潮目が変わったアメリカのトランスジェンダー問題に危機感を持つトランス活動家
エリン・リードと言えば有名な女性を自認する男性(MtF)のトランスジェンダー活動家として悪名高いが、本日彼が昨今のトランス自認男子の女子スポーツ参加を巡ってトランスジェンダリズムが危機を迎えているという話を書いている記事を見つけたので読んでみたい。
今回の選挙で民主党が惨敗した理由のひとつとして、民主党によるトランスジェンダリズム推進方針があったことは誰もが認める事実である。そこで民主党の中からも、今一番問題になっている女子自認の男子による女子スポーツ参加を推進するのは諦めるべきなのではないかという声が上がっている。
しかしリードはこれは間違っているという。なぜなら共和党によるトランスジェンダー排除は女子スポーツだけでは収まらないからだ。
2019年に比べると2024年の現在トランスジェンダー人権に関する討論は劇的に変わった。2019年のアメリカではトランス自認の若者は何の障害もなく性違和肯定治療を受けることができた。ところが最近になってテキサスのオデッサ群にある市では、トランス自認男が女子トイレにはいっているのを見たら通報するようにという法律が通ったり、子供に性転換をさせている親を児童虐待の疑いで捜査するなどといったことが起きている。
リードはことのきっかけとなったのは、男子の女子スポーツ参加を抗議する運動だったという。この広告はケンタッキーの州知事に立候補していたアンディーバシアー(Andy Beshear)に対抗するためのもので、バシアーは男子の女子競技参加を奨励していると訴えるものだった。バシアー自身は当選したので、この広告は失敗したかに見えたが、このやり方はその後の反トランスキャンペーンの下地を作ったとリードは言う。
ジェンダー批判派の市民団体アメリカンプリンシプルプロジェクトを率いるテリー・シリング(Terry Schilling)は、CNNのインタビューで広告の背後にある真の意図は、スポーツを通じて人々がトランスジェンダリズムの問題点を気軽に話せるようにすることだったと語った。そしてこの作戦は成功したとリードは言う。
2022年の終わりには、テキサス州議会で多数議席を占める共和党がトランス自認男子の女子スポーツ参加を禁止する法律を通した。共和党の穏健派は性自認肯定治療禁止には反対したが、男子の女子スポーツ参加禁止には賛成票を投じた。穏健派はスポーツの件で譲歩すればそのほかのトランスジェンダリズムへの攻撃は減るだろうと考えていた。そして一時はその作戦は成功したかに見えた。テキサスのような保守的な州でも性自認肯定治療禁止法は共和党の知事によって拒否されたのだ。
ところが2023年の終わりごろには、男子の女子スポーツ参加を禁止した州では、さらに厳しい反トランス法が通り始めた。例えばこれらには未成年への性別肯定治療、ホルモン投与、プライドパレード、トランス許容トイレ、教師が子供を異性の代名詞で呼ぶことなどを禁止する法律が含まれていた。全国で1000を超す「反トランス」の法律が通された。スポーツ問題で妥協すれば反トランス運動が緩和されるのではと考えた穏健派の考えは甘かった。
私はリードのこの懸念は全くその通り当たっていると思う。なぜかと言えば、女子を自認する男子のために女子が危険な目に合うのはスポーツの場だけではないからだ。しかし男女の体格の差がはっきり出るのがスポーツだから、先ずそこから世の中の人々にトランスジェンダリズムがいかに馬鹿げた概念であるかをわかってもらうのは一番良い方法だと思う。
この記事の最後にリードはこうした法律を通す前に一番影響を受けるトランスジェンダーの人々の声を聴くべきだと書いているのには笑った。トランス方針を打ち出した多くの機関が一番悪影響を受ける女性と言う当事者の意向を完全に無視してきたことを棚にあげてよく言うよと思う。
もしアメリカの世論が反トランス概念に向いているとしたら、それはひとえにTRAの責任だ。TRAが無理やり自分らの狂気じみた方針を我々に押し付けてきたことが問題なのだ。
リードは正しい。この問題において双方で妥協することはできない。スポーツだけの問題では済まない。我々ジェンダー批評派はトランスジェンダリズムが完全崩壊するまで根強く運動を続ける必要がある。リードのようなトランスジェンダー活動家が危機を感じているのだとしたら、それは非常によい兆候である。