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日本語教師日記192.言葉を尽くした件(2)まで・までに の説明が通じない!

限られた1時間、たいていは1週間に1回受けてくれるレッスンですので、やることはたくさんあります。
ある言葉について、一度ですっきりわかってくれなくても、
「今日はここまで。またここに戻ってきますよ」
と言って、その通りにすることで、いずれは、その文法事項を定着させることはできます。

先日、これは生徒ではなく夫ですが、わかってもらうのが難しいことがありました。
この日、近所に住む次女が泊まりに来ており、日本語と英語のちゃんぽんで2人が喋っていました。
そのとき私がいつもちらちらっと気になること、夫の「まで」と「までに」の使い方に注意が向きました。

夫「これは九月末まで払えばいいんだよ」
次女「わかった、九月末までにはらうんだね?」
夫「そうそう、九月末まで払ってください」

夫に在宅勤務が多くなった頃から、同じ部屋で仕事の電話をしているときに聞こえてきたために、夫の、「まで」と「までに」の使い方の混乱に気づきました。
でも、このとき次女が
「はいはい、九月末までに、ってことだね?」
と勝手に察して理解しているように、夫の同僚の日本人の皆さんも文脈から理解してくれていることでしょう。それで、今までこのことを話題にしたことはありませんでした。

たまたまこの日は時間があったし、この混乱も、一度理解して直れば、もう間違えないなと思ったので言いました。

夫おっと。
『まで』は、あるときから終わるときまで、払うこと。
そのとき「まで」払えばいいのであって、そのあとは払わなくていいことです。
一方、「までに」は、払い続ける durationの ことではなくて、払って欲しい締め切りのことを言っていますよ」

で、これでわかると思ったら、夫にはわかりませんでした。

夫:「10月末まで」は、「10月31日に」払うことですね?

私:違いますよ。
10月31日でもその前でもいいですが、10月まで、払って欲しいのです。
払う期間は、10月までだと言っています。

夫:では、by then と同じですよね?

私:違いますよ。until thenと by thenは同じじゃないでしょう?
夫:違います。
私:「10月末まで」は、until the end of October,
    「10月末までに」は、、
「それ以前のいつでもいいが、払って欲しい期限は10月末だ」
と言っていますよ。
(このあたりから、同じことを我ながら繰り返しているなぁと思い始めます)

夫:10月末まで、と言ったら、10月末に払いませんか?
私:そういう人もいるでしょうが、要点は、『十月末に払ってくれ』ということではないですね。
たとえば、月払いだと、毎月何日に払うって決まってたりするでしょう。
そして、ある支払いが始まりましたが、そのとき「から」10月末「まで」払ってください、と、払う期間を決めているという意味ですよ。
夫:じゃあ、「まで」と 、「までに」は、同じでしょう?
私:なぜそうなる。いや、違います。
夫:とても微妙ですね。
私:全然微妙じゃないですが。
夫:じゃ、「10月末まで払ってください」と言われたら、いつ払いますか。
私:十月中に払います。
夫:「十月末までに」は?
私:今から、いつ払ってもいいけど、10月31日が、払ってほしい最終日ですよ、それを越してはいやですよ、ということですね。
夫:ネイティブじゃないと、わからないほどの微妙さですよね?
私:全く微妙ではありませんよ。
あなたは英語で話すとき、
① Please pay until the end of October.
というのと、
② Please pay by the end of October.
というのと、場合に合わせて、両方使うし、それぞれ意味は違うでしょう?
夫;違いますね。
日本語も①と②は意味が違い、「まで」と「までに」は違うということです。
日本語も、いつからいつ「まで」払ってくださいなら「まで」だし、
いついつ「までに」払ってくださいと言ったなら、締め切りを表します。

「・・・・・・・・・・・・」

「わかりませんか?」

「わかりません」

ここで時間切れ。

私も頭から湯気が立ちそうになっていました。

あいにくながら、続きます😅

お時間のある方だけお付き合いください。


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