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世界一のVUCA最前線にいるイスラエルから学ぶこと
中東情勢なんて記事にしたら大変なことになるから、今までは見ぬふりをせざるを得なかったのですが・・・今回はチャレンジしたいと思います!
昨日の国際ニュースで「イスラエルの兵器輸出の動き」に関しての報道があり、そこから世界中からイスラエル兵器の需要が高まっているということを知ることができました。
そのニュースを観て思ったこと、
”イスラエルは世界一のVUCA最前線上にいる国なんだ”
つまり、イスラエルを取り巻く環境下では、これから何が起こるのか予測不能であり、複雑すぎて答えを出すのが困難である国、それがイスラエルなんだなと改めて実感しました。
そして、難しい問題を抱えているにも関わらず、それに負けずに、生き抜くためのサバイバル術を駆使しながら必死に進む先を模索する国、だからこそ、様々なイノベーションを起こす国なんだなと。
もちろん、道徳的に正しいことをしているのかは別問題にあるかもしれませんが、私たちに日本人はイスラエルからどのようなことを学べるのかを考えてみたくなりました。
まずは、イスラエルを取り巻く環境について昨日学んだことをまとめてみました。
イスラエルを取り巻く中東情勢 ”ロシアへの配慮”
ウクライナはイスラエルからの兵器供与を願っているようですが、イスラエルによるウクライナ支援は装備品や人道支援にとどまっているのが現状です。
ウクライナに兵器供与ができない理由として最大の要因は”ロシアへの配慮”があるからです。
この”ロシアへの配慮”の背景を説明すること自体、本当に難しいんです。
なぜなら、中東情勢を踏まえながら説明しなければならず、しかも超がつくほどの”複雑”な情勢となっているからです。
昨日のNHK番組『国際報道2023』では、この情勢を分かりやすく説明してくれましたので、そちらをそのままご紹介します。
”ロシアへの配慮”に重きを置いたイスラエルを取り巻く中東情勢について
イスラエルは長年、イランと敵対している。
そのイランが支援している武装勢力がイスラエルの隣国シリアで活動している。
この武装勢力を抑止するため、イスラエルはシリアにある拠点を度々攻撃している。
イスラエルのこうした攻撃を黙認させているのがシリアのアサド政権の後ろ盾となっているロシア。
もし、ロシアとの関係が悪化すればシリアでの抑止力が働かなくなる可能性がある。
しかも、ここ最近、パレスチナのガザ地区だけでなく、隣国のレバノンやシリアからもロケット弾による攻撃を受けているイスラエルは、それらに対して報復として空爆を行っている。
一方で、イスラエルが敵対するイランですが、ロシアとの軍事的な結びつきを強めています。
イスラエル政府としてはロシアとイランの関係には沈黙を貫き通している。
しかも、イスラエルが長年イラン包囲網を固めるためにも国交正常化を強めたいとされてきたサウジアラビアが、イスラエルの敵国イランと関係を正常化させてしまった。
イスラエルの軍事関係者の中では、イスラエルの安全保障上の脅威が増しているとして、ロシアとの関係を考え直す時期にきているのではという声も上がっている。
こんな複雑な中で、イスラエルはうまく外交を進めないと、ゆくゆくは”孤立化”するのではと心配をしてしまうほど・・・
イスラエルの国内事情も複雑化を極めている
外交面だけでなく、イスラエルは国内事情にも複雑な問題を抱えています。
以前のボソッとでも”ホワイトIT技術者”や”デモ”のテーマの際にも取り上げましたが、
イスラエルの新内閣により打ち出された司法改革制度によって民主主義が脅威に陥るということで、イスラエルのハイテク企業の労働者たちが中心となって、司法制度改革への大規模な抗議デモが行われています。
IT大国であるイスラエルには、外国から巨大な投資資金がハイテク産業に集まっていることでも有名です。
しかし、民主主義の脅威となるであろう司法改革案が通れば、もしかしたら、いまのロシアの二の舞になるかもしれません。
いまロシアからは超優秀なIT技術者が国外へ脱出しています。
このまま法案が通ると、イスラエルを支えていたハイテク産業の投資資金が世界から集まらないだけでなく、優秀な人材がイスラエルから脱出することになってしまうのです。
VUCAな歴史的背景をもつイスラエル
イスラエル周辺は”はるか昔からVUCAだった”と言っても過言ではありません。
複雑な歴史的背景を持つイスラエルは「文明の交差点」と言われています。
その代表的なものとしてイスラエル周辺にある『エルサレム』です。
地球上のおよそ半数の人が信仰している3つの宗教「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」の聖地として有名な『エルサレム』、
あまり知識がない私にとっても『エルサレム』は複雑な歴史的背景が存在していることはわかります。
実はこれら3つの宗教が誕生する以前から、この周辺はVUCAだったのです。
それは、この地は人類誕生における重要な”交差点”であったことが分かったのです。
はるか昔、我々人類の祖先である「ホモ・サピエンス」が「ネアンデルタール人」と出会ったのも、イスラエルのこの地だと言われています。
イスラエルから学べること
いまも、昔もVUCAであるイスラエルだからこそ、その過酷な環境で生き抜くために、安全保障上の必要性から軍需産業や航空産業に巨大な投資を行ったことにより、イスラエルにはハイテク産業が誕生しました。
また、悪条件の農業環境でもあるイスラエルだからこそ、最新の技術を使って食材などを生産するフードテックが発展、それにより食料自給率93%以上を達成した「フードテック先進国」としても有名です。
イスラエルは民主国家だと考えれば、
ウクライナに兵器支援するのが望ましいと考えるだろうし、
民主主義を揺るがす司法制度改革計画は破棄しなければいけないのではと思いますが、
イスラエルを取り巻く環境のことを考えるとそんな単純な問題ではないんだろうなと改めて実感します。
答えがひとつではない、いや、そもそも答えがないのでは!?
複雑に問題が絡み合った中で、答えだけを求めるのではなく、
「これがベストなやりかたなのか?」
「他にも方法はないのか?」
「妥協点を見つけるにはどうしたらよいのか?」
ひとつの答えだけでなく、たくさんの問いを見つけながら、それぞれの問いに対応しながら生き残るイスラエル、日本が学ぶべきことはあるんだろうなと思っています。
最後に、イスラエルに住んでいる知人の方がおっしゃっていたのですが、
「イスラエルは独裁政権となりえる状況になっている。
だからこそ法案に対する大規模なデモが国内で起こっている。
そのため、国内情勢がとっても不安定な状況となっている。
イスラエルに住む我々は、まずは安定した国内情勢になることを願っている。」
イスラエルの国内情勢が落ち着くことを願うばかりです。