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席を譲りまくれ! in 電車

 僕は電車で席を譲る男である。優男の中の優男、優男の風上に置きたい。席をゆずる対象は多岐にわたる。老人、マタニティ、見るからに辛そうな人、誰でもドンと来いという感じ。脚を引きずった犬がいたら犬にも譲りたい。いっそのこと、もうみんなに譲りたい。ここまでくれば、人は私のことを善人と言いたくて仕方ないはずだ。しかし、実際はとても自己中心的な思考により席を譲っている。

 理由は一つ、一般的な「席を譲られるべき対象」が目の前に立っていたらシンプルに居心地が悪く考えるのが面倒臭い。この人はまだ若そうだからとか、元気そうだとか、席を譲ると怒るかもしれないとか色々考えてしまう。こいつには席を譲らないと決めた後でさえ、自分を正当化する思考が働いてしまい終始その対象に注意を払ってしまう。そんな中で他の奴が席を譲ってしまったあかつきには、「僕も譲ろうと思ってたんですよ、あータイミング悪かったなぁ、あー譲りたかったぁ」などと、訳の分からない自己弁護が脳内で反芻される。キングオグ阿呆。

 上記のような事が幾度となく繰り返されてきたため、僕は悩む前にどうぞと席をゆずる。そうするとその瞬間に席を譲ることに関して考える事を辞めて、心に安寧が訪れる。こうして、必要以上に席をゆずる男が形作られたのであった。


最近読んだ本

こんな夜更けにバナナかよ

大泉洋の映画CM知った、しかし映画は見てない。こういった病気や、障害をテーマにした映画や本が苦手だからだ。これは筋ジストロフィーを患った人の自伝である。まだ読んでいる途中だが面白い。僕は障害や大病を患う人間に対して、不自然な行動をとってしまう事がある。それは普通に接しなければという過剰な気持により発生する。この本では、そういった心理や、経緯などを介助ボランティアの体験から読み取る事ができて良い。



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バンドマン 人生に怯え哲学に縋る
よい曲を作り続けます