”心理社会的支援”は普通に社会に広がっていないのが現実
昨日のNHK番組『キャッチ!世界のトップニュース』で報道されたパレスチナ・ガザ地区の子供たちに手を差し伸べてきた日本人医師を取材した「”心の傷”に向き合う日本人医師」を拝見して、さらに以前、NHK番組『クローズアップ現代』で放送された子供に対するしつけや教育のつもりで口にする言葉によって脳のある機能に与える影響は体罰を上回るという報告をしてくれた「その"一言"が将来を変える!?最新研究、”言葉のリスク”」、この2つの番組を観て、こう実感しました・・・
たとえ戦争や紛争、暴力、貧困、飢餓といった問題を抱えている国に住んでいなくても、どんな国に住んでいようが、もちろん日本に住んでいたとしても、誰もが心の傷を負ってしまう可能性はある。
だからこそ、強い人だろうが弱い人だろうが関係なく、どんな人だって”心理社会的支援”に支えられる社会になって欲しいと思った、今日のボソッとです。
”心理社会的支援”とは?
”心理社会的支援”とは?私も初めて知ったものでしたので、ネット上で色々と調べてみました。
もっと具体的に知りたいなと思い、私が”心理社会的支援”を始めて知ったきっかけとなった国際ニュースの中で取材されていた心療内科医の桑山紀彦さんが代表を務めているNPO法人「地球のステージ」のホームページを調べてみましたところ、”心理社会的支援”の活動内容が分かりやすく紹介されていましたので、こちらでもご紹介させていただきます。
皆様も是非とも一度ホームページをご覧下さいませ。
「”心の傷”に向き合う日本人医師」
次に、私が初めて”心理社会的支援”を知った国際ニュースをご紹介します。
<出典:NHK番組『キャッチ!世界のトップニュース』「”心の傷”に向き合う日本人医師」(23/7/24放送分より)>
イスラエルと戦争を繰り返しているパレスチナ・ガザ地区では、2008年にイスラム組織ハマスが実効支配を始め、軍事衝突などで5300人以上が死亡しており子どもたちが心に傷を負っているとみられている。
パレスチナ・ガザ地区では3人に1人がトラウマを抱えているとされています。
そんなトラウマを抱えている子供たちに手を差し伸べてきた日本人医師で、心療内科医を勤めている桑山紀彦さん、桑山さんは自らが立ち上げたNPO法人「地球のステージ」を拠点に国内外の紛争地・被災地で支援活動を続けており、パレスチナ・ガザ地区にも10年に渡り度々訪問、現地に支援センターを設立するなど心に傷を抱えた子どもたち約2500人を支援してきた。
桑山紀彦さんが支援してきた現地の少女、ファラハ・ワハバさん(11)はイスラエルの空爆で母を亡くしている。ファラハさんはトラウマがあることに気がついておらず、桑山さんのカウンセリングの紙粘土で作られたのは血まみれになった母親の姿であった。
紙粘土などでトラウマの原因を探り、支援の最終段階として桑山さんとファラハさんが取り組んだのは『映画の製作』でした。
これは桑山さんが取り組んできた”心理社会的支援”という手法のひとつ、映画の中で、自分と同じ境遇の役を演じさせ、トラウマを”乗り越える”のではなく、トラウマと”共に行きていく”術を身につけてもらおうという手法です。
”言葉のリスク”は心だけでなく脳にも傷を負う
パレスチナ・ガザ地区の子供たちの心の傷は相当深いものがあると思います。戦争を経験していない私が想像する以上のものを体験しているのが小さい子供だなんて、そんな理不尽な世界で生きている子供たちを想像するだけで、本当に胸が痛くなります。
しかし、戦争が無い国だとしても、子供たちは心の傷を負うことだってある、そう実感したのが、以前放送されたNHK番組『クローズアップ現代』で、「その"一言"が将来を変える!?最新研究、”言葉のリスク”」という番組を観たときです。
以前の私のボソッとでも紹介させていただいた当内容、改めてこちらにも転載しておきます。
※以前、当記事を紹介したボソッと
「リアルなアメリカの高校生と”現代の社会問題”が密接だった」
番組内で紹介された”言葉のリスク”とは・・・
しつけや教育のつもりで口にする言葉。実は、使い方を誤ると脳の発達など、子どもの将来に大きな影響を与えるおそれがあることが、最新研究から浮かび上がってきた。
”心理社会的支援”とアドラー
今回、インターネット検索で”心理社会的支援”と調べると、ユニセフや日本赤十字社といった国際機関が紛争などで負った心の傷に対しての支援プログラムだったり、病院による患者さんに対しての治療方法だったりと、この”心理社会的支援”はあまり広く一般社会には認識されていないことが良くわかる検索結果でした。
NPO法人「地球のステージ」代表の心療内科医の桑山紀彦さん取材されていた際に、”心理社会的支援”について紹介されていた内容がとっても印象的でした。
わたくし的に、”トラウマ”と言う言葉が出ると、どうしてもアドラー心理学を思い出してしまいます。
フロイトが提唱したトラウマは『原因論』、つまり、なにか原因があるからこそ結果がある。だから原因を無くせば結果が変わるという考え方。
一方、アドラーが提唱したのは『目的論』、つまり、なにか目的があるからこそそのような結果となる。だから、目的を変えるだけで結果が変わるという考え方。
私が考える上では、「トラウマを”乗り越える”」って『原因論』です。トラウマを乗り越えないと幸せになれない、私はトラウマを持っているから幸せになれない、そんな社会を表した言葉が「トラウマを”乗り越える”」。
一方、「トラウマと”共に行きていく”」は『目的論』で、幸せに生きたいからトラウマを抱えていたとしてもそれを自ら認め、そしてトラウマと共に生きていくことで幸せになっていく、そんな社会を表した言葉が「トラウマと”共に行きていく”」。
心の傷は、誰もが抱えている問題なのでは?
乗り越える人もいることでしょうが、乗り越えられない人だっている。
そもそも、乗り越えるのが正解なのでしょうか?
それが正解だとは言えないと教えてくれたのが、今回の報道内容です。
この「トラウマと”共に行きていく”」という考え方で成り立っている”心理社会的支援”が、普通に社会に広がっていることを妄想をしていると、なんか良い社会に見えてくるのは、私だけでしょうか?
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