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【現代アートを学ぶ】社会を変える現代アート


前回は『現代アートとは何か?』ということをボソッとさせていただきましたが、今回は【社会を変えるコンセプトを持つアート】についてボソッとさせていただきます。

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」にて放送された展覧会「ワールド・クラスルーム」の科目『社会』を中心に作品をご紹介させていただきます。




人種・ジェンダー問題


森村泰昌『肖像(双子)』1989/『モデルヌ・オランピア 2018』2017-2018(社会)

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」より

番組に出演された光宗さんがこの作品を観たときの感想がとっても印象的でした。

光宗さん
「かなりインパクトが・・・」
「どちらの絵も不穏な空気が漂っていますね」
「オマージュ作品をさらに超越した作品になっている。」

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」より

この作品のコンセプトは・・・・

あえて男性の体のままで西洋の女性に扮しています。西洋の絵画の中に東洋の男性が入ることでジェンダーの問題、そして人種間への問題へと展開させた。
黒人女性は西洋の白人男性に扮したり、そして白人の女性(娼婦)は日本の芸者へ。ジェンダーや差別問題にさらに踏み込んだ。

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」より


国家権力問題


アイ・ウェイウェイ『漢時代の壺を落とす』1995/2009(社会)

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」より

持っている壺を落として割るまでを連続で撮影した三枚の写真。

この作品のコンセプトは・・・・

2000年前の壺を割るということは、伝統的価値の破壊をして、新しい価値を創造することを表現した作品ですが、一方、貴重な文化財の破壊であるとの非難も受けました。

作者のアイ・ウェイウェイ(1957-)がこの作品を作った背景には、1966年の文化大革命による知識人が弾圧を受け、さらに多くの文化財が破壊がされました。

国家権力の問題や社会の課題に、人々の目を向けさせたのです。

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」より

この作品のコンセプトを知った番組に出演者がおっしゃっていたこと。

尾上さん
「面白いわ!いわゆる思想や思考を作品に落とし込むという現代アートとしてはド直球というかド真ん中というか・・・そういうことだったのかぁ。」
「パンクというか、反政府勢力というか・・・そうパンクだ」

光宗さん
「個の思想をぶつけるっていう作品ですね。」

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」より


戦争の悲惨さを表現


ヴァンディー・ラッタナ『「爆弾の池」シリーズ』2009(社会)

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」より

田園や森の中に池があるのどかな風景。
どの風景にも共通しているのが同じような丸い池が幾つもあること。
これらはベトナム戦争時の爆弾が破裂した跡に水が溜まってできたこと。

この作品のコンセプトは・・・・

爆弾の池の写真は自国の暗い歴史を振り返るものですが、悲劇を強調して注目を集めるものではなく、穏やかな日常の背景に辛い過去があることを指し示すようです。

戦争の悲劇を伝えるために、傷口を開けるような方法ではなく、このように美しいイメージを入り口にして、静かにジワジワと伝えていく手法なので心にしみるものである。

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」より

番組出演していた小野正嗣さん(作家、早稲田大学教授)がとっても印象的なことをおっしゃっておりました。

小野正嗣さん(作家、早稲田大学教授)
「悲惨さをそのまま伝えると心理的に受け付けない、だけど美しいんだけど、でも何か背後にあるぞという想像力を喚起させることができるのは、芸術の力だ!」

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」より


植民地化の問題


イー・イラン『TIKAR/MEJA(マット/テーブル)』2022(社会)

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」より

ボルネオ島の女性たちと制作したテーブルクロス大の織物を一面に貼り付けた壁。ポップな色合いのクロスには、それぞれテーブルのシルエットが白っぽく浮き上がっています。

この作品のコンセプトは・・・

マレーシアには16世紀以降およそ450年にわたってヨーロッパの植民地支配を受けた歴史があり、西洋文化の流入以前、もともと東南アジアでは、床に引いた織物の上で生活していました。

その上におり出されたテーブルは、もともとマレーシアには存在しなかった西洋由来の家具。

長年の植民地支配が日々の暮らしや生活スタイルを変えたことを示す展示。
メッセージを意識しなくても一枚一枚がとてもお洒落で、セレクトショップに並んでいそうな雰囲気は、暗い歴史を跳ね返してくれそうな力強さを感じさせてくれる。

NHK番組『日曜美術館』「現代アートはわからない?」より

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