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周りではなく過去の自分と比べろ

周りのみんなとは遅れて入団した選手がいる。きっと勇気を出して前に進んだのだと思う。まだ基本動作が身についていないため、同じ学年とは分かれて下級生のクラスに混じって練習していた。

セカンドから悪送球してしまった彼に、大人から残念な言葉が飛んだ。

どこ投げてるんだよー

否定的な言葉は、スポーツ心理学ではマイナスにしかならない。どんなに優しい言い方でも傷つくことがある。それがキッカケで野球が嫌いになってしまうことだってある。下を向いて涙を流している彼を放っておけなかった。

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気にするな。
何回も失敗していいんだよ。

自転車だってすぐに乗れなかっただろ?乗りたい乗りたいって思って何回も練習したから乗れるようになったんだよな?野球だって同じ。一生懸命練習したら必ずできるようになる。

あきらめちゃダメだ。
下を向くな。

まだ野球を始めたばかりじゃん。最初から全部できるヤツなんていないよ。少しずつキャッチボールができるようになって、少しずつノックも取れるようになってきた。一生懸命練習してきたんだよな、すごいな。

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泣きながら何度もうなずく彼の背中をポンポンと叩いて、さあ、いけ!と送り出した。

気を取り直して一歩を踏み出した瞬間はとてめ胸が熱くなった。自分だけ学年が上で肩身の狭い思いをしていたのかもしれない。吹っ切れた姿は、周りとの比較を断ち切れた証。

以来、そっと僕のところに来て本音を話してくれるようになった。最初は弱音が多かったが、仲間のプレーを見た感想も話してくれるようになった。話せばスッキリするのか、表情もイキイキしてきて成長が著しい。同じ学年の子と一緒に練習ができるようになり、最近入ってきた新しい仲間に寄り添う思いやりも持つ。時間が経つのは早い。子どもの成長はもっと早い。

一生懸命練習している自分を見失いそうになったら、ちょっと前の過去を思い出してみるといい。できなかったことのレベルは確実に上がっているはず。

低学年の頃は誰もがキャッチボールもうまくできなかったし、なかなか打つこともできなかった。みんな一生懸命練習したから少しずつできるようになってきた。だから当たり前のアウト、当たり前のヒットなんかない。

自分ができるようになったことを確認して、今度は確率を高めていけばいい。自己最高をどれだけ更新できるかの挑戦は、成長を競い合える仲間がいるからこそ楽しい。


※写真と本文は関係ありません

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