見出し画像

アビゲイル・シュライヤー、如何にしてジェンダー熱がやっと下がったのか

「あの子もトランスジェンダーになった」の著者アビゲイル・シュライヤー女史がザ・フリープレスに寄稿しているので読んでみたい。

愛にあふれた純朴な両親は、医学は政治を超え、疑問の余地のないものだと信じていた。今、ペンの一筆で、破壊的なイデオロギーは排除された。

トランスイデオロギーはもう20年以上前から存在していたが、ここ10年あまり、特に2020年以降トランスジェンダー活動家(TRA)の活動はとみに激しくなっていた。性別は「出生時に割り当てられた」となり、思春期の少女たちが乳房除去に必要な手術費をネットで募金したり、学校でも教師が子供たちの「性自認」を質問したりしていた。これらに疑問を呈する意見はことごとく弾圧され、シュライヤーの著書をはじめライアン・アンダーソンの「ハリーがサリーになった時」などジェンダーイデオロギーに批判的な書籍がアマゾンリストから消えたりした。

ACLUというアメリカの人権市民団体の弁護士で男性自認の弁護士、チェイス・ストレンジオ(Chase Strangio)、(この間、テネシー州の児童性転換手術禁止法が合憲かどうかを審議する最高裁で答弁した弁護士)などシュライヤーの「あの子もトランスジェンダーになった」の流通を阻止することこそが「100%私が死守する丘だ」と宣言した。

シュライヤーはまだまだ色々あるが、2025年1月28日、もうそれをしなくて済むようになったと語る。それはこの日ドナルド・トランプ大統領が大統領命令で「連邦政府は今後、いわゆる 『性転換 』と呼ばれる子供の性転換に資金を提供したり、後援したり、促進したり、援助したり、支援したりしない」とし、「このような破壊的で人生を左右するような処置を禁止したり制限したりするすべての法律を厳格に執行する」と宣言したからだ。(この大統領命令全文は下記で全文日本語で読める)

小児科医療の処方が医者ではなく政治家に終わらされるというのも不思議な話であるが、実はこの「性別肯定治療」と呼ばれる性転換措置が始まったのはブラコ・オバマ政権の悪名高いオバマケアの時にさかのぼる。

オバマケア法の1557条項で、民間保険会社は性別(Sex)によって患者を差別をしてはならないという項目があったが、それが2016年オバマ政権の保険省(HHS)はSexに「性自認」を含めると変えてしまったのだ。

「オバマ大統領はヘルスケアを通じて、性自認が保護されるべき階級であることを事実上法律に書き込んだのです」と、ヘルスケア幹部で性医学研究者のゼンヤ・アブルッツェーゼは私に語った。そしてそれは、こうした治療に対する新たな巨大な資金源となった。「一旦保険会社がカバーしなければならないと思えば、それで終わりです。とアブルゼーゼは言う。

つまり、男性の病気の治療にテスタストロン処方に保険がきくのであれば、男性を自認する女性の処方も保険を利かせなければならないという理屈になる。そうしないのは差別だというわけだ。この法律改定は議会の承認なしにジェンダー活動家によってこっそり行われた。TRAが訴訟を起こし勝訴してしまった。これで本来なら不必要な美容整形が医療として保険のきく治療となってしまい、未成年の治療ですら保険内とされてしまったのだ。

それまで全く違う理由で使われていた思春期ブロッカーは性転換治療のための処方としてFDAから認められてもいないのに、オフレイベル(用途外)で使われるようになった。そして医学会もメディアも活動家も口を揃て「命を救う」治療だと合唱した。

トランスジェンダー医療の専門家として現れたWPATH(The World Professional Association for Transgender Health)による、後に出鱈目だったことが暴露された、ガイドラインが神の言葉のように妄信され、思春期ブロッカーや異性ホルモンや手術の影響を科学的に調査したジョン・ホプキンス大学の調査が隠蔽された。

バイデン政権は保険省のトランス自認男性であるレイチェル・レビン副長官にWPATH治療基準を変えさせ、治療を始められる子供の年齢を下げさせた。バイデン・ハリス政権は未成年の性転換治療を積極的に推進したのだ。2022年、保健福祉省はファクトシートを発表し、青少年に対する性別肯定治療は 「全体的な健康と幸福にとって極めて重要である 」と主張した。

