごく恥ずかしいです」
「先生も、義理家族の話していることに入っていけないですか?」
「そうですね、入れないというより、家族の歴史を知らないので、ずっと聞いている感じになるときは、寝そうになります」
「僕は、義母が気を遣って、ゆっくり話してくれるのですが、
それで僕が話しだすと、終わるまで、みんな礼儀正しく、黙って待ってくれます。
僕がその場をつまらなくしているようで、辛いです」
「そうですか。では、日本語をもっと頑張りましょうね」
「はい、頑張ります!」
みなさん本当に頑張って勉強しています。
周りの皆さんも、少しゆっくり目に話してあげてくださいね。
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