Redditとは何なのか?
今日ほど『Reddit』という単語が経済メディアで報道された日は無いかもしれません。
CNBCでお馴染みのJim Cramerは『Redditの個人投資家が結託して、ウォール街のヘッジファンドを完膚なきまでに叩きのめした、これは新しいパラダイムシフトだ』と述べています。
今日のニューヨーク市場ではいくつかの銘柄が暴騰と暴落を繰り返し、さながらフラッシュクラッシュ状態となりました。
その代表格であるGameStopの株価は150%近く上昇した後に急落しています。
ところで『Reddit』とは何なのでしょうか。
Redditは日本でいう2chのような投稿型のSNSです。
Redditの中で、いわゆる掲示板に相当するのがSubredditです。
決して金融専門のSNSではなく、社会情報、お笑い、ゲームなど様々なジャンルの掲示板がありますが、株式市場で話題になっているのが『Wallstreetbets』と呼ばれる掲示板です。何と224万人ものメンバーが参加しています。
この掲示板の中で『明日は何が上がると思う?』『みんなは何を買っているの?』と言った情報が米国の個人投資家間で共有されて、稀に今日のような大きな動きに繋がるという訳です。
私も長年、プロの世界で投資に携わっていますが、このような個人投資家主導のフラッシュクラッシュ相場というのは米国市場ではあまり見ないことです。
日本のFX市場は『ミセスワタナベ』と呼ばれ、数年に一度大きなフラッシュクラッシュが起こりますが・・。
では、なぜアメリカの個人投資家の間でこのようなムーブメントが起きているのかというと、そのきっかけはコロナショックにあると考えています。
米国では昨年の2月から多くの企業が在宅勤務となっており、未だに続いています。
そのような中、在宅勤務で暇を持て余したミレニアム世代が何に目をつけたのかというと、株式市場でした。
Robinhoodと呼ばれるネット証券には申し込みが殺到し、オプションと宝くじの区別もつかないような人たちが、いつ上場廃止になるかもわからないPenny stocks(ボロ株)に群がりました。
実は『ボロ株=ボロ企業』はヘッジファンドなどが空売り(ショート)しているケースが多く、実像を反映しない形であっても価格が上がり始めると、ショートをしていた投資家の買い戻しが入ります。
結果として買いが買いを呼ぶ為、株価が暴騰し、ショートカバーが終わると急落してボロ株に戻るという訳です。
投資の世界ではアルゴリズム化が進んでいますが、このようなSNS分析も当然行われており、テキストマイニングで話題の株価を抽出して投資判断の材料にするといった流れになっています。
金融だけでなく、他にも様々な掲示板があるので時間つぶしにRedditを見てみるのも悪く無いかもしれません。