オバマとバイデン政権は多額の資金を活動家の似非調査に注ぎ込んだ。性転換手術外科医のジョアナ・オルソン・ケネディー医師はなんと1000万ドルの研究費を受け取っていた。オルソンケネディーは11歳以上(のちに8歳に下げた)の子供への思春期ブロッカーと異性ホルモン投与の効果について調査すべく何百という子供たちを集めて人体実験を行った。わずか1年の調査で315人の調査対象のうち二人が自殺している。

9年間にわたる調査の結果、オルソンケネディーは調査結果が気に入らなかったため、この調査を止め研究結果を発表しなかった。彼女自身の研究結果が、思春期ブロッカーや異性ホルモン治療が子供の性違和を緩和したり精神状態を改善しないことを裏付けてしまったのだ。同医師はこの結果が子供の性転換治療禁止に政治利用されることを恐れて発表を見送っていたと後に認めている。税金1000万ドルもかけて行われた調査結果を国民が見ることはなかった。

トランプ政権の大統領令はこれらの措置を直接的に禁止するものではない。だが連邦政府から資金を得ている組織はWPATHのジャンクサイエンス(似非科学)に依存しないようにと命令された。ということは保険会社も今後性転換に関する治療を保険適用するかどうか再検討しなければならなくなる。

無論連邦政府の資金に頼らない民間のクリニックが、自腹で払う患者に治療を施すことは可能である。しかしこの大統領令は呪文を解くものだとシュライヤーは言う。

シュライヤーが取材した多くの親たちは、金が有り余っているハリウッドのセレブのような人たちではなく、本当に子供を愛し、子供の健康を心から願っている人たちばかりだった。皆「生きてる息子と死んだ娘のどちらを選ぶ?」という恐ろしい呪文にかけられてしまったのだ。

小児科医、外科医、内分泌科医、セラピスト、教師、聖職者まで、多くの悪質な行為者がそれを利用した。彼らを野放しにする理由はない: 科学は粗雑であり、常にそうであった。私が2020年に『不可逆的なダメージ』を出版し、一夜にして多くの保守派の間でさえ社会的な非難を浴びるようになったとき、医学的なリスクは当時も現在と同じように専門家の目には明らかだった。関心を持つだけでよかったのだ。

まさしくその通りだ。TRAの強みは常に人々の無関心にあった。もし人々が「これはおかしい」と気が付いて、ちょっとでも深堀をしてみれば、ジェンダーイデオロギーがどれほどおかしな思想であるかすぐに解ったはずなのである。だが人々は「専門家」と呼ばれる人々の言葉を妄信してしまった。

大抵の人は波風立てないように、周りに波長を合わせようとしただけだ。やたらに目立てば職を失い友達を失う。自分に関係ないことにわざわざ首を突っ込むことはないと思うのが普通だろう。政府もメディアも医学会もすべてがこれが正しいと言っているのに、それを鵜呑みにせず抵抗した人こそ変わりものなのだとシュライヤーは言う。

しかし、私たちは重要な役割を果たした。苛烈なジャーナリストと追放された研究者のゴロツキ集団が力を合わせれば、群れ全体が崖から飛び降りるのを食い止めることができるのだ。

実は先日私(カカシ)はXで、トランスアライのゲイ男性とちょっと言い合いをしたのだが、彼が私に向かって「匿名で言いたいことを言ってるだけのキーボード戦士には何の価値もない」と言った。しかし私はそれは違うと思った。

自分の価値を過大評価する気はない。だが私はこんなことを考えているのは自分だけなんだろうかと考えていた時、Xやネットで私と同じようなことを考えてる人のポストやブログを読み、その人たちが匿名でもなんでも元気づけられた。また、私自身が書いたことで勉強になったと言ってくれた人も何人か居る。そういう人が一人でも二人でも、関心をもってくれたら徐々に人々の認識は変わっていく。

無論シュライヤー女史のようなジャーナリストやJ.K.ローリング女史のような有名人が声を上げてくれたことは非常に大きい。

戦いはまだ終わっていない。だが舵は切られた。もう後戻りはしない。

いいなと思ったら応援しよう!