先週のグローバルマーケッツ(米国経済、英国債、FRB高官発言、注目チャートについて)
先週もマーケットのボラティリティが高い1週間でした。
また、多くのヘッドラインが市場を動かし、その一つ一つのヘッドラインが何を意味するのか解釈しきれなかった投資家も多かったかと思います。
今日は先週の振り返りを兼ねて、重要な項目に的を絞って解説していきたいと思います。
米国の経済指標
まずは先週発表された米国の経済指標をスライドにしました。
いくつかの重要な指標が発表されましたが、大切なのは「FRBのタカ的スタンス」を変えるような指標は無かったということでしょう。
一方で今週、発表予定の雇用統計はFRBのスタンスと密接に関わってくるので注意が必要で、特に賃金の伸びが注目されます。
FRBのタカ的スタンスとは
では、現状のFRBのスタンスはどのようなものなのでしょうか。
先週、多くのFOMCメンバーがスピーチやインタビューを行いましたが、何人かのメンバーは1970年代のインフレと金融政策を例にとって「同じ過ちは繰り返さない」と強調しています。
1970年代のインフレは上のスライドの通りです。
当時は政治的圧力を受けたFRBが、インフレの芽があるにも拘らず利下げを始めてしまい、その後の大きなインフレと景気後退を引き起こしました。
1970年代のインフレと金融政策は(悪い意味で)FOMC内で研究されており、「同じ過ちを繰り返さない」ということを合言葉にしています。
マーケットに対しては「金利を勢いよく上げて、何かが壊れたからすぐにFRBが利下げしてくれるなんて思うなよ」というメッセージを伝えようとしているわけです。
大荒れの英国債市場
そして、先週も欠かせないのが英国債市場の動きです。
英国債市場の値動きとその背景を簡単にまとめたのが次のスライドです。
マーケットは10月14日までBOE(英国中銀)が国債を買い取ると発表したことで一時的に落ち着いています。しかし、根本的な原因である、トラス新政権の財政案が修正されない限り、また売られるのではと考えるトレーダーが多いです。
一方でトラス政権の支持率は21%と野党・労働党の54%に大きく引き離されており、国内からは辞任を望む声も増えています。
特にクワーテング財務相に対する批判が多く、早々に辞任をしてまともな人が財務相に任命されれば、それは市場にとって大きなポジティブサプライズになりそうです。
先週のマーケットの動き
最後に先週の注目チャートを紹介したいと思います。
①はS&P500先物のチャートです。
6月に付けた安値を下回らずにダブルボトムになるか、テクニカルに注目されましたが結局、下抜けして引けています。
その要因となったのが、②の中国のドル売り介入観測と、③の実質金利の上昇です。
人民元は対ドルで安値を更新していましたが、ロイターが人民元安定の為に、ドル売り介入の準備を当局がしていると報道しています。中国は米国の資産を多く保有しており、その中には米国株も含まれると言われています。
また、先週はFRBの高官が多く話しましたが、いずれも「タカ的」なスタンスを貫きました。それが実質金利の上昇に繋がり、米国株には売り材料として影響しています。
最後の④はボラティリティのチャートです。
為替と金利は比較的既に高いところまで調整していますが、実はVIX指数で見ると、それほど高いわけでもなく、「恐怖感がない中で米株が売られている」状態になっています。
最後に、、
これからもマーケットの情報を皆さまにお届けするつもりです。
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