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日本語教師だよりその26. 待遇表現

私の生徒の中には、日本に長く住み、教会の牧師さんや、日本人を対象にしたビジネスを営む人などがいます。
みなさん、繊細かつ注意深く日本の人付き合いを見て、溶け込もうとしています。

先日もこんな会話がありました。

質問:ママ友に公園で会って、夕方お兄ちゃんが合流した場合、
   お兄ちゃんはは保育園ですか、と訊いたら失礼でしょうか。
私: なぜそう思いました?
質問:「私は幸いに主人が頑張ってくれているので、働かなくて済むので」
   と言う人に会いました。
   ということは、保育園に預けてお母さんが働くのは、気の毒とか、可哀 想とか、思われていないでしょうか。
私: さて、どうでしょう。
確かに私も、そういう言い方を聞いたことがありますが、今そういうことを言うのは、かなり年配の人だと思います。一馬力では厳しい時代が続いていますしね。今の都市部で、両親とも働く人は珍しくないので、そこまで心配しなくてもいいと思います。
ただし、都市部以外は私もよく知りませんのでごめんなさい。



日本に住み、お子さんがいたり会社勤めをしていると、日本人と日本語で関わる機会が多いので、みなさんとても慎重になります。
言葉は言葉で終わらないところが、厄介でもあり、面白いですね。

つい最近、「てあげる・てくれる・てもらう」について、教科書以上に深く知りたいので、そのことをレッスンでお願いしますと言われました。

上記のような表現を、日本語学習の世界では「待遇表現」といいます。
「言葉遣いにその人が現れる」代表的な例ですので、じっくり慣れていって欲しいです。

さて、「あげる」です。

人に対して自分が、「なになにしてあげる」は言わないほうがいいでしょう、
と教えています。 
では実際にはどうでしょうか。

 

質問を受けながら説明をし、GoogleDocに入力していきました。


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・子供や目下の人を助けるようなときは「してあげる」は自然に響くでしょう。

例)お母さん⇨子供に

   「開かないの? 貸してごらん、開けてあげる」

年上であっても、たとえば学生時代の先輩は、大人になっても続いているなら、そこまでかしこまりません。
一方会社で仕事を教えてもらっている先輩とは、一定の距離のあることがふつうでしょう。


わかりやすい、本当の目上・・上司、先生などには、どんなに丁寧に言おうとも、(例えば「作ってさしあげます」と言っても)、それでもまだ、恩着せがましく感じる人もいるでしょう。

そんなときは、使役の形を使って「させていただきます」「させていただいてもよろしいですか」なども有効です。


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また、自分のためではなく、他の人に対して、やってあげてくれないかと婉曲に頼むときには、「てあげてください」「てあげて?」などは、普通に言いますし、いい感じです。
ただし、「他人へのヘルプ」」を依頼するので、自分の目上の人には使えませんね。


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クラスでのグループレッスンでは、ここまでは説明できません。

また、言葉は生き物で、変わっていくものですので、「様子を見ながら」慎重に、「いまのところはこのぐらいが適当でしょう」ということを伝えていくことにしています。

ただし、
「ら抜き言葉」と、「身内に尊敬語」は、
私の生徒たちの間では「やめておきましょう」になっています。

難しくて深い「待遇表現」ですね。




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