最近の記事

リンゴの木 ヴァルターフレミング

ヴァルターフレミングは、なぜアニリンをつかったのだろう。1856年に、イギリスのバーキンがアニリンから合成染料を偶然につくりだしてから、細胞を化学物質で染めてみたわけである。染まる、ということは細胞のある構造とその染料が化学的に結合するということである。 しかし、原著を読まないと研究がわからないのだが、アーカイブで見ることが出来た。ドイツ語で書いてあるのでわからないが、わからないなりに見てみると、様々な組織や細胞のスケッチがある。軟骨細胞や精細胞、そしてイモリの組織が書かれて

    • リンゴの木 ヴァルターフレミング

      細胞周期の発見(1953年)以前に話をもどそう。 細胞が増えるときには、一つの細胞が二つになる。この細胞分裂について、 19世紀の後半に非常に詳細な観察をおこなった人がいた。ヴァルターフレミングである。 ヴァルタ―フレミング(Walther Flemming)は1843年にドイツのザクセンベルクに生まれた。普仏戦争に出征後、1873年よりプラハ大学で教鞭をとり、1876年よりはキール大学にうつった。彼は、コールタールより分離された染色剤である、アニリンを用いて細胞染色をおこな

      • リンゴの木 細胞周期の発見

        細胞周期、cell cycle。周期というのですから、ぐるっと一回り、ということでしょう。細胞をずっと観察し続けないと一回り、とはわかりません。観察するということは、生きたままでないとだめです。顕微鏡がない時代では、生物が大きくなったら、それは成長、としか認識できなかったでしょう。 顕微鏡が見つかって、微生物が発見されましたが、それを観察しつづけて、それが増えていくとしたら、それは増殖です。でも、周期というからには、時間軸にしたがって、始まりがあって終わりのある何かの波の発見

        • リンゴの木

          天皇陛下が、イギリスのフランシスクリック研究所を訪問された時、ポールナース所長に案内されて、顕微鏡をのぞいてみられた。所長に、 長いでしょう? といわれ、長いですね、と答えられた。 何が長かったのだろう。 ポールナースは、分裂酵母という細長い酵母をつかった遺伝学研究により、細胞周期研究で大きな発見をなしとげ、ノーベル賞を受賞している。 この優しそうな人は、どんな研究をしたのだろう。

        リンゴの木 ヴァルターフレミング